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英霊戦記 ~勇者召喚された幽霊は身体を借りて戦います~  作者: 猫まつり


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3 旅立ち


 王への謁見のため、玉座の間の扉の前まで案内された私たちは、どうぞと言われてそのまま開いた扉を通っていった。赤いカーペットによって示された道を進んだその先には、玉座に座る王とその隣に控えた宰相が居ただけだった。


 普通こういうのって、もっと盛大にやるもんじゃないのかと思ったが、そういえばあんまり余裕がなさそうだったなと思い出した私は、リーアを筆頭に片膝をついた勇者パーティーの面々を見て、一応それに倣ってみた。私も見えてはいないけど、勇者パーティーの一員だからね。レイアはというと、すごく緊張した様子でびくびくしていた。


 片膝をついた勇者パーティーの面々を見て、王は、ここはあくまで非公式の場だ。楽にしてもらって構わないと言った。リーアたちはその言葉に一瞬逡巡するも、宰相が小さく頷いたのを見て、それぞれに立ち上がった。私とレイアもそれに続いて、少し遅れて立ち上がった。すると、宰相が合図したのを見て、部下らしき男2人が何やらすごそうな剣とじゃりじゃりと音が鳴る革袋を持ってきた。


 あれはもしかして、いつかの日に若者たちが話していた、旅たちの日に下賜される聖剣と路銀のお金ではないだろうか。今更だけど、漫画やアニメの中だけの話だと思っていたことが、実際に自分が体験することになるなんて………とワクワクしてきた私は、話し始めた王に意識を向けた。


「まず、我の招集に答えてくれて感謝する。これより我が国に代々伝わる聖剣と少しばかりで申し訳ないが路銀を渡す。これをもって貴殿らには魔王討伐を成し遂げてもらいたい。今この国が突破されてしまえば、ほかの周辺国も同じように蹂躙され、文字通りこの大陸から人類は滅亡してしまうだろう。そうならないためにも、神の加護を得た勇者レイアを筆頭に頑張ってもらいたい。魔王討伐を成し遂げた暁には、我が国のすべてをもって貴殿らの望みを叶えることをここに誓おう」


 王がそう言うと、宰相が一枚の紙をもってこちらに歩み寄ってきた。おそらく契約書だろう。リーアがそれを受け取り読み終えると、ゼロがそれを俺に渡せと言ってそれを受け取り、謎の空間にそれをしまった。なんて便利な、アイテムボックスというやつか…私も欲しいなぁと期待のこもった眼で私はゼロを見るが、もちろんゼロには見えていない。ゼロが契約書を仮名:アイテムボックスにしまったのを了承ととった宰相は男2人を呼び、聖剣はレイアに、路銀はゼロに渡すのだった。


 レイアはこれを私に⁉と、驚嘆の声を上げていた。そして、レイアちゃんが聖剣を受け取ると、聖剣の存在感が一層増したような気がした。それを他の勇者パーティーの面々も感じ取ったのか、レイアと聖剣をまじまじと見ている。


 そして、宰相はこれにて謁見を終えると言い、王への謁見は終わった。なんともあっけないものである。聖剣は一時、ゼロが預かることとなった。何というか、レイアは聖剣を壊れ物を扱うように持つから、見ていて怖いんだよね。そう同じことを思ったのか、ゼロがいったん俺が預かるといい、レイアもそれを了承したのだった。


 また、魔王討伐へは今日はもう遅いので、明日の朝に出発と話がまとまった。しかも、今日は王城に泊めてくれるとのことだ。やったね!それから、王の大盤振る舞いで国庫から皆の装備を揃えたり、豪華な部屋にレイアちゃんが驚いたり、皆で一緒に食事をとったり、ムフフなお風呂シーンがあったりと、色々あったのだが、早いものですでに日が昇り始めていた。


 勇者パーティーの面々は準備を終えて、王城の前で宰相と話をしていた。


「それではどうか、ご武運を」


 宰相がそう言うと、勇者パーティーの面々は魔王城のあるほうへ歩みを始めた。昨日までとは打って変わって、立派な装備に身を包み、聖剣を携えたレイア。我々にお任せくださいと、凛々しい顔立ちで宰相へ告げて、歩き出したリーア。相変わらず本を読んでいるゼロ。ようやくかぁと伸びをしながら欠伸をするアラン。そしてこの私、1000の敵にも恐れず戦いを挑み、かつては一騎当千の戦士として恐れられた、刀咲千代!今、ここから幾年もの間で語り継がれる、人類を、世界を救う英雄譚が……


 そう、希望に気持ちを高ぶらせていた私は、この時は思いもしなかった。まさか、旅たちの日に魔王軍四天王の一角とやりあうことになるとは………



………………………




「そうか、行ったか」


「はい」


 そう短く言葉を交わしあうのは王と宰相である。王城の前で勇者パーティーを見送った後、宰相は王城へと戻り、勇者パーティーが出発したことを報告した。王は一仕事を終えたといわんばかりに一息ため息をついたが、すぐに気を持ち直した。というのも、まだ旅は始まったばかりなのである。王はこれから一体どうなることやらと、旅だった勇者パーティーの武運を祈りながら、これまでを振り返るのだった。


「いくら神託で選ばれたからと言って、心配だからと我々のほうでも勇者召喚をしたが、まさか失敗に終わるとはのう」


「そうですね。あれほどの激しい光はそれは強力な勇者が召喚されると期待したものですが……」


「そうだな。そういえば宰相よ。召喚に失敗したあ奴は今どうしておる?」


「いくら人類の存亡にかかわる重大な仕事を失敗したとはいえ、この国は今あまりにも人手不足です。魔法の腕は確かですので、結界の維持要員及び何かあった時のための防衛要員として働いてもらっています」


「そうか、それならよい。元々神託にはなかった勇者の召喚だからのう。成功すればとは思っていたが、期待をしすぎたのかもしれん」


 そう渋々と言った王は仕事を始めるかと、目の前に山のように積まれた書類を見て、はぁと深々とため息をつくのだった。人手不足の現在、その分の仕事が回ってくるのだ。宰相も私も仕事に戻りますと言って、部屋を出ようとしたのだが、その時、大きな鐘の音が街中に響き渡るのが聞こえた。すると、宰相はすぐに状況を確認しますと、普段ならば絶対にしない、駆け足でその場を後にした。王も覚悟を決めねばと、重々しくも椅子から腰を上げて、動き出すのだった。



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