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201話


 フォティアを負かしたことによって、リンドウとフォティアの間で契約を結ぶことができるようになった。そして、これ以上暴れるのを阻止することもできた。…今回はどうにかなったが、今後精霊と事を構えることは御免被りたい。


 今はリンドウとフォティアが契を結んでいる様子を皆で見届けている最中だ。双方で向かい合った状態で、リンドウは膝をつき錫杖を天にかざす


 「竜人の血と古の契にかけて」


 リンドウの呼びかけに対し、フォティアも言葉を返す


 「うむ…汝との契約を許そう」


 フォティアは指を鳴らす。すると、フォティアの体が細かな赤き発光体に分解、変化していき、リンドウの体へ吸収されるように取り込まれていくではないか。


 赤き発光体となったフォティアを全て吸収し尽くしたリンドウの目は、より強い炎の輝きを見せる。更に体からフォティアが出ていたようなオーラも感じた。ウォーロックは精霊との契約によって力を引き出すクラス。俺が行ったクラスチェンジがトリガーとなって、フォティアとの契約によって初めてウォーロックの基礎が完成したということだ。今なら、バインド魔法以外の攻撃魔法も使えそうだ。身体的強化も、今までの比ではないだろう。


 しかし、吸収されたように見えたがフォティアは無事なのだろうか。


 「リンドウさん、契約は…」


 リンドウはゆっくり立ち上がり、口元を隠して笑ってみせる


 「ご安心ください。サトル様。契約は無事成功ですの」


 「良かった。それで、フォティアさんはどうなっちゃったの?」


 「そちらもご心配には及びません。私の中で…」


 リンドウの説明の途中で、彼女の体から発光体が出てきて、フォティアの体に変化した


 「ほほほ!この通りじゃ。今は祠ではなくこの娘…リンドウの体が我の家、とも言うべきか。そのようになった。ということで、我は娘の体を通して出入りが自由自在なのじゃ!もしかして心配しておったのか?サトルよ」


 なるほど、普段はリンドウの体に憑依している状態なのか。祠が家では呼び出すのも一苦労だし、当然といえば当然…なのか?


 「あぁ、君の体が急に消えたから肝を冷やしたよ。フォティアさんが無事で良かった」


 フォティアの頭をポンポンしてあげると、彼女は満足そうな笑顔を浮かべつつ、俺のポケットからお菓子を盗み取ろうとしていた。…どんだけお菓子好きなんだよ


 リンドウがフォティアが伸ばしている手を両手で取って諭す


 「精霊様、契約も無事完了したところですので、そろそろお勤めを果たしに参りましょう」


 「ん?…おお、そうじゃったな!まだ精霊祭は途中であった。サトルの願いもあることだ、すぐに祝福の儀を行うぞ」


 ヘンテコなノームが邪魔したせいで、まだ『ドラグリリー』の祝福もしてもらっていない。あのわがままお坊ちゃんの解毒に期待できるのも、現状これだけだからな。


 皆で祭の仕切り直しといこう。里の至る所が壊れたりしているが、里長が気を使ってくれて、復興作業は祭を終えてからで良いという段取りをとってくれた。


 「これで、一安心だな」


 一息ついたところであった。どこからともなくやつが降って湧いた


 「ウヒョヒョ!まだ、まだ勝負は終わっていないぞ!」


 タルッコだ。またこいつだよ!見ると服は焦げ焦げで、髪はチュルチュルになっている。顔も炭だらけだが、それでも話し方で彼だとわかった。なんという生命力か


 「いい加減しつこいぞ!リンドウさんは精霊フォティアさんと契約したんだ。お前が祝福を受けることはない!諦めろ」


 「ウヒョヒョ!それならばせめてお前の邪魔をして退散させてもらいます!そして、そこの娘から無理やり祝福をして頂くとしましょうか!」


 問答を続けるなか、リンドウが間に割って入った。


 「サトル様、ここは私に任せて下さい」


 「え?あぁ…」


 リンドウの雰囲気が一瞬にして変化する。更に、辺の熱が急激に奪われていく…この感じ、フォティアが怒り狂ったときに似ている?


 「里に害をなす余所者よ。そしてサトル様への無礼を続ける者よ。私が貴方に制裁を行います!」


 錫杖の尖端をタルッコに向ける


 タルッコもシャドーボクシングで対抗する


 「やれるものならやってみやがれ!女子一人になにができるというのです!シュ!シュ!」


 「反省の色もなし…ですか。仕方ありませんね…精霊様。力を貸してください」


 「あぁ、我のとっておきをかましてやれ」


 フォティアは赤き発光体に変化し、錫杖の尖端に留まった


 「私の初めての精霊魔法…サトル様、どうか見届けてくださいね♪」


 笑顔で言うセリフじゃないですよ!リンドウさん!


 錫杖にエネルギーが集束しきって、膨大な力が開放された


 「精霊魔法![スピリット・オブ・イラプション]!」


 詠唱が完了すると、タルッコの頭上から突然、小さな太陽を連想させるほどの熱源が生み出され、勢いよくタルッコへ叩きつけられた!


 「ウヒョオオオオオ~~~~!?」


 これは、フォティアが放った[ウンブラル・フローガ・ストライク]によく似ている炎球だ。だが…威力が凄まじくパワーアップしている!?


 憎まれ口一つ言うこともできず、高く高くあがった炎の柱に添って、タルッコは前よりもずっと遠くに飛んでいった



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