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217話


 カルミアは接近に気づいてからは冷静に砲弾を投げていき、相手の攻撃圏内に入るまで数匹を撃ち落とす。そのどれもが必殺級の威力ではあるのだが、投擲を警戒した上空の魔物に当てるのは難しいようで、接近までに数匹を撃ち落とすに留めた。


 「おのれ!化物、隊長の仇ぃいいい!」


 ペリュトンに乗った一人の兵が、重力に任せて監視塔にいるカルミアへ突貫を仕掛ける。それに追従する形で、総25余りのペリュトンが乗り込んできた。


 カルミアは砲弾を投げ捨て、刀に持ち替え抜刀する


 「女性に向かってバケモノなんて、失礼しちゃうわね…[雷閃一文字]!」


 「ぐぼぉ…」


 雷を纏った一撃のもと、魔物ごと斬り伏せる。雷閃一文字は雷切と違い一撃の威力を高めた技だ。防具を身につけていようが、魔物を盾にしようがカルミアにとっては些事なのだろう。ペリュトンと兵は突撃の勢いを残したまま監視塔にぶつかって骸となった


 「食料を守れ!非戦闘員は屋内へ!」


 カルミアは指揮官のように大声で皆の注意を引いた。恐らく自身に攻撃を向けるためだろう…その思惑は成功したのか、ペリュトン兵たちはカルミアに群がっていく。そのおかげか、非戦闘員は皆作りかけの砦や物陰へと隠れる時間がとれた


 「リーダーらしき女がいるぞ!彼奴から殺せー!首を掲げろお~!」


 「うぉおおお!」


 カルミアへ群がったペリュトン兵たちだが、その隙をサリーは逃さない


 「カルミアちゃん、いい感じに集めてくれてありがト。[グレーター・ポリモーフ]!」


 実戦で使うのは初めてのお披露目になるだろうか、グレーター・ポリモーフはサリーがレベルアップで覚えた変性魔術士専用の魔法で、レッサーポリモーフィズムの上位版だ。効果は単純で特定の相手の姿を変化させる。レッサーの方とは違い、より広範囲で無力に近い者への変化と効果時間を誇るが、格下の相手でも多くの魔力を消費し、あまり長い時間変化させることはできない。そのため使い所が難しい。状態異常に対策をとっている相手や格上、敵の数が多すぎる場合には通用しない戦法だが、このような場合では特に有用だ


 サリーの杖から放たれた球体はペリュトン兵たちの上部に展開し、オーロラのような光を映し出す


 「なんだこれは!」「お、おい!ペリュトンが!?」「うわああああ!?」


 ペリュトン兵の鳥たちの姿が変化していき、もれなく同じサイズ感の鶏のような魔物に変化した!


 「コケェエエエ!」「お、落ち着け!ぐあああああ」「落ちるう~」


 鶏のような魔物…もといニワトリは、こちらの世界でも飛ぶことが困難なようで…必死に羽をバタつかせるが、努力虚しくそのまま地面に落下していく。落下途中でニワトリが暴れまくるので、うまく対応しきれずに兵は上空で無防備に落とされていった。


 ニワトリは図体を活かした脚力でどうにか着地に成功するが、兵の方は無傷とはいかない。ニワトリの後に続いて地面に落ちてくるが、その誰もがお察しの通りの結果になった


 「コケ!」「コケ!」「コケ!」…「ぐはあ!」「ぐぺ」「ぶは!」


 錯乱状態になった元ペリュトンのニワトリたちは、その全てが飼い主たちを置いて何処かへ走り去ってしまった。…サリーの魔法、しかもたったの一撃で形勢逆転だな。見方ながら、魔法とは恐ろしいものだと痛感する。


 残された兵で、まだ意識が残っているものがどうにか体を起こして弓をつがえた。狙いは非戦闘員だ!


 「危ない!」


 矢が非戦闘員の一人に到達する直前で、大盾が展開されそれを阻む


 「ウチがいる限り、そういう手は通じないよ…フン!」


 「マスター…投擲武器は目が回ります。あ~れ~」


 イミスが大盾に変形したスカーレットをブーメランのように投げ、最後の兵の意識も刈り取った…油断していたが、これで本当に最後だな


 全滅させた兵の中に、かろうじて生きているものが数名いるので、一体どういうつもりだったのかの話を聞いてみようかな


 「この人達の中で、生きている者へ話を聞いてみましょう」


 「はっ!直ちに尋問の用意をいたします!」


 尋問…のつもりは無いんだけどなぁ


 アイリスの兵はチャキチャキと動いて、敵兵の手当と尋問用の設備を作っていく



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