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英霊戦記 ~勇者召喚された幽霊は身体を借りて戦います~  作者: 猫まつり


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1 勇者召喚


「勇者は…勇者はどこにいる⁉」


「もっ、申し訳ございません!!!…間違いなく成功したはずなのですが、何も…召喚されず…」


「それを失敗と言わずして何と言う!!!」


「申し訳ございません!!!」


 目が覚めると、何やら偉そうなオッサンにフードを深々と被ったローブを着た人が怒鳴られていた。というか、ここはいったいどこだ。そういえば私はさっきまで…と、この広間に鳴り響く喧騒を聞き流しながら、私の身に何が起こったのかを思い出すのだった。



……………………




「今日の稽古はここまで!あとは、しっかり体を休めるように!」


「「「はい!!!ありがとうございました!!!」」」


 ここは何百年と続く、由緒ある道場である。そこで私は何をしているかというと、汗水たらして稽古に励む若者たちを観察していた。観察?と疑問に思う人も多いかもしれない。私は彼らの保護者に同門のOBでもなく、そう……幽霊である。


 私は、人と人がまだ刀や槍、弓矢などを使って争っていた時代に生きていた人間である。当時、私はあらゆる武器を使いこなし、1000の敵にも恐れずに戦いを挑む、まさしく一騎当千の戦士として恐れられていたが、人間は動き続ければ疲れるものである。戦力差、約20倍もの相手に仲間とともに戦い続けた私は、数の暴力に敗れてしまった。だが、後悔はしていない。故郷を守るために戦えたことには誇りを持っている。そんな私は何の未練があってか、気づいたら幽霊になっていた。そして幽霊になってから数百年、色々あったが、今はこうして青春真っ盛りの若者たちを観察することを生きがいとしている。まあ、もう死んでるけどね。


 そんな自虐ネタに、なかなかいいセンスなのではと自画自賛をしていたら、稽古が終わった若者たちの雑談が聞こえてきた。


「あれの最新巻、読んだか?めっちゃ面白かったよな」


「あぁ、主人公と同郷の異世界転生者が、敵として出てくるやつだろ。あの展開は読めなかったな」


「早く続きが読みたいけど、次は半年後だろ?」


「マジで長い……半年も待ってんられんわ」


 聞こえてきた彼らの話から、またあの話題かと思う。なんでも最近、彼らは異世界ものにハマっているらしい。そして異世界ものについてだが、死んでから生まれ変わるパターンと、生まれ変わらずその姿のまま異世界に行くパターンの2つに大別できるとのことだ。そして、それらを異世界転生、異世界転移とそれぞれ呼ぶらしい。


 私はそんな彼らの会話を興味津々に聞いていた。というのも、私は戦いが好きだからだ。異世界ものの多くは、魔法という摩訶不思議な力があり、生前そんな力が使えていたら、もしかしたら……とさまざまな妄想を膨らませるのだった。


「この私の存在も大概だがな……」


 ふふふっとそんなことを意味ありげにつぶやいた私は、すでに支度を終えて、沈む夕日に背を向けて各々に帰っていく彼らを見送った。これからどうしようかなと、悩んだ私はいつも通り、夜のパトロールに向かうことにした。最近はいないが、この街には何年か前に不審者が出没していたことがあった。だが、その不審者は突然何かにおびえたように鬼気迫った様子で自首をした。そのあまりの必死さから1時期世間でも話題になったのだが、不審者がそうなった原因はもちろん、この私だ。その不審者に憑りついて、耳元で色々ささやいていたら、もう許してくださいと誰もいないはずの空に向けて懇願し、不審者はおびえるように警察署へ駆け出していったのだ。それ以降、この街では不審者はでていない。


 そんなこんなで町の平和を取り戻した私は、夜のパトロールを日課としていた。何というか、やっぱり良いことをするといい気分になるからだ。その方法がちょっと褒められたものなのかは分からないが……


 そして、日が落ち、光が灯り始めた住宅街をプラプラしていたら、私の下に光り輝く紋様が現れたことに気づいた。


「えっ⁉なにこれ……」


 状況が理解できない私に構わず、円に描かれた紋様は徐々に光を増していく。


「なんか、やばそうなんですけど⁉」


 私はその光から必死に逃げようとしたが、その努力も虚しく、限界を迎えた光は私を意識をのみこんでいくのだった。


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