スペースシャトル
スペースシャトルの育成方法。
まず、できるだけ油分の多い川を探し、その底にある泥をすくって、それを顕微鏡で覗いてみて下さい。すると、そこに鋭角な二等辺三角形の白い生物が幾匹か見えるはずです。はい、それがスペースシャトルの幼生ですね。
スペースシャトルの幼生を見つける事ができたなら、次にその幼生をスポイトで何匹か捕まえ、それをガソリンの少し混じった培養液に移しましょう。後は直射日光を避けて日陰で保存しておけば分裂を繰り返し、何日か後には真っ白くこんもりとしたスペースシャトルの幼生群体にまで成長しているはずです。
ここで少し説明が必要でしょうね。はい、スペースシャトルは非常に特殊な生物です。なんと幼生の状態では、その性質は単細胞生物と酷似しているのです(だから、幼生という呼び名が正しいのかどうか、本当の所は分かりません)。しかし、分裂を繰り返し、ある程度の数(大体、三千万匹くらいだと言われています)にまで達するとそれが、細胞群体としての性質を持ち始めるのです。多細胞生物であれば、カルス体とみなしても良いかもしれません。ただ、自然の条件下では、これ以上スペースシャトルの状態が進む事は通常ではありません。
さて、そこまでスペースシャトルが成長したなら、今度は液体燃料だけでなく気体燃料も加えてみましょう。できれば水素が良いのですが、家庭用のメタンガスでも充分に代用が効きます。すると、半日も経たない内に、群体であったスペースシャトルが各々で作業を分化し始め、徐々にスペースシャトルの形になっていきます。
この期間の扱いが、スペースシャトルの育成には特に重要なので気を付けて下さい。僅かな衝撃によって、直ぐに歪んでしまったり、機能に不全が出たりしてしまいます。
無事に5cm程度の大きさのスペースシャトルになったのなら、石油やガソリンなどの液体燃料を中心に最初は与え(この頃には機能が分化され、口ができあがっているはずですので、容器に入れておけば勝手に飲みます)、それから徐々に気体燃料を増やしていきましょう。スムーズにいけば急激に成長をし、三ヶ月くらい後には実に1mくらいの大きさにまでなっているはずです。
さて、これから先は心理的な教育が必要です。スペースシャトルに、自分がスペースシャトルである事を自覚させねばならないのです。その為には夜に散歩をさせ、綺麗な星空や月を見せたりして宇宙を実感させたり、またロケット打ち上げの映像を見せたりする事も効果的です。
スペースシャトルに、スペースシャトルである事の自覚をうまく持たせる事ができたなら、小さな物で良いので発射台を作りましょう。すると、スペースシャトルはプライドを刺激され、そこから宇宙に飛び立とうとするはずです。
ただし、天候等を慎重に選ばなければ失敗に終わってしまう可能性が大きいので、集団心理による安易な判断には充分に注意をして、その日を決めてください。
打ち上げが成功した時の感動は他では得がたいものがあります。NASAなどによって打ち上げられる巨大なロケットに比べれば、極々小さな物でしかありませんが(あちらは、品種改良や設備に大量の資金を使っているのだから仕方がありませんね)、一から自分で育て上げたスペースシャトルが空に昇っていくのを眺めるのはやはり良いものです。
みなさんも是非、一度はチャレンジしてみませんか?
(因みに、宇宙に飛び立ったスペースシャトルのその後がどうなるのかは、まだ詳しくは分かっていません)