03-05 「殿下。ダージンティでございます。」
トポトポトポ・・・。
白亜の城のある一室。
時が静かに流れる中、
美しい陶磁器のカップの中に薫り高い紅茶が注がれる。
「殿下。ダージンティでございます。」
心なしかそう言う侍女の声が震えてる。
彼は執務デスクの上に置かれた紅茶のソーサーを左手で持ち、
右手のカップを口元へ運ぶ。
その度に、絹のような肌に美しい金髪が流れ、透き通る翠玉の瞳が伏せらる。
あまりにもその容姿と仕草が美しいために、侍女は目を奪われる。
すると、彼のその美しい翠玉の温度が一瞬にして下げ、
冷たい目を侍女に向けた。
「ヒッ・・。」
慌てて目をそらし、また震える声で、「しっ失礼いたします。」と言うと
足早に退室した。
「フ。」と息をつく。
オレはカップをソーサーに置いた。
どいつもこいつもオレの顔を惚けた顔でみやがって、
オレは見世物じゃない・・・。
チャリ
オレの手の中で巧妙に作られた黒真珠の
キーストラップが音をたてる。
オレは紅茶のティカップをソースごと片手に持つと、
自分の寝室の壁に飾られているおじい様とおばあ様の肖像画のところにいく。
そして、いつものように額縁の端の一部を少しずらすと凹みが現れる。
そこに黒真珠のキーストラップをはめ、右に3回まわす。
肖像画の部分が扉のように開き人1人通れるようになる。
中に入り螺旋階段をおりると、
もうひとつのオレの書斎・・・いやオレの砦だ。
そして、いつものようにおじい様が残していった
中央にあるアンティークなソファに座って、
前にあるソーサーに乗った紅茶をテーブルにおく。
読みかけの本を開く。
その時だった。
歯車が回りだしたような、音を聞いたのは・・。
どーも。森実です。
やっと新キャラ登場しました。
今回は短いです。
次は長い予定です。
感想やコメントお待ちしています。
↑↑これによってやる気になります。(o^∇^o)ノ。