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「マーク様。私婚活する事にしました」
開口一番に言われた言葉に目が点になる。
ここは僕の住んでいるフェルマ公爵邸。元は母方の祖父母に会いに来た際に泊まるところとして建てられた建物だった。
現在祖父母であるフェルマ元子爵夫妻は住み慣れたフェルマ子爵邸にそのまま住み、僕は王族用に建てられたフェルマ邸別邸をフェルマ公爵邸として住んでいる。
ここは現在僕とイザベルしか住んでいないのだが、王族の宿泊所として用意されたため無駄に広く豪華だ。
僕としては寝室と研究室さえあれば良いし、イザベルも部屋が1部屋あればいいだろう。現在のフェルマ公爵邸は使われてない空き部屋だらけだった。
と、現実逃避していたが、イザベルの言葉は覆らない。
僕はイザベルが婚活すると聞いて現実逃避するぐらいショックだった。
これは自分の側から仲良しの人がいなくなるかもしれない寂しさだからだろうか?
自分の心がわからなかった。
「そ、そっか。よくよく考えたらイザベルも21歳だもんね。結婚しても僕を手伝ってくれる?」
「……はい。未来の旦那様が許していただけるなら働きたく思います」
少し様子が変な気がするが僕も深く考える心の余裕はなかった。
イザベルは旦那さんが許可してくれるなら働いてくれると言ってる。それなのに僕の心はモヤモヤしたままだった。
◆◆◆
それからの僕は許可したにも関わらずイザベルの婚活を邪魔していた。
お見合い相手の素性を調べ、評判の悪い人には勝手に断りの手紙を書き、それ以外の人との見合いの日にはなんだかんだと用事を入れて断らざるをえないようにした。
さすがにイザベルも変に思っているだろう。
僕はもうどうしたら良いのかわからなくて途方にくれていた。