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97話


 俺はいつもお世話になっている宿に帰って、カルミアたちに今日の偵察結果を報告して眠りについた。彼女たちも各々で休みを満喫したようで、翌日の依頼に備えて気合充電も十分なようだ。


 休みの間、カルミアたちにも色々なことがあったようだが、サリーが眠そうにしていたので、話もそこそこに寝床に戻ることに。彼女たちに起きた出来事は、時間があれば詳しく聞いてみたいところだ。


 日が明け、カルミア、サリー、イミスとスカーレットのフルパーティーで学び舎へ向かう。


 「昨日宿で話をしたように、皆にも、どの子を育てるか判断して欲しいんだ」


 俺の言葉にカルミアが意見する。


 「…それは良いけど、どうやって判断すれば良いの?」


 カルミアの疑問も、最もな意見だ。俺たちは戦闘ばかりしてきたし、育成の経験なんか無い。どの子に適性があって、パーティーに向いているかどうかを小難しく考えても、なかなか良い答えは出ないだろう。ただし、フォノスは、明らかに隠密系と高い親和性を持っていることは分かるのだが…そういった分かりやすい子だけでは無いからな。


 「そうだな…カルミアが剣を一番教えたい奴を選んだら良いと思う。他の皆もそうしてくれれば良い」


 「…そんなことでいいの?」


 「あぁ、カルミアの剣の腕は信用している。信用している剣士が選ぶ子なら、その子のセンスは間違いないと思っている」


 「ねェ!サトル!アタシもそんな感じで子供たちと触れ合えば良いのかナ!?」


 サリーは目を輝かせて腕をワキワキさせる。こ、これは…絶対遊ぶことしか考えていない目だ!でも、予想外の結果を生む可能性もあるので、自由にさせてみよう。


 「遊びに行くわけじゃないからね…?気になる子がいたら俺に教えてくれ」


 「うん!わかっタ~!楽しみだネ~!」


 「サトル君、ウチもカルカルたちと同じ感じで良いの?」


 「あぁ、イミスもスカーレットと一緒に戦士にふさわしい子を見つけてほしい」


 「腕がなるね!やっぱりゴーレムの良さを分かってくれる子が良いなぁ~!スカーレットを見せたらきっと皆驚くよね!すれ違った人たち、みんなスカーレットを見てビックリするし!」


 「マスター、わたくし、怖がられないでしょうか…」


 「大丈夫!リボンつけてあげるから」


 そういう問題なのだろうか…いや、気にしないことにしよう。


 ともかくこれで、それぞれが選抜したメンバーを集め、臨時のパーティーにしようというのが俺の作戦だ。パーティーの相性が良ければ、そのまま特訓をしてもらって、ギルドの依頼を受けさせる。うまくいってくれれば良いが…


 宿からしばらく歩いて、ヘラヘクス神教戦闘学校に到着する。昨日と違って朝だからなのか、教会の中が子供たちで賑わっているのが分かる。教会の入り口扉は大きく開放されており、中の様子がよくわかった。今は皆でお祈り中のようで、教壇前に立つドメーヌを先頭に、大型のヘラヘクス神像へ祈りを届けていた。


 俺たちはお祈りの邪魔にならないよう、入り口付近で終わるのを待つ。子供たちは願いごとを像へ向かって熱心にぶつけていた。超強くなりたいとか、今日は美味しいもの食べたいとか、そんな感じのお願いだらけで微笑ましい。きっとヘラヘクス神も、可愛らしいお祈り?にホッコリしていることだろう。


 少ししてお祈りが終了し、教会から併設されている教室へ、ぞろぞろと子供たちが向かっていった。教壇付近にいたドメーヌは、俺たちが入り口に居ることに気がつき、手をふって迎えてくれる。


 「サトルさ~ん!さっそくパーティーの方を連れてきて下さったんですねぇ~!」


 「ドメーヌさん、おはようございます。はい、俺の自慢のパーティーメンバーです。皆とんでもなく強いので、生徒さんたちにとっても、良い刺激になると思いますよ」


 「それは楽しみです~。皆あれからソワソワしちゃってて、眠れていない子もいるらしくて…午前中は座学、午後は広場で運動の時間として設けてありますので、よろしくお願いします」


 「そんなに楽しみにしてくれていたんですね!分かりました。それでは座学は見学しつつ、運動の時間には俺のパーティーメンバーたちと触れ合って頂くスケジュールでも問題ないですか?」


 「はい、それではこちらへどうぞ」


 ドメーヌは俺たちを教室へと案内するために先に歩いていく。すると、すかさずカルミアが俺の手を引っ張った。


 「ん?カルミア、どうしたの?」


 「…後ろで隠れてサトルのことを見ている子がいる。殺気は無いけど…どうする?」


 全く気がつかなかった…ということはフォノスだな…。


 「ちょっとその子と話をするから、皆は先に行っててくれ」


 「…ん、分かった」


 誰も居なくなった教会でしばらく立っていると、やはり彼が物陰から現れたのだった。



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