04-06 「本当に陛下?」
ジョシュアは面白い。
まだ、本当の名前を教えてはくれないが、
あの子は純真すぎる。
目が輝いていて、この城にいる者のように濁っていない。
彼女はわたしを見たらどう反応するだろうな?
どうしてだろうか?
わからないが、あの子には私を見て欲しい気がしたのだ。
四六時中つけている変装セットをとると、彼女の扉をノックした。
「は~い。今あけるよ。」
ガチャ。
そこには頬を上気させた彼女が立っていた。風呂あがりなのか漆黒の髪は濡れており、肩には水で服が濡れないようにか、タオルがかけられてる。襟が大きく開いているため、鎖骨が見える。また、寝着ために以外にあった胸の形がくっきりとわかり、思ったよりも華奢な手足と腰と体の線が露出している。なぜか、私は苛立ち、意地悪をしたくなった。
「人違いです。失礼します。」
結は扉を閉めようとした。
「おっと。あってるさ。だってここはジョシュア殿の部屋であろう?」
私は手をかけ、扉が止めた。
「失礼するよ。」
私は目の前でキッと私を睨みつける彼女に少し笑いかけると、スッと部屋に入り後ろ手で扉を閉めてしまった。
「あんた誰?人の部屋に勝手に入っちゃいけないって習わなかったの?」
私の襟首をクッと掴むと彼女は自分の方に引っ張った。
そんな仕草が可愛くって、つい笑ってしまった。
「分からないかな?クククッ。」
「馬鹿にするものいい加減してください!!」
彼女の後ろに細長くキラリとと光るもの(刀?!)が見えた。
ちっちょっとからかい過ぎたな?
私はまだ死にたくは無い。
「わっ悪かった。私だ。ウィルソンだ。」
彼女が喚いた。
「ウッソだぁあああ!陛下はちょっとばっかし口調に威厳があって、もっと中年太りで、オジサンくさくて、近寄ったら加齢臭がするんに決まってるんだから!!それに髪型とヒゲがおもちゃ○国の王様にソックリなんだから!!アンタみたいに格好良く無いの!」
・・・・。
そうとう私の印象はオジサン以外の何者でもないらしい・・・。
ガックリ。
埒が明かないので、先ほどしまった変装セットを取り出すと身につけた。
「これで、どうか?」
今度は彼女は目を真ん丸くして、私を上から下まで眺めた。
「・・・・・。」
そして、プニュプニュと詰め物をして膨らました腹を指で突っついた。
「本当に陛下?」
「もちろん本当だ。」
彼女の不思議そうな顔に向かって、大きく頷く。
「元に戻して。」
言われた通りに、変装セットを取り外し、元に戻す。
「何で陛下は?」
今度は顔を顰めて、私に聞く。
「ウィルソンだ。」
ちょっと、拗ねた顔で彼女を見ると、それは横を向いてこう言った。
「・・・・じゃあ。その格好のときだけだからね。
なんで、ウィルソンは姿を変えてるの?」
「私は仮の王だから、嫁を作らないための対策だ。」
「仮の王?」
「そうだ。元々この国の王は私の兄であった。私はこの国で商売をして得たお金でいろいろな国を旅していた。しかし、兄夫婦が不慮の事故で亡くなったことで、宰相に呼び戻され王にされてしまったというわけさ。でも、期限付きでウィリアムが20で成人するときまで。嫁いるといろいろ面倒くさいからな。王位継承がどうのこうのってさ。だから、女が寄ってこないように、変装してるって訳さ。」
「ウィルソンも苦労するね~。」
「まあな。まあ、あと1~2年の話だがな・・。」
「!?ってことはウィリアムっていくつ?」
「19だった思うぞ。確か、ルーカスも同じだな。」
「ゲッ。タメ?」
「ため?」
「同い年ってこと。」
「えっ?ジョシュアって19?」
はっきり言って13~15くらいにしか見えませんでした。
「・・・。見えなかったって言いたいんでしょ。
そんなの分かってるし・・・。」
あっイジケた。
彼女はクルッと私に後ろを向けると棚の中からティーセット取り出すと、魔法瓶になっているティーポットからジャスミンティーを2カップに注ぐとソファの前のテーブルに置いた。そして、私の方を見ると彼女は自分の隣を指差した。私はそこに腰を下ろした。
「どうぞ。で、私っていくつくらいに見える?」
「15歳くらい。」
「年寄りに思われるよりはマシだけど、子どもっぽいっていわれてるみたいでなんか複雑。でも、それ貰った。さすがに男の姿で19はキツイと思っていたから。声変わりもしてないし、背も低いしね。15で通すことにするよ。」
「それがいいと思う。」
「ちょっと、気になったんだけど、そうするとウィリアムはウィルソンの子じゃないわけね?」
「当ったり前さ。今、30だ。クックックッ。さすがに11で子どもはないだろ。ウィリアムは兄夫婦の子どもだ。昔は良く笑う元気のいいガキだったんだけどな。両親の死があいつを変えてしまったんだ。それから、ヤツがまともに笑うとこなんて見ていない。」
コツン。
「ん?」
「スー。」
隣りを見ると彼女が私の肩に寄りかかって無防備に眠っていた。
「こんなに無防備じゃ襲われても知らないぞ?」
男の前でこんな姿でいちゃいけないと後で教えておく必要があるな。
「ふうー。」
私は彼女を抱き上げる。
すると、彼女は一度身を捩ったが、ますます私に体を寄せてきた。
とりあえず、ベットまで運び寝かせる。
私の手は何を思ったか彼女の漆黒の髪をすいていた。
髪からは石鹸の清潔感のある香りが香る。
そして、その柔らかい頬に唇を一度、寄せると客室を出た。
何をしてるのだ、私は?
きっと世話の焼ける妹を持つとこんな感じなのだろう。
窓の向こうの月が幻想的な城へと変えていた。
私もきっとその魔法に罹っていたのだろう。
なんかウィルソンさんおかしいです・・。
どうしたのでしょうか?
はい。気を取り直して次からやっと冒険が始まります!!!
解らないことがあったら、質問ください。
拙い文章ですみません。
感想やコメントお待ちしています。
↑↑これによってやる気になります。(o^∇^o)ノ。