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18話


「わぁ…」


はぁ、なんて尊いのだろうか。光るスクロール、それを見つめる受付の獣人ワイルドヒューマンお姉さん。それを気にもとめず酒や食事をかっ食らう戦士共が作る混沌の場。きっとこんな風景が日常で、毎日が発見の連続なのだろう。先達がファンタジー世界に「夢」を見て本を作り、道を示して、辿ってきたお約束の一つ一つを「現実」として辿るたびに、転生できたことに対する実感が沸々と湧いてくる。


人生初めての体験でちょっとした感動に浸っていると、スクロールの光が落ち着く。浮かび上がった文字は何が書いてあるかな?


名前:サトル

クラス:不明

種族:ヒューマン


■ステータス

レベル:1

ヒットポイント:6

筋力: 8

敏捷力:8

耐久力:9

知力:10

判断力:12

魅力: 18


■技能

少し逆立ちができる 三秒くらい


■呪文 能力

不明


感動を返してくれ…。なんだよめちゃくちゃ弱えよ技能に至っては何の役に立たないよ技能ですらないよ。むしろ気を使って書いてくれたまであるよ本当にありがとう。



「はぁ…ええっと、カルミアさんとサリーさんはどうだい?」


「うん、これ」「こんなのでたヨ~!」


二人のスクロールを両手で受け取り、カルミアとサリーは俺のスクロールの内容を見る。



名前:カルミア

クラス:剣聖門

種族:ヒューマン


■ステータス

レベル:1

ヒットポイント:12

筋力: 13

敏捷力:18

耐久力:16

知力:9

判断力:10

魅力: 13


■技能

運動+5 機動力+5


■呪文 能力

・電光石火の構え

・雷切


カルミア…やっぱり化け物だったんだね。もう君が遠くに感じるよ。そう、逆立ちマンからすればどんなクラスだって強いさ。


名前:サリエル・ジロスキエント(サリー)

クラス:変性錬金魔術士

種族:ハーフエルフ


■ステータス

レベル:1

ヒットポイント:9

筋力: 9

敏捷力:15

耐久力:10

知力:18

判断力:15

魅力: 13


■技能

知識:+8 伝承:+6

知覚:+8 魔道具の扱い:+5


■呪文 能力

レッサーポリモーフィズム(呪文)

上級ポーション作成


あっれれ~?おかしいぞぉ~?魔術メインの子がどうして俺より体力があるのかなぁ~? …はぁ、何だか俺が足を引っ張る気がしてならない。


*

対象二名のステータスをルールブックで確認できるようになりました。

*


お馴染みになった脳内の音声がちょっとした良い知らせを運んでくれた。うん、そうだな。いつまでも落ち込んでいる訳にもいくまい。まだレベル1なのだから、特訓して強くなれば良いのだ。それに逆立ちだってもっと長い時間できるようになるかもしれないし。


気を取り直して二人を見ると、俺のスクロールを見つめて固まっていた。うん、そうだよな…最悪の場合、パーティーの解消を迫られるかもしれない。俺は少し心の準備をして向かい合って、カルミアたちが話すのを待つ。


「サトルすごいよォ~!逆立ちできるんだネ!アタシは三秒もできないからすごいよォ!」


本当にビックリしたような表情を浮かべたあとに笑顔でサリーが前のめりに顔を近づける。おいやめろサリー、本気で褒めるな虚しくなるだろう。悪気がない笑顔が凶悪だぞ!かわいいけど。


「サトルはサトルよ。どんな能力だって構わない。一緒に行こう…あと私も逆立ちできる」


カルミアさんや…最後のセリフがなければ完璧だったね?俺の唯一を奪わないで頂きたい。伏してお願い申し上げる。


「ふ、二人共ありがとう。まだまだ修行をする必要があるけど、まずはこれで登録を完了させて実績を作りつつレベルを上げていこう。依頼達成の実績を積めば、領主様に対するアプローチになるからね」


蛮族王をすぐに討伐するのは、今の俺たちでは難しいだろう。だからといって何もしなければ、討伐遠征の約束だけしたパーティーとして烙印を押されてしまうだろう。難しい依頼を受けて前金等の待遇だけをせしめるのは重罪になってしまう。何らかの「成果」が必要だ。


冒険者ギルドでの優遇対応も十中八九、領主の手が入っているだろう。俺たちの情報は筒抜けだと考えた方がいい。…裏を返せば成果を見てもらいやすい環境にあるということ。だからまずは手頃な依頼をこなし、領主様に頑張っている所を評価していただくアプローチをすれば良い。ついでに情報収集と修行をこなす。この方針ならひとまずの猶予を作れるだろう。


「わかった、サトルについていく」


「アタシもそれでいいよォ~!」


受付のお姉さんが俺たちのスクロールを慣れた手付きで回収して、カウンターの横にある大きな水晶にスクロールを貼り付ける。すると水晶が光り、スクロールが燃えてなくなってしまった。お姉さんは満足して頷くとこちらへ振り向く。


「はい、これで登録は完了です。お疲れ様でした!明日の朝にはランクの選定が完了し、ギルド会員証明書が発行できます。明日の朝、またいらして下さい。それまではギルドが推奨する鍛冶屋から装備一式を受け取って頂きます。こちらが三人分の引換券と鍛冶屋の場所が載った地図です」


これで登録は完了だ!能力についてはまだまだ成長の余地があるから、楽しみで仕方ないね。前向きに行こう!さて、次は武器屋だ。どんな武器を使いこなしてやろうか…!


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