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完結編 42話


 肉塊は数珠つなぎの巨大なムカデのような姿となって、俺たちに迫る。


 今までであれば、成すすべなく倒れていただろう。


 だが、今の俺たちは負ける気はしない。


 「カルミアさん、ぶった切ってやって!」


 「ふふ…任せて」


 (彼女に力を…分け与える!)


 「[レイド・パス]…カルミアさんへ力を!」


 意識が一瞬だけ途絶えるが、問題はない。


 俺の宣言で、神性を纏った力が無尽蔵に湧き出て、カルミアに注がれる


 「はぁあああ!」


 カルミアは愛刀に力を込め、電光石火の構えをとった。


 驚くべきことに、彼女の背の羽が大きく広がり、刀の幅は十メートルとも思えるほど雷光によって伸びている。天使と悪魔の対峙のようだ!


 やがて、カルミアは巨大ムカデと交差するように一閃を放った


 光が幾度も交差していき、悪魔を蹂躙する


 「[神聖・雷閃一文字]!!」


 数珠つなぎとなった肉の塊が縦に一刀両断し、彼女の降りぬいた刀の軌跡から雷撃が追いかける。やがて、神性を伴った天誅は轟音と成って黒い世界を光で染め上げた。


 「キシイイイイイ!!」


 ネヴァー・イーターが『初めて』痛みらしい痛みを感じたように叫んだ!


 「効いてるぞ!」とアイリスが叫ぶ


 「よし…態勢を立て直す暇を与えちゃいけない!イミスさん!カルミアさんに続くんだ![レイド・パス]…!!」


 足元に力が入らなくなるが、どうにか立ち上がる


 神性の奔流はイミスに更に注がれ、彼女の髪色が白く、目の色は黄金に輝き、翼が広がった。同時に、彼女が扱うヴァーミリオンも、神々しい光に包まれる。


 イミスはビーコンをネヴァー・イーターの肉塊の一部に打ち出し叫ぶ


 「サトルから預かった力…無駄にはしない!!いくよ!マイシスター!これが本当の砲撃だ…!」「準備万端デスよ!」


 ヴァーミリオンそのものが弓の携帯に変化し、イミスが弦を引いた


 「[封魔・カロネードデストラクション]!!」


 神性が込められた暴力的な魔力が黒き空間を歪めながら、一直線に肉塊を過ぎる。砲撃が通った空間はねじ曲がり、何度も執拗にネヴァー・イーターの体を一閃し続けた。やがて、矢の威力が収まる。その間はわずか数秒程度


 ネヴァー・イーターは反応する余地すらなく、時間差で爆散した!


 「…どうだ!」


 肉塊は再生に失敗するが、爆散した肉塊を一か所に集め、元の小さな姿に戻る。だがいくつかの目は閉じられており、一部は欠けている。体に異変が起きているのは明確だ。


 (ダメージが通っている!)


 「キシイイイイイ!…:*;[.,;:**:.,*」


 もはや人らしい言葉を発しなくなったネヴァー・イーターは触手を突き合わせ、何等かの魔法を発動させようとする。だがそれを許すほど、俺も、俺の仲間も甘くなかった。


 「アイリスさん…!受け取って!!…[レイド・パス]…っく!」


 俺の爪が黒く変色していき、代わりに生命力を力に変えるように、彼女へ光が降り注ぐ。


 (だが、この程度、なんの問題もない!)


 「お前の想い、確かに受け取った…![真・ブレード・エクスヒビジョン]!!」


 アイリスの髪色も白く、そしてイミスと同じように黄金の目を持つ。翼は蝶の羽の形で広がり、剣は神々しさ故に、持ち手すら光で見えないほど輝いていた。彼女の周囲には無数の金の蝶が舞う。


 一歩でネヴァー・イーターまで迫り、その触手を切り飛ばした。


 「キシイイイイ!!キシイイイ!?!?」


 「ふん…そんな気持ちわるいもの、飾りたくもない」


 アイリスは切り落とした触手と蹴とばし、空に向けてネヴァー・イーターを斬り上げる。その間、一切の反撃を許さないかのように、ネヴァー・イーターは体の自由が奪われた。


 (よし…これなら…!)


 「フォノス!追撃だ!受け取れ![レイド・パス]!!」


 俺の生命力を立て続けに放ち続けたせいか、目や鼻から血がこぼれ出す。


 (目の前が少し赤くぼやけるが、まだ大丈夫だ……)


 フォノスは莫大な魔力を受け取り、カルミアたちと同じような見た目の変化を起こした。すべてを二刀流の小刀に注ぎ、宙に浮いたネヴァー・イーターを滅多刺しにする。


 「もうそろそろ、全ての目を閉じるべきじゃないかな…[殺陣抜刀奥義・エンジェ・オブ・ジュリエンヌ ]!!」


 目視するのが難しいほどの執拗な連撃、おそらく数百数千に渡る斬撃を繰り出し、地へ蹴とばした


 ネヴァー・イーターは無抵抗で自由落下し、グチャリと黒い地へ衝突した。


 (仕上げだ!)


 「う…く……サリーさん!受け取って!…とどめを決めろ![レイド・パス]…!」


 攻撃に専念できるように、俺の異変は絶対に悟られてはならない。


 「ごは……く…そ。負けない。負けてたまるか!」


 吐血するが、運よく見られてはいなかった。みんな戦闘に集中してくれている。


 力を振り絞って、彼女へ神性を渡す。


 「アタシとサトルと……たっくさんの笑顔のためニ、ここで決めル!」


 サリーの人外じみた魔力は更にあふれるように暴走し、黒き空間が全て蒼白いオーラで上塗りされる。これはすべて彼女の魔力だ。サリーの見た目も神々しく、銀髪に黄金の瞳、そしてゴブリンを装飾したヘンテコな杖のゴブリン部分の目まで光っている。ちょっとだけおかしな、彼女らしい変化だ。


 「[イリュージョン・カタストロフ]!!」


 彼女が思い描く、最強の攻撃イメージが具現化される。


 突如、上空からイミス制の城壁ゴーレム。エクスターミネーターが飛来した。


 「え…!?ウチの子!?しかも隕石みたいに飛んでくるよ!?」


 イミスもびっくりだ。


 当然、何十メートル以上もある質量の塊が上空から飛来してネヴァー・イーターにぶつかる。


 その威力はとんでもないものだろう。


 イミスは全員を集め、距離をとって盾を展開した。


 飛来した超巨大ゴーレムは身動きが取れないネヴァー・イーターに直撃し


 黒き世界がぐにゃりと歪み、爆発した。



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