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領主編 11話


 「家系名…ですか……」


 正直、領土の話だけでも頭が一杯一杯だ。漠然と町の名前と特徴に沿ったものが理想だとは思っているが……そういや、新作のゲームを遊ぶときも、TRPGでキャラクターを作成するときだって、主人公の名前をつけるのに相当な時間を費やしたっけな…


 俺はTRPGやゲームで作成したキャラクターが予定調和なルートを辿ったことが無い。最初はこういうキャラクターを作ろうって、如何にも魔法使いっぽい名前をつけるが、ゲームをプレイしていると結局剣を振り回していたりするアレになるのだ


そうなる度に、特徴とは形になってみなきゃ記憶に定着しないと自分に言い聞かせていたことを思い出す。ゲームでは皆無な仕組みだが、主人公の名前は最初ではなく、最期に決められたら面白いのにとよく考えたものだ。もしくは、他の人から呼ばれた二つ名が、そのまま名前になったり…なんて考えすら湧いてくる。断じて計画性が無いための希望的観測ではないぞ。


 そんなどうでも良いことを考えつつ言い淀んでいると、王はその辺りも便利をはかってくれた


 「ウウム…いや、済まないな。儂が急かしすぎた。家系名は今すぐに決める必要はないぞ。領土が整ってから申し出ても構わない…さて」


 …王の計らいに感謝だ。このままいくと超無限要塞とか永遠黄金都市なんて名前の村を作り出しかねないから


 王は宰相に目配せした。すると宰相は懐から上質な紙と羽ペンを取り出し何かをサラサラと書き出す


 「領土を与える…とは申したが、資材も時間も人も…何もかも足らぬ状況では手が回らないうえ、何をして良いか分からぬであろう。故に、向こう三年は、スターリム国から全面的な支援を行うこととする。具体的には建材や食材の支援。そして、新冒険者ギルドの設立支援。期間中の税…徴収免除の支援だ。ただし、冒険者ギルドの設立には一定の基準があってな。ある程度、町として機能しなければ儂とて斡旋は難しい。建材と食材以外はそなた自身で用意し、開拓を進めていく必要があるぞ」 


 本格的な話になってきたな…。税免除と支援の期間は限られている。三年の間で荒れ果てた地をある程度独立できるようにしなくてはならないだろう。冒険者ギルドは第三者機関だ。最低限、町として機能する場所にしか斡旋できないルールがあると見た。…万一期間中にそれを達成できなければ……いや、たらればを考えても無駄だな。前向きに行こう。


 「全面的な支援を頂けること、感謝いたします」


 「ウムウム…それと、スターリム国では代々、領主としての戴冠式は『集まってくれた者』だけで開催するというしきたりがある。そなたは…ウム、心配する必要がなさそうだが…。まずはかの地で戴冠式を済ませ、領地の開拓を進めよ」


 戴冠式…領主がその役目や目指すべき道を民衆へ大々的に発表する、いわば決意表明の場となるイベントだ。集まってくれた者だけで開催となると、求心力が必要だしどれだけ支持されているか?といった部分も重要になる。当然、人気がなければ誰も集まらないという悲惨な結果を生みかねない。その噂は風のように駆け抜けることだろう…参加したい者だけで集まるなんて、洗礼じみたシキタリだな!


 「ははー!」


 「ウム!では…アル、儀式用の剣を」


 アルは紙とペンをしまって、後ろに控えていたナイトから剣を受け取った。その剣を王へと渡す


 「こちらに」


 王は剣をとって、玉座を立つ。膝をつく俺の前までやってきて剣を首元に置いた


 「デズモンド・インペリアス・スターリムの名において、今日このときよりサトルをスターリム国の正統なる男爵に叙勲する。偉業を成し遂げた供回りは騎士爵とここに認めよう」


 それぞれ、カルミア、サリー、イミス、フォノスの順番で儀式用の剣を首元において形式上の忠誠の儀式を行い無事に爵位を賜った


 「我が国のため、その忠を尽くせ」


 王は玉座に戻り、剣をアルに渡した


 「これで謁見は終了とする。本日取り決めた約束事は書面に記し割印したものを送ろう。では…3年後を楽しみにしているぞ」


 「は!必ずや期待に応えます!」


 謁見が無事に終わった。だが、これから忙しくなるぞ。まずはお世話になったアイリスに報告だな…



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