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領主編 8話


 お風呂に入り、着付けが終わるまでにそこそこの時間を要したが王を待たせてしまうという心配は必要なかった。俺たちの準備が整っても半数が謁見待ちという状況だったのだ。


 「丁度良いのでお作法の練習も行いましょう」


 俺たちの着付けを手伝ってくれた男性メイドは、謁見する際のお辞儀やルールなど慣れた段取りで教えてくれる。…もしかして、毎日こんな風に来客対応をしているのだろうか


 「謁見では我が国に伝わる正しいお作法を行っていただきます。まずはお辞儀から…」


 ダンディな男性メイドは、俺をマネキンのように操作しポーズを作っていく。


 …頭を下げて、膝を曲げて、片手は横に伸ばしてもう片手は胸に……難しい


 「こうですか?」


 出来の悪いカカシのようなポーズを披露すると、男性メイドは苦虫を噛み潰したような顔になった


 「いえ…こうです」


 同じようなポーズなのに、メイドのポーズは格好良くキマっていた。何故なのか


 「お兄さん、こんな感じで良いのかな…?」


 フォノスは一度見ただけで男性メイドの動きを完全に模倣してしまった。さすがフォノス君だ

 

 「うん!上手いよ」


 「本当!?嬉しい!」


 男性メイドもこれにはニッコリ。エレガントな拍手を送った。続いて俺に厳しい目を向けた


 「サトル様は、もう一度やってみましょう」


 「へい…」


 俺は出来の悪いカカシポーズを披露する


 「…」


 男性メイドの表情が哀れみに変わった気がした


 対称的にフォノスは俺のポーズに絶賛


 「お兄さん!すごいや!既存の動きに囚われない型の崩し、模倣するだけに収まらないカリスマ性が現れているよ!」


 ……フォノス君?悪気がないのは分かるがね?それは一周回って傷つくからやめようね!?


 「ねえ、おじさんもそう思うよね…?」


 フォノスの目が暗く光る


 「……はい」


 メイドのおじさん、絶対納得してないけどフォノスが脅かすから納得せざるを得ない状況になっちゃったよ!?俺としては礼儀作法を身に着けたかったんだが!


 「お時間までお寛ぎ下さいませ」


 男性メイドたちは逃げてしまった。


 ・・・


 謁見の時間、カルミアたち女性陣とも合流し、いよいよ謁見の時間。彼女たちも見目麗しく変身していた


 「カルミアさん、サリーさん、イミスさん!とても綺麗だよ!」


 カルミアは桃色の髪を引き立てるような黒いドレスとアクセントに髪飾りがついている。クールな彼女のイメージにピッタリだ。サリーは青で揃えていて、明るめなワンピースっぽいスタイル。普段はローブで隠れているが肌が出るとスタイルがとても良いことが分かる。さすがハーフエルフ。イミスは赤い色で揃えていて、胸元に大きなリボンをあしらったスカートが短めなドレスでとても可愛らしい。三者三様がよく表現された格好だが、一つだけ言えることとしては俺のパーティーメンバーが全員美女揃いであることだ。これでもかと分からせられる。初対面で微笑まれたら即落ちする自信あり。


 俺の言葉に、カルミアは照れつつもボソっとお礼を伝え、サリーとイミスは持ち前の明るさで俺たちを褒めてくれた


 「…アリガト」「ありがト~!サトルもフォノスもビシっと決まってて格好良いね!」「うんうん!サトル君、フォノス君、格好良いよ~!」


 そこで男性メイドが咳払いをして扉を開ける準備をする


 「ゴッホン…皆様?よろしいですか?くれぐれも、礼儀にはお気をつけ下さいませ」


 俺たちが気を取り直し頷くと、重量がありそうな大きな扉が開かれ、謁見の間に案内された


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