03ー03 「すみませんがここは図書館です。」
「そうこうしている間に着いたよ。
ここが王宮管理図書館だ。
案内してあげられたらよっかったんだけど、
あいにくこれから用事があってさ。残念だな~。」
「そんなことないです。
ここまで連れてきて頂いただけでも十分ですから。
本当にありがとうございました。」
ペコリと結は頭を下げた。
「お役に立ててよかったよ。
じゃあ、わたしは行くから。ゆっくり見てってね。」
アメシストは結にその紫色の瞳でウィンクして去っていった。
結はアメシストのウィンクに目を見開いた。
(ウィンク・・。こんなに似合うヒトがいるんだ・・。
今の何?スゴイ色気。夢見る乙女ならメロメロだよ。
結構たらしだったりして。)
「・・・おっといけない。
さてっとやっと着いたってわけか。
ここが王宮管理図書館ね。」
結は国の財力を象徴するかのように自分の前にふさがる
その無駄に大きくて細かな彫刻が彫られた豪華な扉を開け中に入っていった。
結の目の前に広がったのは本本本だらけの高さ2メートルの本棚が
どこまで続くんだろうと言うくらい続いている。
一本一本の通路は現代の所狭しと並べられた古本屋のように狭くなく、
ゆったりその5倍はとってあるだろう。
「なんだここは・・・・。
うわーーーーー。すごい量ーーー。
それにおっきい!!!!」
「あの・・・。」
結は息を吸った。
(ん。本の香り。イヤされるーーー!!)
「あの。」
「ん?」
結はまだ幼さを残している少年の声のする後ろをみた。
後ろにいたのは髪は緋色と深緑色の瞳の成長途中の少年だった。
結の髪と瞳を見て目を一瞬見開く。
「黒い瞳に髪・・・。」
「おう。何だ少年?
すごいな!!!ここ。
なんでこんな本があるんだよ!!!」
と結は感動のあまりその少年の肩を掴むと揺らした。
グラグラグラッ
少年の首がガクガクいっているが興奮している本好きな結は気づかない。
口から少年の魂が抜けそうになる。
「はっ!!ごめん。感動したらつい・・。」
やっと気づいた結がハッと手を離した。
「・・・・。僕は大丈夫です。
すみませんがここは図書館です。
他のお客様もいらっしゃいますので、静かにして頂けないでしょうか?」
先ほどの結のグラグラ攻撃のせいか顔が青白い。
ハッとして結は周りを見回した。
不特定多数の目が結に向いていた。
(ゲッ。目立ってる。大量の本に感動しすぎたな・・。)
「ホントごめん!」
結が今度は音量を抑えた声で言った。
「まあ。確かにここの図書館はこのサイリニア王国で一番大きく、
自国のものから異国のものまで幅広く揃えていますから、
驚くのはしょうがないですけどね・・。
あなたは初めて利用される方ですね。
利用される方にはIDカードを作って頂くことになっておりますので、
こちらの欄にご記入お願いします。
カードは後日発行し、お渡しさせて頂きます。」
少年は近くにあったカウンターから利用登録用紙を取り出し、
結に羽根ペンをわたし、書くように促した。
結は青くなる。
(...((((( ̄‥ ̄;) マ、マズイ。何が書いてあるか分かるけど、
アルファベットがどんな法則で並んでいるか分からないし、
こんなんかけるわけないじゃん!!
どうするかどうするか・・・(゜_゜i)タラー・・・
ここはしょうがない!!アレで乗り切るしかない。)
結は片手をポケットに手を突っ込み、もう片方の腕をカウンターにのせ
取り調べのためバーに来た刑事のように低くかすれた声でいう。
「・・・ジョシュア・ルーズヴェルト。
後見人はウィルソン・アーサー王だ。」
自分の演技に酔った結は少年の目をばっちり見つめる。
「はあ~。」
先に目をそらしたのは少年だった。
「ですから、ここにですね。
記入していただきたいだけなのですが・・・。」
(チッだめか・・・。
次はコレで行こう!!)
結は今度はニッコリ笑い、わからなかったのかなという感じで、
首をかしげ、サッと記入ボードを少年の方に回した。
「キミ、わたしはジョシュア・ルーズヴェルトだ。
後はウィルソン王に聞いてくれ。
わたしのようなのものにこのようなものは書かせてはいけない。」
結はあの腹黒タヌキのように偉そうに言ってみた。
そして、「ハッハッハッハッ!!」とそそくさと本棚の陰に大股で歩いて入る。
(よし!まくぞ!!)
とにかく、まくためにぐちゃぐちゃに走った。
「ハアッ・・。
ハアッこのくらい走れば大丈夫かな?」
結は周りを見回した。
「まあ成功ってとこか。
追いかけてこないし。
さて、本を探すか・・・。
にしても、広い・・・。
こんなとこじゃ、探すのに日が暮れちゃうよ。
一体何冊あるんだよ。」
結は走ってきた方を見る。
「ぐちゃぐちゃに走ってきたから・・。迷った( ̄Д ̄;;
わたしとしたことが超不計画だし・・。
聞いときゃよかった。ブツブツ・・・。」
「ここは全国の伝承?
違うんだよな・・。私が探しているのは・・・。」
ブツブツ言いながら、結が歩いていると
先ほどの緋色と深緑色の瞳の少年が近づいてきた。
(ゲッ)
結が逃げ出そうと、後ろを向くと少年に声をかけられた。
「お探しの本はありましたか?ジョシュア様。
どんな本をお探しで?」
結の耳がピクピク動き、首がギイイという音を立てて振り返った。
「キッキミ。助ケテクレルノカイ?」
結が少年の手をとった。
(なんて優しいんだ(☆。☆)少年!!大志を抱け。感動じゃ!!)
少年は結に感動の眼差しを向けられても、
微笑みを絶やさず、対応する。
「どういった本をお探しで?」
「簡単にこの国の地理のことが分かる本を探しているんです。」
少年の笑顔が一瞬変わったような気がしたが、気にしない。
結は希望の眼差しで少年を見た。
「それでしたら、比較的近くにありますよ。
そこの先の通路を語学の棚側に入ります。
その2つ先の棚を右に曲がると医学の棚があります。
その通路の突き当たった正面が地理学の場所になります。
それでは私はこれで・・・。」
上手に少年はにこやかに微笑み、結の手を解くと去っていってしまった。
少年が角を曲がったところで結はハッとした。
「まて!少年よ。」
結はその角までいってみたがもう少年の姿は見えなくなっていた。
「チッもういないし・・。
連れてってくれっりゃいいのに・・・。
また迷子になりそう。
まあ。とりあえず、教えてもらった通りに行ってみるか。」
結は歩き出した。
*******
1時間後
「・・どんだけ広いんだよ。
やっと医学の棚の通路まで来たのに・・。
まだつかないし!!
この図書館のバァカア!!!
量がありすぎなんだよ。マヌケ!」
結はワーワーわめいた。
すると結の背中に跳び蹴りがとんできた。
「だから、うっさいんだよ。」
疲れがたまっていたせいもあり、
いきなりの不意打ちにおもいっきり結は吹っ飛んだ。
「ギャーーーーーーーー☆(/+O+)/」
ウ○トラマンの怪物のような声を結が出す。
華のハタチならキャーにしておきたいところだった。
結は吹っ飛ばされ、突き当たりの本棚にぶつかり止まった。
「ィタタタ・・・。華のハタチに何するんだよ。
けっとばさなくたっていいじゃん。
たんこぶできたし。」
結がおでこにできた瘤をなぜながら振り返ると
あの緋色の髪がかなり先の角を左折した。
「あの少年め。後で覚えていろよ・・・。」
結はぶつかった本棚を見た。
あらゆる所にこちらの言葉で地理と書かれている。
「みつけた・・・。ヤッタア!ヤッタア!ヤッタアマン!!
しょうがない。
けっとばされたから見つかるのが早まったのは間違いないから、
むかつくけど、許してやろっと。」
結は機嫌を直してニコニコしてた。
どーも。森実です。
今日も結チャンはいきます。
なんかキャラが・・・?
大丈夫でしょうかいけますかね?
そろそろお姫様を助ける王子様に会うはずです。
でもサブのサブが邪魔して出てこれません。
まだまだ出てきます。サブちゃんズ
く( ̄Д ̄)ノガンバレーーー♪
王子様とわたし!!