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144話


 灼熱のブレスが地面を伝って襲いかかる。ブレスが通った跡は所々が赤黒く染まり、威力の高さを自ずから示している。


 大盾となったスカーレットにも、無視できないダメージが蓄積されていく。熱によるダメージはサリーのメイジ・アーマーが緩和してくれているが…


 「マスター…想定以上のブレスです。このままでは形態を維持できません」


 盾となってブレスを受け流し続けるスカーレットにも限界がきている


 「…っく!ウチも厳しいかも!時間稼げる?」


 「やってみル![レッサーポリモーフィズム]!そしテ、火傷を防いデ![コミュナル・プロテクション・フロム・コンディション]!」


 ブレスの合間を掻い潜り、イミスの後ろから杖を突き出して状態変化魔法を使った。ドラゴンの顔が、一瞬だけだが大きな鶏のように変化する。それに驚いたのか、ブレスを躊躇して自身の顔を前足で洗い始める。魔法はすぐ解けてしまったが、ブレスを止めることには成功した。


 更に、サリーは覚えたての防壁魔法を展開した。これは悪、または混沌属性から受ける状態異常にレジストできるフィールドを展開する魔法である。ブレスそのものを防止できる訳では無いため、そこまでの効果は期待できないが、無いよりマシか


 「グルァアアア!」


 前足で、自身の顔が問題ないことを確認すると、ドラゴンは仕切り直してブレスを放つつもりだ。また、口元から炎が漏れ出す。翼をはためかせる。飛ぶつもりだ。


 「上空から狙われたら壁の意味がなくなるぞ!奴を空にあげるな~ってなぁ!」


 ブレスで身動きが取れなくなっていたオーパスたちも弓やクロスボウを使ってドラゴンを撃ち落とすべく応戦。しかし、ウロコが硬質なためか、矢が刺さらずに落ちてしまう。ドラゴンのターゲットはオーパスたちに向いた。これでカルミアが自由に動ける!


 「カルミアさん!今だ!サリーさんのポーションが効いている首を狙って!」


 「…ふん!」


 カルミアは、めくれあがった岩の上に立ち[電光石火の構え]から、飛び上がり始めたドラゴンの赤く腫れた首元めがけて空中にジャンプ。脚力が強いため、弾丸のように一直線に首元へ到達した。そのまま刀の尖端をつきたてる


 「…入らない!」


刀は突き刺さらず、衝突時に火花を散らしてガリガリガリとウロコを削る。刀にもヒビが入ってしまった。カルミアの力は十分に足りているが、刀のほうが耐えきれず、スペックオーバーといったところか!?


 集中的に攻撃を加えたおかげで、ウロコの一部に亀裂が走った


 「グアアアア!」


 ドラゴンはたまらず もだえ苦しんで手足を動かす。ダメージは大きかったが、致命傷には至らないか


下からの攻撃じゃ威力がたりない…イミスに投げてもらっても、ダンジョンの天井までは届かないだろう。上まで飛行して、魔法とかけ合わせつつ、一気に加速できれば…カルミアなら或いは…ん?それなら、今日、今のタイミングでいけるかもしれない!


 「サリーさん!イリュージョンストライクで、カルミアさんをダンジョンの天井まで引き上げることはできるかい?そして、落下と同時にもう一度打つ。カルミアさんは、その勢いに乗って、さっき攻撃を加えたところに一点集中攻撃を!俺とイミスはドラゴンの注意を引いておく!」


 「は~ィ!カルミアちゃん、上までぶっ飛ばすネ♪」


 「…私、なんか飛ばされてばっかりな気がする」


 「いいかラ♪いいかラ♪こんな無茶ができるのハ、カルミアちゃんだけだよネ![イリュージョン・ストライク]!!」


 「…え~~。あーれー」


 サリーの魔法により竜巻のような攻撃魔法で、カルミアは乱暴に上空へ放り出された。…カルミア、すまん!帰ったらたくさんご馳走してあげよう。そうしよう!


 風魔法の力で天高く舞い上がったカルミアは、ダンジョンの天井まで到達、天井を蹴り反転。ドラゴンに向かって重力を味方に加速していく。


動物的な本能か、ドラゴンは上空から飛んでくるカルミアへブレスしようとする


 「イミスさん!」


 「いけるよ!スカーレット!オフェンシブフォームチェンジ!」


 「まったく、ゴーレム使いの荒いマスター…デスネ」


 大盾がガチャガチャと形を変えて、ハンマーへ変化する。イミスはハンマーを投げ、ドラゴンの腹へ一撃加えた。ドスンと重い一撃を受けたことで、ドラゴンの注意がこちらに向いた。


 「俺も全魔力つぎこんで時間を稼ぐぞ!」


 俺に残っている魔力も僅かだが、全て魔道具に注ぎ込んで、ドラゴンに向けて[ファイア・ボール]をひたすら連打しまくる。ドラゴンは鬱陶しそうに首をふるだけだが、それでも十分だ!


 「カルミアちゃんにィ、もう一発♪」


 サリーのイリュージョンストライクがダウンバーストの如く、下降気流を作り出し、落下中のカルミアの速度を急激に上げた。更に、風の魔力は刀に吸いついて、風を纏う刀に変容する。


 カルミアの全身からほとばしる紫電は風力と相まって、小さな台風のようだ。瞬間的に暴風の力を味方につけた彼女は、更に[召雷集気]で氣を練り上げる。刀はカルミアから受け取ったエネルギーを余すこと無く受け止め、雷と風を併せ持つ破壊的な魔剣と化す。


 「はぁぁあああ!」


 ドラゴンが上を向いたときにはもう遅い。カルミアはもう首元まで迫っている


 「絶ち斬る!雷風恒之劔らいふうこうのつるぎ風雷迅剣ふうらいじんけん!」


 雷と風の魔剣と化した刀は、カルミアの重力を乗せて、竜を穿つ強力な一撃に昇華されたのだ!


 接触した途端、中途半端に飛んでいたドラゴンを地面へメテオのように叩きつける。そのままガリガリとウロコの装甲を削りきって、刀は半壊しながらもドラゴンの首筋の半分まで刺さった!


あまりの威力で持ち手の鍔から先が折れた状態で刺さっている。


 「グルアアアアアア!」


 しかし、さすがドラゴン。奴はまだ生きている!首元に乗ったカルミアを、痛みと共に振り払うべく何度も藻掻き、足掻くがカルミアは離れない。力尽きるのも時間の問題だろうが、ここで仕留めておきたい!


 「とどめえええぇ!」


 カルミアは[迅雷脚]で、奴の首元で中途半端に刺さっている剣身を押し込んだ


 一発、一発と人外の力で繰り出される蹴りは、確実に刀をより深く刺し込んでいく!


 「ギュアア!ギュアアアアアア!!」


 最後のひと蹴りが急所に入り、刃はドラゴンの首筋を完全に貫通した


 「!!!!」


 これにはたまらず、小さくも暴力の権現であったワームリング・ドラゴンも絶命を迎える


 ゆっくりと首を項垂れ、最期には力なく突っ伏した


 亡骸となったドラゴンから、血しぶきがあがる


 俺は、血を浴びながらも討伐できた喜びを噛みしめた


 …やりきった


 帰ってきた静寂が、紛れもないドラゴンの死を伝えるのであった



*サトルのパーティーメンバー全員がレベルアップしました*



*サトルがトゥルードラゴン種の鮮血を最初に浴びました*



*サトル*

レベル:8(上昇値)

ヒットポイント:130(+20)

筋力:15(+1)

敏捷力:15(+1)

耐久力:16(+1)

知力:17(+1)

判断力:19(+1)

魅力:25(+1)


獲得技能

・パッシブ:[竜人化]トゥルー・ドラゴン

皮膚が硬質化し、一日に一度、ファイアブレスと同質の炎魔力放出が可能になった



*カルミア*

レベル:8(上昇値)

ヒットポイント:215(+35)

筋力:26(+2)

敏捷力:37(+3)

耐久力:29(+2)

知力:9

判断力:10

魅力:13


獲得技能

・アクティブ:[雷閃一文字]

一撃の威力にのみ重視した抜刀術。[電光石火の構え]から繰り出すことができる。連撃の雷切とは対になる業


*サリー*

レベル:8(上昇値)

ヒットポイント:135(+20)

筋力:11(+1)

敏捷力:18

耐久力:18

知力:37(+3)

判断力:15

魅力:13


獲得技能

・アクティブ:[グレーター・ポリモーフ]

レッサーポリモーフィズムの進化系統魔法。敵の姿かたちを変身という手段で、より致命的に弱体化させる。ただし条件は変わらない



*イミス*

レベル:6(上昇値)

ヒットポイント:210(+55)

筋力:17(+1)

敏捷力:8

耐久力:32(+4)

知力:15

判断力:8

魅力:13



*フォノス*

レベル:6(上昇値)

ヒットポイント:75(+15)

筋力:15(+1)

敏捷力:36(+4)

耐久力:12

知力:10

判断力:10

魅力:13



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