03-01 「ホントこれだから最近の若様方は・・。」
結は立ち上がってカーテンを思いっきり開けはなった。
するとかなり広範囲に城下町が広がっているのが見えた。
この城が丘の上に立てられたであろうことが安易に想像できた。
建造物はイタリア、ギリシャあたりの中世のころの物に近かった。
「壮観ね・・。」
コンコン
扉をノックする音が聞こえた。
「サブリナでございます。軽食をお持ちしました。」
結は景色から目を離さずに言う。
「ん。入って。」
「はい。」
サブリナは中に入るとテーブルにサンドイッチを並べだした。
「この国はきれいな国だね。」
結が振り返り、持っていたカップとお皿をテーブルに置き席に着いた。
「ありがとうございます。ジョシュア様。
私はこの国を誇りに思っています。」
サブリナが自然に微笑む。
(サブリナはこの国がホント好きなんだな。
国が国民に愛されているって大切だよな。)
結は感心し、サンドイッチを口に運んだ。
「おいしいよサブリナ。君の手は魔法の手なのかな?
触れる紅茶や食べ物が何でもおいしくなってしまうらしい。」
結はサブリナ目を真っ直ぐ見つめ、首をかしげながら感想を述べた。
「ジョシュア様・・・。」
また、真っ赤になってサブリナは俯いた。
結はサブリナの表情を気にすることなく続ける。
「ねえ。聞いて言い?サブリナ。
王様と夕食を食べるとなると、やっぱりフルコース・・・だよね?」
「はい、もちろんでございます。」
今度はそれが何かと伏していた目をあげて不思議そうな顔で結を見た。
結が腕を組み片手をあごに当てる。
その雰囲気が何とも優雅で絵になる。
サブリナには先ほどまで異国の着物とか訳の分からない服を着ていた人が
ここまで雰囲気を出せることに不思議に思って首を傾げた。
「いやーそうなると・・。テーブルマナー不安だな・・。
ほら私、庶民派だから。」
結がはにかんで頭をかく。
「お任せください。」
その時、突然結の後ろから声がした。
後ろを振り向くと三角メガネで髪を結い上げた、
いかにも教育ママ風の女性がっ立っていた。
「シリンダ様!!!」
サブリナがいう。
結が怪訝な顔をしてサブリナを見る。
メガネの女性がクイとメガネをあげ答えた。
「私くし、侍女頭のシリンダと申します。
以後、御見開きを。
ジョシュア様。今の話は本当ですの?」
「へっ?」
「テーブルマナーのことですわ。
陛下とお食事なさると言うのに・・。
今どきの若様たちはこれだから困りますわ。
わかりました。」
結の中で悪いことを予感する警報機が鳴る。
すかさず、結は外向的な笑顔を向けシリンダに声をかける。
「シリンダ。ありがとう。
いいよ私はサブリナに「私くしが引き受けましょう!!」」
「いえ。あなたには頼んでませんってば!!・・。」
結が呟く。
完全に無視している。
「サブリナ。」
シリンダが後ろにいたサブリナを呼ぶ。
「はい!!」
サブリナが背筋をぴんっと伸ばした。
「すぐにこのテーブルに用意を。」
「承知いたしました。シリンダ様。」
サブリナがシリンダと結に頭を下げると部屋から退出した。
************
それから、約2時間後
「うー。疲れたああ。」
結はふかふか特大ベットにダイブした。
「シリンダめ~。手荒くやりおって!!
この若いのに白髪やシワが出たりしたらどう責任とってくれるんだよ。
ああ。サブリナ。このジョシュアは死にそうじゃ!!」
天井から垂れ下がっている天蓋に向かって枕を蹴り飛ばす。
「シリンダ様のレッスンお疲れ様でした。
ジョシュア様、シリンダ様に気に入られたようですね!
お紅茶をお持ちいたしました。」
結は落ちてきた枕を受け止めるとふら~ふら~と起きあがり、椅子に座った。
「ったく気に入られたなんてキショイこといわんといて。
っと鳥肌がああ~!!」
げっそりした顔の結が頭を抱える。
そんな顔が七変化する結を見てサブリナが微笑む。
「そんなときはこのお紅茶をどうぞ♪」
「ん。」
結が眉間にしわを寄せたまま、カップに口をつける。
結の口内に上品な味が広がる。
「うまいな、サブリナは。
ありがと。」
結がサブリナに笑顔を向けた。
(ジョシュア様。眩しすぎます///)
結はサブリナのいれた紅茶の高貴な香りを肺いっぱいに吸い込む。
「んー。良い香り。
それにしても、ホント大変だったし。」
結はこれまでにないほどうんざりした顔をして口に紅茶を含んた。
「・・・おいしい。
はあ。どうにかなんないのかよ。
あのシリンダのスパルタは。」
「何かお呼びになりましたか?」
(っこ、この声は・・・。)
ゆっくり結は後ろを振り向いた。
教育ママメガネをかけた女性がいた。
「ゲッ、シリンダ!!」
「ジョシュア様。
私はゲ・シリンダでもゲッシリンダでもございません。
名前もきちんと覚えられないようでどうするのです?
ホントこれだから最近の若様方は・・。」
腰に片手を当て、もう一方の方手で結を指差ししたシリンダはドンドン結に近寄る。
「すっすみませんでした。シリンダ嬢。
私としたことが・・・。」
結は最善の努力をして丁寧にシリンダに返答した。
「わかればよろしい。
本日のディナーは陛下からぜひジョシュア様もとお招きされています。
くれぐれも粗相のない用に。
また、力を入れて身支度をさせて頂くため夕刻時にはお部屋にお戻りください。
それでは失礼いたします。」
またシリンダは音を一切立てずに出ていった。
「逝ったな。」
「いいえ。ジョシュア様。今の場合は<行った>です。
いくらそう、切望したとしてもそれは酷いでしょう。
シリンダ様は不器用なだけなのですから。」
困った顔をしてサブリナが答える。
「あのシリンダがか?」
結がサブリナを見る。
「はい。私たち侍女にはわかります!
仲良くしたいのですが、その方法がわからないようなのです。」
確信のある顔でうなずき言った。
(おい!どこの幼稚園生かよ!!\( ̄◇ ̄;))
「・・・とにかく、繊細な方なのですの。」
(マスマスわからん・・・。)
「ジョシュア様。夕刻までまだ時間があります。
この王宮の中であれば
ジョシュア様が行きたい場所まで
ご案内させて頂きますわ。」
「ホント!!
それは助かる。
さすがにこのお姫様roomに閉じこもっているのは気がめいる。
そうだな・・・・・・。」
(ん~。まずは状況把握だな。
ここが中世ヨーロッパ風であるということしか情報がないもんな。
これじゃいくら何でも少なすぎる。)
「ん。サブリナと一緒にずっといられたらいいな~♪」
「ジッジョシュア様!冗談を/////」
サブリナが恥ずかしがり下を向いてしまった。
「そう。冗談。」
結がイタズラ小僧のように微笑んだ。
「もういいです。」
(ジョシュア様のバカあ!!!)
サブリナがプンと顔を背ける。
「怒った顔も可愛い!!!」
結がサブリナのほっぺをツンッとした。
「ククククク かわいい。.(*⌒―⌒*)
で、サブリナ。
調べ物をしたいので書籍がいっぱいある所に行きたいんだけど・・。」
「王宮管理図書館ですか。」
ぶっきらぼうにサブリナがいう。
「うん。それだと思う。」
サブリナはメモ書きをさっと出すとサラサラと書きそれを結に渡した。
「地図はこれです。
シリンダ様に頼まれた用事を思い出しましたので勝手に行ってください。」
結の背中を押して扉の外に押しやった。
バタン!
結の部屋であるはずのゴージャスな扉が大きな音を立てて閉まった。
「あっサブ・・・。
冗談はほどほどにしないとか。
美人を怒らせるとこわいからな。」
結は肩をすくめた。
どーも。森実です。
今日も結チャンはいきます。
甘い甘い何でこういう展開になるのか?
結ちゃん色男過ぎ。
そろそろお姫様を助ける王子様に会うはずです。
でもサブのサブが邪魔して出てこれません。
く( ̄Д ̄)ノガンバレーーー♪
王子様とわたし!!