2.
「お前みたいなガキが何をしにきた!?」
眉を釣り上げて怒られた。
「フィー様はお忙しいんだ、下賤な輩に付き合う暇はない。
どうしてもと言うならワタシが聞いてやるから、今すぐ用件を言え、
そして帰れ!!」
二本の足で直立し、手を腰に当て胸を張る、
首にはオレンジ色の蝶ネクタイをつけた・・・・ネズミに。
「え・・・と、魔女様・・ではないよね?」
ボクは状況についていけないまま呟いた。
そもそも、森に一歩踏み出したら、
そこにはもう目的の家があった。
ボクの一歩が大きいとかじゃないよ。
一歩で周りの景色みんな変わった。
魔女様が招待してくれた、ってことだと思う。
想像は沢山してたけど、
魔女様ってやっぱりすごい。
ってかテリトリーに入って一歩で、ボクの想像超えてきた。
凄い。
凄い!
凄い!!
興奮で頬が熱くなる。
ダメだ、このままじゃ興奮し過ぎてちゃんと話せないかも。
それ困る!
落ち着け、落ち着いてボク。
ふうーと長めに息を吐いて気持ちを落ち着かせていたら、
ひとりでに扉が開いた。
え!?
待って、
まだ心の準備が・・・
でそのまま、まさかのネズミさん登場に繋がっている。
最初は気付かなかったけど、
開いた扉のドアノブの上には、ちゃんとネズミさんが乗る為だろう木片の台が取り付けられてる。
色々ふつうではないけれど、
サイズはボクも知ってる普通のネズミさんサイズだから、
床から話しかけられていたら何処から声がしてるのか分からなくて暫くキョロキョロしてしまっただろう。
この台を見るに、
来客の対応はいつもこのネズミさんの仕事なんだろう。
「どうしたらワタシとフィー様を間違えると言うのか、
貴様は下賤な上に馬鹿なのか。
フィー様がこんなにもお力を尽くして御守り申し上げているというのに、本当にこの村の連中は救いようのない」
しまった!
ボクのせいで村のみんなの評価まで下がっている。
慌てて言い繕う
「あなたのような立派なネズミさんに今まで会ったことがなかったので、思わずっ
大変失礼しましたっ!!」
・・・ど、どうだろう?
「ふんっ
まぁ、ワタシのような立派なネズミはそういるものではないからな。
まぁ、今回は許してやろう」
よ、良かったー!!
ネズミさんはうっすら頬もあかくして満足そうだ。
よぉしっ
このまま勢いでいこう。
「りっぱな、立派なネズミさん、どうか魔女様に会わせてはいただけませんか?」
・・・
・・・・・・どうだろう?
「仕方ない。今回だけだぞ」
やったーーーー!!!
「7歳児に言いくるめられてどうするチュロス」
すると、軽いため息混じりの呆れた声が扉の奥から聞こえてきた。
ボクは息をのんだ。
だってそこには憧れの魔女様がいたのだから。