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156話


 サリーはドヤ顔全開で杖を突き出している。どうやら俺の感想を待っているようだ。…え?感想って言わないといけないものだっけ……


 「サリーさん…これ、本当に魔法発動できるの?」


 「フフン、サトル君は疑っておられますナ?でもでも、杖は見かけによりませン!」


 「そうなの…。じゃあ、あの人形型のマトを攻撃してみてよ」


 少し遠くに設置してある人形を指差す。サリーはふんすと気合を入れて魔法を発動する


 「見ててネ♪…イリュージョン・ストライク!」


 杖の先端、角の部分から赤い魔力が集束し魔法が発動する。…今日は炎属性のようだ。それに、サリーが今まで使っていた武器よりも魔力の質が高いように見える。…これは意外と?


 火球はマトに向かって…と思いきや、杖の角部分を噛みつくようにデザインされた龍の頭が、魔力の行き場を阻害し、龍の頭を溶かしはじめる。


 「アァ!アタシの龍の頭が!」


 サリーは慌てふためくが、集束しきった魔力の暴走は抑えられず、そのまま杖の先端で小爆発。その衝撃で角に噛みついていた龍の頭は弾丸のようにマトに飛んでいき、木端微塵に破壊。ふんだんに使用されたドラゴンのウロコは、ショットガンの弾丸のように散らばり、周囲のマトも破壊する。


 「い、イカすだろう…?」


 いや、全然イカさねぇよ。色々と無理があるだろう、モヒカン男!


 「アァ…!」


 サリーはあまりのショックにへたり込む。


 俺は頭をフル回転させ、何か気の利いたことを言わなきゃと考えるが…


 「えぇっと………、威力、高いね!?」


 その場が一段と静まり返ったことは言うまでもない。


 サリーとモヒカン男は肩を並べて、一から考えて作り直すと言い残して鍛冶場から消えた


 カルミアは俺の肩に手をおいて


 「…サトル、あとで謝っておきなさいよ」


 「うん、そうする……」


 サリーのモチベーションにトドメを刺してしまったので、お菓子でも仕入れてフォローしてあげることにした。彼女には今、優しさが必要なのだ!


 ――お昼ごろ、イミスのスカーレットちゃん強化計画が一段落ついたとのことで、検証することになった。


 イミスと共に歩いてきたスカーレットは、右腕と左腕にそれぞれ、ダンジョン内で手に入れた魔石をつけている。これで、イミスのおばあさんから頂いた、謎の魔石と合わせて3つ装着していることになる。単純計算で能力向上は3倍になり得るか…?。外部の装備でどこまでも強くなれるのは、ゴーレム使いのチートな部分だ。


 スカーレットはガッツポーズでやる気満々だ


 「マスター、わたくし、なんだか調子がいいです」


 「そりゃそうよ。ウチが何日もかけて改造したんだからね!」


 「…人形相手じゃ物足りないでしょう。私が相手をするわ」


 カルミアがイミスの練習相手を申し出て、スカーレットの能力テスト開始だ


 「ありがと。じゃ…遠慮なくいくよ!」


 二人は自由時間に何時も稽古しているらしく、ちょっとしたライバル関係にもなっているようだ。こうして互いがどれほどの高みに上がれるのか切磋琢磨している。前衛同士、負けられないものがあるのだろうか。


 「スカーレット!フォームチェンジ改!」


 「はい、マスター」


 スカーレットの両手が輝き、分解された一つひとつのパーツが、イミスの体へ装着されていく。…どうやら今回は格闘モンクスタイルのようだ。スカーレットの能力向上によって、ガントレットのみの戦いもできるようになったのか。…イミスの両手の甲には、今回の改造で使用した魔石が着いているのが分かる。右手からは炎、左手からは紫のモヤがかかったオーラが出ていた。


 「…なら、私もそうする」


 カルミアは練習用の剣を外して、素手で迎え撃つ。


 「やぁ!」


 イミスが地面に右手を突き刺すと、地割れと噴き出る炎がカルミアを襲う


 「…デタラメな火力ね」


 カルミアは既にイミスの背後に周り込んでおり、雷撃を込めた正拳突きを繰り出す。それだけで突風を起こす彼女が言えたクチではない。


 「っふ!」「…っく!?」


 イミスは咄嗟に左腕に魔力を宿す。すると、紫のモヤがカルミアの正拳突きを緩和しつつも、イミスをレンジ外の後方にいざなう。


 「手応えがない……それは防御魔法…?」


 「そ!正解だよ~!面白い魔石だよね。何の魔物の物だったんだろう?」


 それからも、二人は談笑しつつ周囲の環境が変わりそうな攻防を繰り返した。


 夕方、ガルダインが修練スペースに様子を見にきたころには、クレーターだらけの荒れ放題になっており、俺たちは怒られてしまった!


 「すみません…あとで修繕しておきます……」


 「うむ。よろしく頼むぞ」


 サリーの杖事件などの、ちょっとした問題も起きたが、当初の予定通り、概ねパーティーの装備を強化することができた。



TIPS:


サリーの格好良いドラゴン杖:(飾りの頭部が全壊したのでお直し中)

魔力:8 + 炎熱ダメージ

耐久性:1

特殊能力:すぐ壊れる


スカーレット:独立起動可能

攻撃力&魔力:4 ~ 8 (変身内容によって異なる)

耐久性:20 (変身内容によって異なる)

特殊能力:独立起動時は、レベル5相当、冒険者程度の能力を持つ。イミスと合体することで真価を発揮する



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