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31話


「グエエエエ!」


突撃を繰り返すビッグランスフィッシュ。二度、三度とカルミアが俺たちを庇いながら攻撃を躱し、時にはパッシブスキルのオートインビジブルミラーで攻撃を躱す。カルミアが俺たちを庇う度に激しい音と火花が広がる。俺たちもクロスボウを撃ちまくって牽制するが、硬質化した表面に弾かれてしまい、有効打を与えられないでいる。更に最悪なことに、クロスボウは水を浴びてしまい矢が思ったように飛ばなくなってしまった。


「ハァ…ハァ…」


カルミアの体力もそろそろ限界に近い。何か手を考えなくては…ん?


「グ…グエエエ!」


空中を泳ぐランスフィッシュの動きが明らかに鈍くなっている。何故だろう…?ランスフィッシュは水から出ると体が硬質化する特徴を持っている。こいつは何度水から出ても自由に動くと思っていたが、水と空を行ったり来たりすることで明らかに動きが悪くなっている。ということは…


「カルミアさん!あと一回だけ防げるかな?奴を水に落としてほしい」


「…やってみる」


「よし、サリーさん!相手の口を一瞬だけで良いから無力化してほしい」


「まっかせてェ~!」


ビッグランスフィッシュも疲れているのか、力を振り絞って突進してきた。ギリギリまで引き付けて…


「…サリーさん!今だ!」


「レッサーポリモーフィズム!」


サリーが呪文を唱えると、ランスフィッシュの口元がバネのようなスプリング状に変化する。おかげで相手の突撃による衝撃が緩和された。そのチャンスを最大限活かし、カルミアは剣で相手を水に叩き落とした。非常に強い力で叩きつけたようで、激しい水しぶきが上がる。休む間もなく、水から勢いよくランスフィッシュが再度出てくるが様子がおかしい。体はガチガチで魚類特有の遊泳運動ができなくなっている。今はただ空中に浮かぶだけの的だ。サリーの呪文で変化させていた口元の変化は解けてしまったが、これは千載一遇のチャンスだ!!


「グググ…ググググ…」


「カルミアさん、今だ!相手は動けなくなっているぞ!」


「…ダメ。相手が硬すぎるわ」


すると今までずっと泣いてたおっさんが急に真顔になってアドバイスしてくれた。きっと勝機が見えたので持ち直したのだろう。


「おう!嬢ちゃん、そいつがランスフィッシュと同じ特徴なら、尻尾の付け根は柔らかいはずだ!それ切り落せば全体の硬質化は無くなるはずだぞ」


「ハァ、ハァ…わかった。すぅ…はぁぁぁぁっ!」


最後の力を振り絞ってカルミアが[電光石火の構え]をとった。足場の悪い船の上で腰を深く落として体にエネルギーを溜める。カルミアの体が淡く発光して電流が溢れ出す。やがてエネルギーは剣へと伝わり、カルミアは宙へ舞った。


「喰らいなさい…雷切二連っ!」


辺り一帯の空間が数回フラッシュすると、瞬く間に耳を劈くような轟音。カルミアが器用に着地を成功させると、暴れまわっていたランスフィッシュは置物の様に空宙で静止した。数秒後に奴の尻尾は爆散して、そこを起点として体中へと切れ込みが無数に入っていき、頭だけを残して派手に爆発した!!


「…やったの…ね」


「カ、カルミアさん!…怪我は無い?」


「カルミア~!すごいバトルだったヨ!」


「おう、大したもんだっ」


膝をつくカルミアさんのそばに寄って容態を伺う。…どうやら目に見えて大きな怪我は無いようだ。良かった…安心して一息つくと、脳内から嬉しい音声がっ!俺は急いでキャラクターシートを確認した。


*敵対勢力を無力化 対象 サトル、カルミア、サリーのレベルアップを確認しました*


*カルミア*


レベル3(上昇値)

ヒットポイント48(+24)

筋力16(+2)

敏捷力22(+3)

耐久力19(+2)

知力9

判断力10

魅力13


技能

運動8(+1)

機動力8(+1)


・[迅雷脚]を獲得


アクティブスキル:剣聖門のオリジナルスキル。足技でモンクの攻撃ボーナス補正を受ける。蹴りつけた場所に落雷する効果がある。


TRPGで遊んだことがある者が、いま俺の横にいたら漏れなく飛び上がってちゃぶ台をひっくり返して、このマンチキン…いやチート野郎!と罵っていることだろう。俺もそう思う。それほどまでにおかしい能力の伸び方をしている。本来であれば、HPを除き主能力は数レベルで1上がるのが適正だ。しかしこれは…。もしやと思いサリーの能力を確認した。



*サリー*


レベル3(上昇値)

ヒットポイント 35(+17)

筋力9

敏捷力18(+2)

耐久力13(+2)

知力22(+3)

判断力15

魅力13


技能

知識 10(+1)

伝承 7(+1)

知覚 10(+1)

魔道具の扱い 8(+1)


・[イリュージョン・ストライク]を獲得

アクティブスキル:変性魔術士のみが使える攻撃魔法。変性魔術を込めた属性弾を放ち攻撃を試みるが、発動するまでどの属性になるかはわからない。



やはりそうだ…クラスに適した主能力が顕著で、信じられないほどの伸びを見せている。この世界が仮にTRPG…もといスターフィールドの世界であれば、能力値が20を超えた時点で、ほぼ人外の…文字通り超人的な域に達しているということになる。俺が遊んだセッションでは、作成したキャラはどれも、成長前に事故死かモンスターにやられてしまったのを覚えているので、ここまで強い域を見たことは、ゲーム上でも経験が無いことだ。これは俺の能力値…いや、最高のスキルが付与されていることを期待したい。何せ俺は、謎のクラスなのだから!



*サトル*


レベル3(上昇値)

ヒットポイント30(+14)

筋力10(+1)

敏捷力10(+1)

耐久力11(+1)

知力12(+1)

判断力14(+1)

魅力20(+1)


技能

・釣りが上手くなった 以上


…俺は静かに本を閉じて海面に叩きつけた。

本は淡く光って俺の元に戻ってきた。


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