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領主編 127話

 * *


 ソリアムは余裕の微笑みでイミスとヴァーミリオンを見下ろす


 「お人形さんとの作戦会議は終わりましたか?」


 「…えぇ、待たせたわね。それと、ヴァーミリオンはウチの家族だよ。人形じゃない」


 「…ッまたそれですか。そんな虚勢で何が変わると言うのです」


 ソリアムが手を振り下ろす動作と連動するように、巨大なゴーレムのアームハンマーが彼女らを襲う


 「マイシスター!」「ええ、分かっているよ。ヴァーミリオン、そしてスカーレット……ウチに力を貸して…!!『シンティクシィ・オフェンシブフォームチェンジ』!近接戦闘にシフト!」


 繋いだ手からヴァーミリオンが武器に変形していく。しかし、それは今までのようなスタイルではなく、イミスが最も得意とする近接武器…


 「モードシフト!…完了!」『マイシスター!準備完了よ!』


 防御と機動性のリソースをすべて攻撃要素につぎ込む。武器はやがて身の丈ほどあるハンマーに姿を変えた。スカーレットと合体していた時によく変形していたスタイルである。ブーツに搭載されていたジェットが、そのままハンマーの頭部に搭載されていた。


 ヴァーミリオンの力を集約させた怪物武器は、ジェットを吹かせて猛る


 「『オプショナル・アタックフェーズ…勇気のオーラ』…全開放!」


 迫る壁を見据え、四股を踏むと地鳴りが起きた。


 大きく足を開いた状態で姿勢を安定させるとハンマーを深く構え、力を込める。猛るジェットと呼応するように紅きオーラが全身を纏う


 ゴオオオオオオ…


 ハンマーの柄がギチギチと音を立てている。ヴァーミリオンがイミスの力に耐えられるかはギリギリといったところである。イミスとヴァーミリオンの信頼関係が無ければこの技は出せないだろう。


 イミスとヴァーミリオンの声が一つになった


 「『私たちは、真っ向から打ち勝ってみせる!!』」


 目前まで迫った壁に、そのすべてをぶつけた!


 「勇打炎鎚、一球入魂……『ヒロイック・オブ・トールハンマーあぁあああ!!」


 暴力の塊と暴力の塊が激突する


 力と力がぶつかり合った衝撃で、激しい烈風と衝撃波が走った


 巨大な拳をハンマーひとつで支えている状況のまま停滞


 カイエンは叫ぶ


 「受け止めただと…!ありえん!押しつぶせ!そのまま体重をかけろ!」


 だがゴーレムは、拳を振り下ろした姿勢のままピクリとも動かない


 やがて、ハンマーと拳の接点から、ゴーレムの腕に細かな亀裂が入っていく


 ピキ…バキバキ……


 イミスの力が圧倒的に上回っていたのだ


 「ば…ばかな…ありえん…人間如きにこんなことが…」


 カイエンの言葉も虚しく、ゴーレムの亀裂はやがて全体に行き渡り…


 バアアアアン…


 大きな音と共に砕け散った


 (イミスの完全勝利だな…)


 俺は、半開きになったルールブックを閉じて懐へ戻した


 ゴーレムの肩に乗っていたカイエンは驚愕しつつも自由落下し、そのまま地面に激突


 (普通であれば死んでいる高さだが…奴の体と魔力はデオスフィアで強化されている…)


 剣を支えに立ち上がるカイエン 息も絶え絶えである。


 「ゴホ…カハ…はぁ…。はぁ…。たしかに…その力、見誤っていたことは…み、認めよう。ゴホ…ゴホ…だが、む、無駄だ。私にはまだまだ魔力がある。この体もすぐに回復し、ゴーレムも、無尽蔵に生み出せる…見ろ」


 (まずい…謎の回復能力か)


 カイエンが両手を広げ天を仰ぐ


 「この偉大なる石により、私は何度でも蘇る!何度でも戦える!」


 空虚な声


 …


 何もおきない


 …


 カルミアたちの加勢を検討すべく突撃の合図をしようとしたが


 何もおきない


 ただ、カイエンが両手を広げている様子が続くだけ


 身構えていたイミスも困惑する


 「…何も、おきないね。ハッタリかな?」『マイシスター、何もおきないわ。ハッタリだわ』


 当人であるカイエンが一番驚いていた


 震える両手を顔の前に運び、目を見開く


 「な…ない。ちからが…ない。なぜ…回復しない…?……は!書斎からの…つながりが消えている…!?」


 (ん…何の話だ…?両手のデオスフィアは力を使い切っていて、変色しているように見えるけど、そんな話をしているようには感じられない…)


 イミスはチャンスとみてハンマーを振り上げ接近する


 「よく分かんないけど、これで終わりだね!」


 「ま、まて!私の名声は、こんなところでは―」


 ガンッ!


 カイエンが会話を試みるが、無慈悲な一撃が頭にお見舞いされてしまった


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