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03-07 「アホ。」

そして、いつものようにおじい様が残していった


中央にあるアンティークなソファに座って、


前にあるソーサーに乗った紅茶をテーブルにおく。


読みかけの本を開く。




その時だった。


歯車が回りだしたような、音を聞いたのは・・。






ゴゴゴゴ




という歯車がまわる音がしたと思うと、


正面の壁に作りつけてある本棚がギギギィと動き出した。




周りの掛けられた額が揺れる。




注意深く見てみると、本棚の幅を直径として描かれていた床絵の半円が本棚ごと動いていることが解った。


床絵は中央の床を大きく丸く切り取り、その部分を回転させる機構を


カモフラージュするために描かれていたのだろう。




カチャ


オレは目の前のアンティークテーブルの裏に貼り付けられている護身用の毒塗りの短刀に手を掛ける。




ちょうど本棚が半回転した所でガコッと歯車が型に


はまるような音がして本棚と床絵の動きが止まった。




ドサッ


音がして、本棚にへばり付いていたものが、本と共に剥げて落ちた。




ソレはモゾモゾ動き出し、本棚の中から這い出てきた。


「痛てててて・・・。」


ソレはオレに気づく風もなく、本棚の方を向いて大声をあげた。


「なんなのさ!!急に本棚のくせに。急に回りやがって・・・!!」






勝手に他人の部屋とりでに侵入しておいて無視か・・・。


おもしろい。




オレは手に掛けていた短刀数本を手に取った。




シュッシュッシュッ!!




ソレに向かって投げつけた。


すると、どうだろう。


ソレは無駄な動きなく、短刀を避けた。


なかなかやる。


ソレがオレを見る。


ソレの瞳は澄んだ黒、そして髪は艶やかな黒だった。


見たことの無いその配色にオレは一瞬、目を逸らせなかった。




それはオレの表情を気にする風もなく、眉を顰め、ビッシッと指でさし大声をあげた。


「危ねぇっ。あったたらどうすんだよ!!


そういうものは人に向けちゃいけないって教わんなかった?」








ソレの黒い瞳がはオレを見た。


オレを目に留めるとその目を大きく見開き止まった。




おまえも同じか・・・。




オレは一気に興味をなくし、ソレを睨みつけた。






すると、どうだろう。


それは睨み返してきた。


オレは初めて返された反応に戸惑う。


いままで、どんなヤツだろうと、


オレが睨みつければ目を逸らした。




やはり、おもしろいヤツだった・・。




オレはフッと一瞬、目を伏せる。


そして目を真っ直ぐ、それに向けた。


すると、ソレはマヌケな面でオレを見ていた。




「アホ。」


オレの口から自然に出てくる。






ピキ・・・。




「ああああアホぉですとぉ????!!


人の顔を見て早々、失礼なっ!それに急に刀投げつけるな!!


死んだらどうしてくれるんだ!!


それが人に対する礼儀かぁ?


まず、名乗れっつーの。」




ハアハアハアハア


頭に血が上り、思わずまくし立てながらソレは近づいてきた。




オレは驚いた。


オレに向かってこのように怒りをぶつけてくるヤツは今までいなかった。


その声が何かなつかしく、そして何か新鮮に感じた。




すると、それは横を向いて黙ってしまった。


しかし、頬は膨れている。


イライラしてるのか。


ガキめ。




「フッ」




オレはソレを見て問いに答えてやった。




Will(ウィル)だ。アホ。」


ソレがまたアホの所で思いっきり顔をしかめた。


よほど、アホが気に食わないらしい。




オレを睨みながら不機嫌そうに口を開く。


Joshuaジョシュア


ちゃんと名前で呼べ!!!アホアホいうな・・。それにアホとはなんだ。アホとは?!」




表情が良く変わるヤツだ。


それにしてもアホも知らないのか?


・・少し、遊んでやろう・・。




そしてオレは目の前のテーブルの上に置かれている本の中から事典を取り出して読み上げた。




「『アホ』世界三大珍獣の1つ。


「珍獣かよ!!」


・・・生息地は熱帯の川や湖。体長(頭胴長)約3.5- 4 m、体重約1.2- 2.6 t。


頭部は非常に大きく、顔の側面上方に眼・鼻孔・外耳が一直線に並んで突き出しているのが特徴であり、


水中からこれらだけを出して周囲の様子をうかがっている様子がしばしば見られる。


鼻孔は自由に開閉することができ、水中での水の流入を防ぐことができる。


顎の筋肉が非常に発達しており、関節の構造と相まって、口を150度まで開くことができる。この巨大な口には、長く先のとがった門歯と犬歯が生えている。


中でも下顎の犬歯は長さ40- 50cmほどにも達し、自らの口腔を貫いてしまう場合さえある。

しっぽは逆三角形をしていて、蹄の数は4つ。

胃は3つに分かれていいるが、反芻はんすうはしない。


草食性で水生植物、木の草、草ゴケなどを食料とする。


つぶらな黒い瞳と茶色~こげ茶色の体色をしている。


一見とてもおとなしく、おっとりしており、無害に見えるが、自分のテレトリーを荒されると凶暴化し、


動物だけでなく、人間にも襲いかかる。


夜は餌を探すため、地上にあがってくることもある。


最高30Km/時及ぶ速度で走ることができる。


またその・・・。」




「そんなに私はドンくさそうにみえて、獰猛か?!」


するとホントのアホのように鼻息荒くジョシュアは近づいてくるとオレの今読みあげている本を奪った。


「ちなみにいうとそれがアホだ。」


アホも知らないジョシュアに親切に教えてやる。


広げられている所ををちらりと見たジョシュアは余計に怒る。


「・・・かばじゃな~~~~~~~~い。人間だああ!!」


思いっきり、耳元で叫けばれた。




あまりの煩さにオレはハエを払うような仕草をした。


「・・・うるさい。出て行け。」


そう言って、手元にあった読みかけの本で顔を隠す。




ジョシュアはオレの持っていた本を叩き落とすと、オレのの顔を両手で挟んで自分の方に向かせた。




「ああ?わかりましたよ。出て行きます。


フフフフフそうですよねぇ。お邪魔しましたぁ!!


すぐに消えます。ここにいる必要もないですもん。


ああ疲れたぁ・・。それではさようなら。」




そう言いたい事だけ言うと、


ジョジュアは1冊の本を拾って、本棚をのぼると本を差し込んだ。




すると、先ほどのように本棚を直径とした半円は奇妙な音を立てて廻り、180度の所で止まった。




オレはしばらくその目の前の本棚を眺める。


「いなくなったか・・・。」


オレはあのジョジュアとか言うあの珍獣アホを思い出す。


珍獣アホの目はオレを威嚇しているにもかかわらず、透き通っていた。


あんな瞳を見たことがあっただろうか?


人とは皆、濁っているものだ。


ここでは皆が顔で笑って、いつも自分の立場良くなるよう、地位があがるように工作している。


そして、オレもその一人。




フッ。




さて、アレの瞳はどのくらいあのままでいられるのだろうか・・・?




ウィルはパタンと開いていた本を閉じると、降りたときに使った階段をのぼる。


ウィルの顔には先ほどの結をからかっている時の表情はなく、


無表情の仮面に変わっていた。



どーも。森実です。

Will視点が書けました!!

結ちゃんはアホを人を馬鹿にした呼びかけと思っており、

ウィルはアホという珍獣と思っていました。

解らないことがあったら、質問ください。

拙い文章ですみません。


第3章の番外が『玉手箱』の方にUPされています。

よかったら、みてください!!



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