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230話


 蛮族王は魔法陣から更にリビングソードを召喚した!追加で召喚された剣は3体だ


 「驚いただろう?実戦で使うのは俺も初めてなんだ。何せここまで試す前に皆死んでしまったからな」


 黒き靄を纏ったリビングソードが一斉にカルミアに突撃。更にリビングソードを装備した二刀流の蛮族王が同時に攻め立てる


 「…曲芸も大概にしてほしいわね」


 カルミアはその全てを打ち払い躱していく。三本の大剣による怒涛の攻撃…加えて二刀流の蛮族王から繰り出される嵐のような追撃にさすがの彼女も余裕が無くなっていく


 「おらおらおら!お得意の軽口はどうした!」


 「…くっ[雷切三連]!」


 宙を舞う3本の剣を、雷の如き斬撃によって一瞬にして両断する。しかし…


 「俺が長年かけて育てた剣を断ち切るとは素晴らしい腕だ。ミスリルを貫く剣を真っ二つにするとはな…だが、残念だったな。俺の剣は何度でも召喚できる」


 斬撃の合間に新たに3本のリビングソードを召喚する蛮族王


 「おらおらおら!人の手は2つしかないぞ!どう防ぐ!俺は今2つの剣を持ち、3つの宙浮く剣で攻撃している!お前の剣はひとつだけだ!」


 リビングソードを順々に投げまくりブーメランのように扱い、変幻自在な攻撃で反撃をさせずに攻撃を続けている。追い打ちで鉄塊を振り下ろす。カルミアが剣を弾いても、その剣は背後から飛んで戻ってくる。破壊しても復元される


 まずい…押されている。


 カルミアの顔にも余裕が無くなっている気がする。彼女の類まれな身体能力が、全ての攻撃をさばき続けるが、このまま持久戦に持ち込まれると実質、俺達の負けだ。蛮族王を倒せたとしても、俺の仲間やアイリスがやられたら意味がない。


 何か考えろ俺…何でもいい!打開策は…リビングソードを召喚され続けては倒しても意味が……


 …いや、ちょっと待てよ。新たに召喚した剣は、なぜ3本だけなんだ?


 蛮族王は3本のリビングソードを召喚した。手に持っている剣と合わせて場に出した剣は4本。剣をカルミアに壊されてからは、新たに3本を召喚したがそれ以上は出していない。大量の魔物を召喚して奇襲してきたことを鑑みれば、もっと出せて良いはずだ。元に戦で大量の魔物を召喚している。俺が蛮族王なら勝負を決めるために最初から限界まで召喚して短期決戦にする。今のタイミングで、魔物も大量に出す。あえてそうしない理由は何だ…?


 …もしかして、魔物は使い捨てでは無いのかもしれない。リソースの限りが有る魔物を復活させているだけで、4本以上のリビングソードは所持していない…?それなら、ゴブリンやオークを復活させない理由はなんだ?復活は無機物系統の魔物に限って可能…?スターフィールドでは生物の復活は最も難しい魔法の一つに該当する。レベルがたとえ10そこらであっても再現は難しいはず。


 仮に、魔物使いの限定的な能力によって、無機物だけを復元し再召喚させることができるスキルがあるのであれば、今奇襲で使った魔物を再召喚しない…いや、できない理由が成立する。それならば…


 蛮族王自体のレベルは俺より高くても、使役する魔物まではそうとは限らない


 試してみる価値はあるか…?


 俺はルールブックを開き直し、宣言する


 「対象 蛮族王アレックスの魔物 リビングソード4本を魔物から[家畜]へクラスチェンジ」


 *対象 リビングソードのクラスを[家畜]へクラスチェンジしました*


 *強制的なクラスチェンジにより リビングソードのステータス能力にペナルティが発生します*


 …よし、やっぱりだ。使役できる魔物は主人よりも低い。そして……


 「カルミアさん!リビングソードを弱体化した!」


 「…!分かった」


 カルミアは防戦一方の姿勢を解いて、リビングソードを叩き切る


 「だからいくら壊しても無駄だと何度言ったら……む?」


 蛮族王は魔法陣からリビングソードを召喚する。しかし、召喚されたリビングソードは宙に浮くことなく、ガランガランと虚しい音を立てて地面に落下


 やっぱりだ…予想通りだ!再召喚されたリビングソードは、同じ個体なんだ!いくら蛮族王でも、こんなに強力な魔物の数を使い捨てで揃えるなんて現実的じゃない。だから身を守る分の魔物…つまりリビングソードだけを育てていたんだ!その剣自体のクラスを変えた。どんなに復活させようとも、俺の設定したクラスは同じ個体である以上、覆ることは無い。つまり…もうこの剣は使い物にならなくなったはずだ


 ここで初めて、蛮族王は狼狽える


 「な…なんだ…俺の剣が動かない…だと!?動け!動けよ!!」


 地に落ちてピクリとも動けなくなった剣を、蛮族王はあろうことか踏みつけ八つ当たり


 今までの頑丈な剣であればその衝撃も耐えたであろう


 だがしかし、今その剣は[家畜]同然のステータスしかない。[家畜]には魔力も無いから自律して浮くこともない


 バキっと嫌な音がした。蛮族王が踏みつけた剣は刀身から折れてしまっている


 「折れた…?たったこれだけで…?嘘だろう嘘だろう嘘だろう!?何が、どうなっている!!俺の剣は、俺が育てたこの剣はミスリルすら貫くはずだぞ!!」


 誰も応えない。答えは足元で折れている剣が示している


 「そ、そうだ。召喚し直せば…」


 蛮族王は全てのリビングソードを召喚し直すが、どれも召喚と同時に重力に従って虚しく地に落ちた


 「…何が…何故だ…お前か、お前がやったのかああああ!」


 俺に迫る蛮族王。しかし、この間で生まれた隙をカルミアは逃さなかった


 背後に回り込んでいていたカルミアは蛮族王に刀を振り下ろす


 既の所で気がついてた蛮族王は咄嗟に腕でガードするがそんなもので防げる訳もなく、蛮族王の腕一本斬り飛ばした


 「ぐあああああ!?」


 痛みに悶ながらも必死に距離を取る蛮族王


 カルミアは血振りをして刀を構え直す


 「形勢逆転…かしら?」




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