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104話


 *対象 フォノスがレベルアップしました*

 *対象 フォノスがレベルアップしました*


 「う~ん、うるさいな…」


 脳内に響く通知をかき消すように頭をふる。寝ている体を起こして窓から外の景色を見ると、まだ有り明けで外は薄暗かった。


 「フォノス…。レベルアップって、どこで何をしているんだか」


 あれから宿に戻って、サリーにクリュの診断と薬の調合を任せた。クリュは大人しく薬を飲んでくれて、今は俺の部屋のベッドで大人しく丸まっている。白い包帯でグルグル巻になっているので、毛玉犬というよりはミイラ犬状態だ。サリーいわく、可愛いし効き目バツグンな処置とのことだ。


 「トラブルもあったけど、今日こそは、ヘラヘクス教会の子供たちに戦闘訓練をやってあげなきゃな」


 フォノスからの連絡もないし、教会に帰ってくる気配がないけど、キャラクターシートにはしっかりと彼の名とレベルが記載されている。つまり元気?で過ごしているんだろう。そのうち、向こうから会いに来てくれるだろうし、今は放置しておくことにしよう。何も出来ないことを考えていても仕方がないからな。


 「バフバフ!」


 部屋から景色を眺めていると、クリュが起きた。包帯でグルグル巻にされているので、少し動きにくそうだが、キラキラした目で尻尾を勢いよくふっている。…うん、元気そうだ。


 俺はクリュを持ち上げて、一階に降りた。既に厨房からは食事を作っている音と香りが…


 「う~ん、良い香り。ここの飯は本当に美味しいんだよなぁ」


 「あらぁ!サトル、お世辞が上手なのねぇ!ペットちゃんも元気そうで良かったわ~」


 厨房から恰幅の良いおばちゃんが出てきた。おばちゃんは宿を運営している一人で、特に料理がすごい。どんな素材でも、たちどころに美味しいものに錬金してしまう食の達人である。


 「はは、聞こえていましたか。今日は朝から教会まで行ってきます」


 「あら!そうだったわね!全員分の食事を作っておくから、ちょっと待ってらっしゃい」


 ―しばらく経って、カルミアたちが上の階から降りてくる。


 クリュも一緒に、皆で楽しく食事を済ませ、教会へと向かった。おばちゃんからは多めにお弁当を作ってもらった。


 そして、宿から出て日が昇り始めた頃には、教会に到着する。


 まだ早朝だが、既に子供たちがチラホラと教会に集まっては日課のお祈りを済ませている。


 教会の司祭であり学び舎の先生でもあるドメーヌも、教壇で子供たちがお祈りをする様子を見届けていた。


 お祈りが終わってからはドメーヌにフォノスが帰ってないか確認するが…


 「あのぉ、すみません…フォノスくんはまだ帰ってきていません」


 「そうですか…」


 ちょっと遠い距離からそんな報告を受けた。クリュが…というより犬系の魔物はまだ苦手なようだ。…こんな可愛いのに。


 何となくそんな気はしていたが、教会にも帰ってなかったか。やはり、話をするにも彼からの接触を待ったほうが良いだろう。今、俺たちは従来の目的を果たさなければ…


 そんなことを考えていると、ドメーヌは思い出したように話を続けた


 「あ!ですが、変わったことがあったんです。今朝…教会の前に、金品がたくさん入った袋が置かれていました…衛兵に届けたのですが、持ち主が見つからないようで、教会で使って欲しいと言われてしまって」


 フォノスの姿が消えた翌日に金品の袋…妙に衛兵の手回しが良いのも気になる。もしかしたらこれは、彼と関係があるのかもしれない。証拠が無いから、何ともいえないけど。これがもしフォノスからのプレゼントなら、彼はきっと何らかの手段で金を稼いだということになる。魔物でも狩ってたんだろうか?レベルも上がっていたしな。


 「……衛兵が貰って良いって言うのであれば、受け取っても良いと思いますよ」


 「正直、寄付や援助金だけで運営するのは苦しかったので、助かりますが…」


 たくさんの子供たちを養っていくのには相応の金が必要になる。貰えるもんは貰っておくべきだ。


 教会の入り口付近で話を続けていると、お祈りを終えた子供たちが俺の手を引っ張った。


 「ねぇ~!今日こそ色々戦い方とか魔物の倒し方教えてくれんだろー!さっさとしろー!昨日からずっと待ってたんだぞー!」「ぼ、ぼくも」「あたしもー!」


 一人の少年の行動を皮切りに次々と子供たちが群がって収集がつかなくなる。こりゃ相当待たせてしまっていたようだ!俺はコホンと喉の調子を整え


 「はいはい!みんな、待たせて悪かった!今日は、ここにいる剣の達人のカルミアお姉さん、魔法と錬金術が得意なサリーお姉さん、ゴーレムを使って戦う戦士のイミスお姉さんと、そのゴーレムのスカーレットさんが、君たちの適性を見ながら訓練を見てくれるぞぉ~!!」


 ここで子供たちの興味を彼女たちに向けてあげる。


 「わーい!!」「きゃっほー!」「早く早く!」「楽しそう!」「このお菓子美味しい!」


 すると、先生と俺を置いてけぼりにして、皆が彼女たちの手を引っ張って広場へと走っていった。そう、俺は置いてけぼりだ!仕方がない!何もできないから…!べ、別に悔しくなんてないんだからね!


 「あのぉ、行きましょう?」


 ドメーヌが手を口に当ててウフフと笑っている姿に癒されつつも、子供たちを追いかけた。


 彼らからそれぞれの適性を見いだし、彼らだけでパーティーを組ませる!そして、ギルドの簡単な依頼を俺らの手伝い無くクリアさせるのだ。そのためには、俺のパーティーメンバーにも頑張って貰わねば。



*フォノス*

※2レベル分の上昇値


*

レベル4(上昇値)

ヒットポイント45(+13)

筋力13

敏捷力28(+4)

耐久力12(+1)

知力10

判断力10

魅力13


獲得技能

・高速隠密:パッシブ

走りながらでも、隠密状態を維持することが可能。隠密状態からは[急所攻撃]が発動可能


・身かわし強化:パッシブ

回避能力を大きく上昇させる。回避能力は敏捷力が大きいほど増大する


・直感回避:パッシブ

敏捷力だけでは回避できないような攻撃を回避できるようになる


技能(上昇値)

運動9(+1)

機動力9(+1)

手先の早業 11(+1)

隠密 14(+1)

*


TIPS:手先の早業の値が高ければ高いほど、宝箱を開けたり罠を解除する能力が高い。スターフィールドの冒険者ローグの平均値は3~4。4あれば、大抵の鍵は開けられる程度の高さ。


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