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比較的最近更新した短編のまとめ場所

理不尽師匠の使いっパシリ

作者: 仲仁へび



 俺には三分以内にやらなければならないことがあった。


 たぶん、おそらく。


 そうしなければいけないと思う。


 そんな義理は本当はないし、別に要求をつっぱねたってかまわないと思うけど。


 弱みがある。


 頼みごとを引き受けないと、すねて、この先俺が色々聞いても一週間は教えてくれなくなるから。


 後1分30秒だ。


 師匠に頼まれたおつまみを買って、また戻らなければならない。


 くそ、俺は「こんな」体だから、たかがお使いだっていっても、大変なんだぞ!


 毒を吐いた矢先に、目を疑った。


 なぜなら、道がないからだ。


「うそ…だろ?」


 たった1分前には、たしかにそこに道はあったのというのに、なぜかなくなってしまっている。


 橋がない!!


 崩れ落ちてしまっている。


 近くには靴があった。


 脱げた靴が。


 俺が何人か増えても、まとめて入れそうなサイズの靴が。


 犯人が分かってしまった俺は、空を見上げる。


 するとそこに、赤ら顔のおっさんがたたずんでいた。


 俺は、待ちきれなくなったであろう師匠に向けて文句を言った。


「しーしょー。巨大化の魔法、まだとけないんですから、うっかり歩いて町を壊さないでくれよ」


 すると師匠は、アルコール中毒的な感じで手を震わせながら「ばっかやろー」と言った。


 酒臭い息が風となって吹き付けてくる。


 なんて不快な風なんだ。


 3分前の過去のことや、今の状況も込みで、全てが嫌になりそうだった。


「もとはと言えばお前が魔法を失敗したせいだろうが、はい3分たった、お前お仕置き決定」

「はぁ?理不尽だろ。この馬鹿師匠!」


 言い合いしている間に、時間が過ぎてしまったようだ。


 俺は、俺の魔法で巨大化してしまった師匠と言い争いながら、手にしたお酒を持って帰る。


 30センチな小人族な俺には大きすぎる、巨人族用のお酒の瓶を、魔法で軽くしながら。


 元はと言えば、元から酔いどれていた師匠が、千鳥足で俺を踏みつぶそうとするから、驚いて魔法が変な風になったっていうのに。


 ほんと理不尽だ。



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