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143話


 レッサー・グリーン・ドラゴンの後ろに控えているのは、紛れもない…ドラゴンだ。レッサードラゴンには無い、立派な翼をはためかせ、突風を起こす。口元からは灼熱の火が漏れおり、ブレスが使えることは明らかだった。


 竜は、生きた年数によって、戦闘能力が輪をかけて高くなる。そして、ドラゴンは年を重ねると、ドラゴンの前につく名称が変わっていく。


通常であれば、若い順からワームリング→ヤング→ジュヴナイル→アダルト→オールド→エンシェント→オールドエンシェント(もしくはワーム)と、名前の前につけるのが慣例だ。その見分け方は、体長やウロコの古さ、傷の有り無しなどでも判断ができる。ワームリングは生まれてから数年以内の個体で、成長していくにつれヤング、アダルトと名称が変化する。


…今、目の前で俺たちを獲物と定めたドラゴンは、ウロコに傷ひとつない…そして、体長も3メートルほどの小柄なサイズ。ということは、かなり若いのだろう。この場合はワームリング・グリーン・ドラゴンと呼称すべきか。


ワームリングドラゴンは、幼体とは言え、凶暴さと残忍さは成体と変わらない。ドラゴンの殆どは縄張り意識が強く、自身の金品財宝を守るために、執拗に相手を追い回す性質を持っている。放っておけば、目についたもの全てを倒し、喰らい尽くすだろう。そうなれば弱い魔物は地上へと追いやられ、スタンピード待ったなしに。なんとしても、それは阻止しなければならない。


こんなところに大量のレッサードラゴンを引き連れているのは謎だが、討伐するしかない…!


 「ドラゴンにエンカウント!イミスさん!レッサードラゴンの攻撃を引き受けて!」


 「おっけ~!ウチがちっちゃいのを全部引き付けるよ! オプショナル・ディフェンスフェーズ[希望のオーラ]!」


 イミスは防御バフを張り、全てのレッサードラゴンが自身に攻撃が向くように仕向けた


 「よし、サリーさん。だいぶイレギュラーな展開だけど手順は変わらない。ドラゴンにレッドフェイスポーションを!」


 「は~ィ!とりャ!ポイポイポーイ♪」


 サリーが手当たり次第に持っていたレッドフェイスポーションを全部投げる。少量でも人が溶けるほどのやばい薬だ。一度これで、盗賊をスケルトンにクラスチェンジ()させているからな…。これだけ投げれば、きっと有効打を与えられるはずだ!


 ポーションが割れる度に、強烈な辛味の臭いとシュウウウ…と溶けるような音。何個かはワームリングドラゴンに直撃したようだ!


 「ギュアアアアアア!」


 ドラゴンは前足で顔を激しく擦る仕草をすると、暴れだして地響きを起こす。ポーションが当たった部分は赤く腫れ上がっているものの、戦闘不能には追い込めなかったようだ。人を簡単に溶かすようなポーションであっても、ドラゴン相手では威力に心許ないか。


 「よし、俺もいくぞ![ファイア・ボール]!」


 サリーをターゲットにしているドラゴンに向けて、2階層で拾った杖からファイアボールを連打。どれもドラゴンのウロコに弾かれて掻き消える。


 …なんだ、低級の魔法を弾く効果でもあるのか!?だが、奴の気を引くことには成功したぞ。


 「今だ!サリーさんは攻撃魔法準備!カルミアさん、スイッチ!」


 「…うん!」


 カルミアは刀を鞘ごと思い切り振り切って、鞘をぶっ飛ばす。飛び道具にして、ドラゴンを牽制するつもりだ


 ドラゴンは超速で飛んでくる鞘を体で受け、数メートル吹っ飛ぶ。その衝撃で、頑丈だった鞘は完全に使い物にならなくなった。それだけドラゴンの皮膚強度が高いのだ。


 「グルルルル…」


 怯んでいるうちに、イミスがひきつけてくれているレッサードラゴンを対処しなくては…


 「サリーさん、レッサードラゴンの相手をお願い!」


 「[コンフュージョン]!からのォ~[イリュージョン・ストライク]!」


 レッサードラゴンたちを混乱させ、攻撃魔法を叩き込む。


 イリュージョン・ストライクは風属性に変化し、レッサードラゴン数匹を巻き上げ壁に叩きつけた


 残りのレッサードラゴンも、混乱状態が続き、同士討ちを始める。


 …よし、これで時間は稼げた!俺は壁に叩きつけられたレッサードラゴンに[ファイア・ボール]を撃ちまくり、一匹を黒焦げにしてやった


 「やった!一匹撃破!」

 

 「ギュゥウウウウウ!」


 ワームリング・ドラゴンが腹を膨らませ、後ろ足だけで立った。口からは炎が溢れてくる


 「まずい、ブレスがくるぞ!」


 「サトル君、サリサリ、ウチの後ろに!」


 残った数匹のレッサードラゴンを大盾で弾き飛ばし、間に入る。そして、俺たちをかばうように大盾を地面に突き刺した


 「[メイジ・アーマー]!」


 サリーがダメ押しの一手。魔法の鎧で覆ってくれた


 カルミアはイエローアイが待機している位置まで移動し、地面に向かって[雷閃拳]を打ち込む


 拳と触れ合った地面が大きくめくれあがって、ドラゴンに対しての即席防壁ができあがった


 これで、イエローアイが焼かれずに済むか…?


 「グァアアアアア!」


 ドラゴンの口元から灼熱のブレスが容赦なく俺たちを襲い、フィールド一面が赤に染まるほどの広範囲にブレスが広がっていく…!


 



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