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24話


こんなはずではなかった。ずっと上手くいってたんだ。俺たちゃ盗賊は商売人が使うルートで避けられない場所に陣取って、冒険者ギルドで斡旋された護衛で弱いやつだけ狙って今まで生き延びてきたんだ。わざわざ高い金まで払ってどの冒険者が護衛についてんのか、しっかり確認もやってんだ。それなのにこれは何なんだ??いつもと同じ手口、いつもと同じ仕事のはずだろう。俺は夢を見ているのか?護衛を剥がして襲うだけの状況が一変して、男の本が光ったと思ったら魔獣が進化しやがった。


「こ、こんなはずはねぇ…こんなはずはねぇんだ!」


俺たちゃこの勾配でとびきりうめぇ思いをしてきてんだ。想定以上に強めの護衛に当たったとしても、護衛と離しちまえばあとは簡単なもんだってのによ!


見たことも聞いたこともない魔獣が俺の部下を襲っていく。


「…雷切!」


見た目からは信じられないほど強え女が前線をたったひとりで支えてやがる。こんなやつが低ランクなはずがねぇんだ。嵌められたか…?


「エンラージ・マテリアル!」


物が巨大化するってぇ魔法はおとぎ話で聞いたことがある。ただそれはおとぎ話だから納得できる話なんでぇ。眼の前で起きて良い話じゃあねぇ!しまいには俺っちぃの部下を溶かしやがった…!なんてぇ恐ろしい魔法だ。低ランクという情報はやっぱり嘘だってのか。


気がつけば周りは気絶しているか死んでいる部下だけ、残ったのは俺っちぃひとりだけ。もはやこれしかねぇ…。多人数より相手するより多少はマシだ。


「おぃい嬢ちゃん、俺っちぃと勝負しようじゃねぇか?一騎討ちでなぁ!」


「…別に構わない」


「おいおいカルミアさんに挑むなんて冗談だろ。やめておけよ…悪いことは言わないからさ…」


本の男は何か言っているが、戦わずして降参などできやしねぇ。桃色髪の女は最低限の装備で腰を落として剣を構える。これは見たことがねぇ流派だな。見たところパワーは俺っちぃのが上だ。一気に詰めて頭を叩き割ればいい。


「いいか?俺っちぃが勝ったら見逃してもらおうか。あとその荷車も貰っていく」


本の男が商人と何かを話し合い、お互いに納得したのか商人の方が話す。


「こちらが有利な状況での交渉だ。僕たちの代表が勝ったら相応の処遇をさせてもらうからね」


 …お互いに合意が取れたので戦いやすい場所に移動する。両者十分な距離を取って、得物を構える。俺っちぃは超重量の両手メイスを中段構えにしてにじり寄る。女の得物は細くてすぐに折れてしまいそうな剣だ。攻撃を受け止めたらそれごと頭を割ってやる。


「…」


女は力を込めているのか体から雷が出てきている。ここだ…何か雷が出ていたがこれをやられる前に攻撃してしまえばいい。


「うぉおおおお!何だか知らねえが好き勝手やらせねぇよぉ!」


俺っちぃが距離を詰めて渾身の攻撃を行おうとして、腕を振り上げた瞬間、女は俺の懐にいた。意味が分からねぇ。そして俺の振り上げた腕の脇腹を肩から剣が抜けるように剣を突き上げぶっ刺してきやがった。意識が朦朧とする。クソ野郎が…!いてぇ…。


「ぐごぉ…これじゃあ、メイスが持てねぇ…肩に、力が入らねぇ」


「もう武器は振れないと思うのだけど…まだやる?」


後ろから声がして、俺っちぃの首筋に冷たいものが触れた。もうこりゃあダメだ…。俺っちぃの目の前は真っ暗だぜ…。


「…私にかかればこんなものよ」



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