02-02 「ジョシュア殿は何故、男装を?」
「その代わりとして、
ちょっと頼まれごとをしてほしいのじゃ・・・。」
(う。なんかやな予感・・。
タダほど高いモノはないと言うのはこのことか。)
「これは国家の秘密に関わる事なのだが・・。」
王が頭を抱えながら口を開いた。
結はそれを遮る。
「そんな重要なこととこのわけの分からない私の居場所を取引するのですか?
私はこの国の者ではないです。
それに、家族などの何のしがらみもない私はどちら側にも寝返れる。
金額のつり上げようには敵や外に情報を洩らす可能性だってあります。」
結がさらりと冷たく言い放つ。
「ジョシュア殿でなければ話すまい。
余の目はあの馬車を助けたお主を見間違うはずがない。」
結は目を大きく見開き、王を見つめ返した。
「もし私が受けないと申しましたら、王様はどうなさいますか?」
結は微笑を浮かべつつ口を開く。
それに応えるように王も微笑し言った。
「そうだな。
ジョシュア殿は女性だろう。余の側室になってもらおう。」
フッと結が微笑した。
「国王も中々人が悪い。
それって屈辱の監禁を私に強いるってことでしょうか?
例え口先だけであっても、お礼を述べた者にする行為ではないですよね。
まあ。帰る方法も分からなく
やることも特にない今の私に断る理由なんてありませんがね。
保留ってことにしましょうか。
きっと、国家機密に関わるような大仕事なわけですから、
つまらないなんてことはないでしょうし。
逆に、ワクワクして断れるわけないでしょうけど。」
「ああ。ジョシュア殿ならそう言うと思っていたのだ。」
心配したふうもなく、確信めいた笑顔を結は返された。
(なるべくじらして、意地悪っぽく言ってみたのに・・・。
全然、効かんじゃないの!チッ・・。
「せっかく、そんな楽しいこと!!
飛びつかないわけないじゃない」って雰囲気
消せたと思ったのに~。
だめだな私。
ホント落ち込む・・・・。なんでこう気持ちを読まれやすいんだ私・・・。
も・う・いいもん。
ヾ(`◇´)ノ彡☆もおおおお。こうなったら、
ここは腹をくくって、やってやろーじゃないのさ。
なんかこの国で起こっていることは面倒そうだけど、
やるとこないわけだし、
それに「時内結、それほど心の狭い人じゃねぇ。」し)
「・・にしてもじゃ。ジョシュア殿は何故、男装を?」
「私が生まれ育った日本では女性の権利が男性と平等に尊重されていました。
しかし、この王制が敷かれているここでは確実に性別と身分がものを言う。
私はここの常識を変えようという面倒なことはする気がありません。
それなので、ここで思う存分動けるためには
社会的身分が保障されている男になりきる必要があるってワケです。」
「なるほどな・・。それは、一理ある。」
王は持ち前のヒゲをなぜながら頷く。
「なので、ばれることはできるだけ避けたいですが・・。」
「任せておきなさい。
幸いにして、ここでジョシュア殿を女と知るのは
余とお主につけた侍女のサブリナだけじゃ。
サブリナはあの歳にして、口が軽い方ではないから大丈夫であろう。
フム。
それでは内容にはいるとしよう。
余の馬車が襲われていたあの時、
この城の中にいたアイリス姫が何者かの手にかかって攫われたのだ。
首謀者はだれか分かっていない。
おそらく余を襲ったヤツの一味だと推測できる。
実は暗殺されそうになったのは今回が初めてではないのじゃ。
そして最近少し目立つ不穏な動きがあってな。
東の端にあるトウン国でも同じような不穏な動きがあると連絡が来ている。
ワシとトウン国の王は、彼ら一味がトウン王国と我が王国の和平を破壊し、
弱った両国を乗っ取ろうとしているでないかとみている。
今回の首謀者はこの陰謀に少なからず関与しているとわしは見ている。」
「要するに、首謀グループは姫をさらい、トウン王国に罪を着せて、
サイリニア王国に攻め入らせようとしているとくことですか?
・・・となるとお姫様は確実にトウン王国に連れてがれていますね。」
「ああ。そういうことじゃ。
そこで、余はトウンの国王とより連携をはかる必要がある。
そこで、王子ウィリアムと共にジョシュア殿に
内密の使節としてトウン国にいってもらいたい。
どうしても戦争だけは避けなければならぬ。
アイリス姫がいないと分かれば
首謀グループでないものたちも戦争の声を上げかねない。
一刻を争うものだ。
行ってくれまいか。」
剣士の目をして結は答える。
「もちろんです。」
結はさっと頭をたれた。
「そうと決まれば、晩餐の時ににでもウィリアムと共のものを引き合わせよう。」
国王は玉座から立ち上がると颯爽と扉の向こうに立ち去った。
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王:「本当の名前教えってくれったってよいじゃろう?」
結:「何故でしょう?」
王:「よく言うのう。何一つこちらの世界について知らないくせに。」
結:グサッ
王:「余がお主が女であることばらしてもいいのかな。」
結:「それはウィルソン国王。卑怯というのですよ。
王という権利を利用して、
この異世界から来た立場のない剣士に命令するなんて!!
言わせていただくとそれは職務乱用です。」
王:「そこまで言わなくともよいではないか。
時にジョシュア殿、
ワシの選んだあのドレスはどうしたのじゃ?」
結:「うざったいのでやめました。」
王:「さぞ可愛かっただろうに。もったいないのう。
せっかく用意させたのにのう。」
ホントに寂しそうに王は言った。
結:(このオッサン・・・。
セクハラ親父的発言!!したぞ、今!!
ぜったーーーい着るかっ!)
どーも。森実です。
今日も結ちゃんは行きます。
やっと本題に入ってきました。
なかなか進みません。
こんな駄文でも読んでくださると、嬉しいです!!