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領主編 16話


 レベル10に到達した仲間たちをクラスアップさせたところで、次の予定を進めなくてはならない。次は開拓地に出向いて、生活ができる最低限の基盤を作り上げる必要がある。王から言い渡された期日には余裕があるが、着手は早ければ早いほど良い。ぼんやりしていたら時間なんてあっという間に過ぎてしまうものだしななぁ。


 アイリスに『領主になりました』報告を入れた日には、既に号外としてシールドウェストの町中に知らされていたようだ。まだ町に滞在しているサリヴォルたちエルフ組や、ブルーノーを筆頭にドワーフ組、一人ひとり挨拶に向かおうと思っていたら向こう側からコンタクトを取ってきたのだから分かりやすい。それ以外でも商店街へと出向けば…


 「サトル様!この度はおめでとうございます!」「この町で生まれた英雄がそのまま領主様になるなんて誇らしいぜ!」「是非、今度産まれて来る子にお名前を…!」


 などなど…、少し歩けば買い物所の騒ぎではなくなる。最初は丁寧に対処していたが、それが余計に人を呼び、最終的にはアイリスの私兵まで導入してその場を諫める結果になった。


 …買い物一つできないとは。


 俺と繋がりのある仲間たちには先んじて開拓地へ向かう旨は伝えて、とっとと出発した方が良さそうだ


 ・・・


 翌日、早朝からこれまた王都と同じように、御者さんの馬車で町を発った


 …こんなにも逃げるような生活をしていると、何も悪いことはしていないのに悪いことをしている逃亡者のような気持ちになってしまうのだから不思議だ。


 今回はパーティーメンバー全員とクリュを連れている。今後の生活は開拓地がメインになることを見越して、御者さんに加えドーツクさんにも協力してもらっている。新たに加わったオウルベアと魔物馬車を総動員させて、家にあった家具類も運んでもらっている形だ。…主にサリーの荷物ばかりであるが


 「サトル、人気者になっちゃったネー!」「ウチらも、歩いているだけで声かけられるようになっちゃったよね。ゴーレムと向き合う時間が無くなっちゃった」「…そうね」「僕は何も変わってないけどね」


 俺のメンバーもその弊害というか、影響を受けており(フォノス以外)町を歩くだけでも、やれ冒険を手伝ってほしいだとか、傷を癒やしてほしいだとか色々と言われているらしい。フォノスだけは元々隠れたような生活をずっと続けていたし、俺たちとは別行動ばかりする子だ。パーティーにいるという印象を持たれていないのかもな。仮に見つかっても持ち前の素早さで風のように去ってしまう性格からか、あまり生活感は変わっていないようだ。


 俺の仲間たちも、俺が見ていないところで色々と名声を上げまくっているのかもしれない。そうであったとしても、噂が広まるのが早すぎる気がするが…


 「みんな、俺たちの動きに期待してくれているんだね。プレッシャーでもあるが…話が広まるのが早すぎる気もするけど」


 魔物馬車で一山当てたドーツクも、その原因の一つを担っていたようで…。御者さんと並走するドーツクは、そのまま話に加わってきた


 「あぁ。そういえば…私もサトルさんから商売のチャンスを貰った話を広めてしまいましたよ。はは。何を勘違いしたのか、我々行商人の業界では、どうにかサトルさんにお近づきして新しい商売を始めるチャンスを伺う者ばかりになりました。領地開拓の話も、目ざとく聞きつけた者が現地に向かい始めているとか…全く現金な奴らですよ。サトル様の領土はチャンスにあふれているって」


 …領地を開拓する前から領地が開拓されようとするという、前代未聞で意味不明な状況が出来上がりそうだが、結果的に王からの要求に叶うなら何でもいいか


 「チャンス溢れる地か…」


 期待に応えるためには、領土として魅力ある土地でなくてはならない。


 近くにダンジョンでもあれば集客は簡単なんだが、そううまい話も無いだろう。蛮族王が占拠していたくらいだしな。


 目下の目標は生活インフラだが、俺自身が町に作りたい要素も幾つかある。そして、一番最初にそのキーを担う子が…イミスだ。


 「イミスさん、色々と頼ることになると思う。どうか力を貸してほしい」


 「…ん?もちろんだよ♪サトル君、今更だね!」


 初動は、イミスの力を存分にふるってもらうことになるはずだ。


 進化したゴーレムの力…町作りのために活かしてもらうぞ!



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