05-03 「アタシの品物でなんかいいものあった?」
それではここで、結たちの仮の姿の設定について確認しておきたいと思う。
結たち3人の設定は自分のオリジナルブレンド紅茶を持って新しい取引先を見つけるためにトウン国を訪問する紅茶商だ。
『Smith & Wesson商会』
これが作った商会の名前で陛下の2人のお師匠様から名前を頂いたらしい。
何の師匠かは未だ謎だ。
世界中にある様々なお茶の販売をする貿易会社である。
その実態は、陛下の旅の費用を稼ぎ出す機関だったらしい。
なぜ、今回こんなに細かい設定がなされたかと言うとそれにも理由があった。
華胥洛との戦争が緩和され、貿易や国交が正常化しつつあると言っても、未だに腹の探り合いが続いているのが現状だ。例えるならば、旅行はできる、だが政府レベルの問題点がいくつかあり解決できないでいる今のロシアと日本のような関係に近いだろう。そのため、今回のような内密の使節を送っていることを知られることは避けたい。それで、華胥洛の中のイミグレーションを通過する際の書類等も紅茶商として作成してもらった。
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「ちゃんとジョシュア君呼んでくださいね。SW003ですよ。とってもかわいいしピッタリでしょう?」
「はいはい。サンちゃんね。」
「だから、そうじゃありません。SW003です。」
そんな会話をしながらウィリアムの後について行くと、東門の前の少し広い広場に出た。
「うわあ」
結が回りを見渡すと、旅芸人の一団やら絨毯の商人やら様々な商人の団体が華胥洛へ向かうために用意を行なっていた。まだ、薄暗いので良く見ることはできないがいろいろな団体がおり、目が釘付けになる。目の前には海苔巻き型に巻かれた絨毯が高く積まれた荷車がある。ペルシャ絨毯のようなのもの、お城にしかれているような花がキレイに織られた絨毯などがあった。きれいなのに巻かれているため、全部見えないのが残念だ。
あまりキレイなのでうちにもほしいなあと眺めていると、ターバンを頭に付けアラジンに出てくるような格好をしている男がウインクをして、腰をクネクネさせながら近寄ってきた。
「あ~ら。Guys。アタシの品物でなんかいいものあった?あなたたちイケメンだから、安くしとくわよ~ん!」
(オカマじゃん!!!良く見るとシタマツゲぱっちりだしぃ。)
結は思わず後ずさってしまう。
すると、それにニコニコにしながら、ルーカスが答える。
「ありがとうございます。これから、僕たちトウンの方に逸材探しに行く予定なので、その折に立ち寄らせていただきます。」
「あ・り・が・と!!お店の名前は『パジリク・カーペット』よん。すぐ見つかると思うわvvv。楽しみにしてるわ!」
ガシッ
「ん?」
(なぜ?私。さっきまで、ルークと話してたじゃん・・・。)
「ブチュッ。じゃあまたね!!」
(ぶっぶっちゅぅう?)
どうでしょうか?