婚活パーティー
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伊勢に帰った具房。しばらくはのんびりできるだろう、と安心していた。とりあえず、伊勢の美食で腹を満たす。
「うん! やっぱり魚介は最高だ!」
陣中では手の込んだ料理は食べられない。京では新鮮な魚介を簡単には調達できなかった。その反動から、具房は刺身を貪るように食べる。そんな姿を、お市と葵が少し呆れて見ていた。
「大袈裟ね」
「そんなに慌てて食べなくても……」
「いいじゃないか。もぐもぐ……おかわり!」
「はい。お兄様」
お茶碗を受け取り、雪がお櫃からご飯を盛りつける。彼女は具房の完全なるイエスマンだ。基本的に彼の行動に文句は言わない。自分を非難しない雪に、具房もこのときばかりは特別に甘くなる。
「ありがとう雪。やっぱりお前はよくできた妹だ」
「えへへ……」
頭を撫でられて雪は嬉しそうにはにかむ。具房の帰国一日目は、伊勢の美食を堪能して終わった。
しかし、さすがに数日もすれば通常運転になる。具房は戦陣の反動から解放され、いつもの生活に戻った。今回の上洛戦の褒美としてもらった伊賀。その統治が課題となった。
「伊賀は陸奥守(武田信虎)に任せたい」
評定の席で、具房は伊賀の代官に信虎を指名した。理由はいくつかある。
まず第一に、具房の精神衛生である。厳格な信虎が近くにいると心が休まらない。安寧がほしいのだ。
だが、もちろんそんな私情百パーセントで任命したわけではない。ちゃんとした理由もある。それが信虎の前職ーー甲斐守護だ。甲斐には海がない。伊賀にもまた海がない。そんな土地を統治するノウハウを信虎は持っているのである。
また、具房の領国では京に一番近く、そこで何か異変があれば、伊賀兵団が真っ先に駆けつけることとなる。信虎は軍の指揮経験も豊富で、頼りになるのだ。
このように信虎は北畠家中において、伊賀を統治する最高の人材なのである。しかし、信虎はすんなりと受けなかった。
「吝かではないが、条件がある」
「申してみよ」
「徳次郎殿を連れて行きたい」
「えっ?」
突然の指名に、徳次郎が戸惑う。それは具房も同じだった。
「なぜ徳次郎を?」
そんなことを訊ねる。徳次郎は武芸に秀でるが、基本的にはただの料理バカだ。統治の補助をさせるなら、佐之助あたりが適任である。なぜ徳次郎なのか、具房にはわからなかった。
だが、信虎の理屈は至極単純である。
「儂は飯が不味いところには行きたくない」
とのことだった。
「殿……」
指名された徳次郎はというと、具房に縋るような目を向けていた。それもそうだろう。あんな山奥(伊賀)に好き好んで行こう、なんて奇特な人間はいない。しかし、
「わかった。徳次郎にも伊賀へ行ってもらおう」
具房の精神衛生のため、徳次郎には犠牲になってもらう。
「殿ぉ……」
徳次郎が情けない声を上げた。裏切られた! と目が言っている。とはいえ、具房も鬼ではない。何もせずに伊賀へ送り込むはずがなかった。
「徳次郎。そなたには重大な任務を与える」
それは、伊賀における産業振興。具体的には養蚕と畜産だ。特に牛の飼育である。この時代、牛馬は機械に代わる重要な労働力。それを育てるのは重要なことだ。伊賀には上野盆地があり、牛の飼育に適した環境がある。これを利用して牛の一大供給地にするのだ。もちろん、その一部は食用となる。つまり、信虎が所望する美食につながるのだ。
伊賀の状況については具房も知っていた。ろくな産業がなく、人々は生きるために傭兵家業を営んでいる。伊賀忍者も、そのような厳しい生活を強いられているために生まれたのだ。しかし、具房が領有する以上は金になる何かを生み出してもらわないと困る。そこで山の金策手段である養蚕と畜産を導入することにしたのだ。
「頼むぞ」
「ははっ!」
徳次郎は信虎を満足させる目処が立った、ということで伊賀行きを受け入れた。これで議題は次に移る。それは、六角一族の処遇についてだ。家臣とすることは決まっているが、何をさせるかが問題だった。
「四郎(義治)殿は弓の名手。承禎殿は弓のみならず、馬術にも秀でるとか。そこで、軍の師範(教官)とするのはいかがでしょう?」
「それは名案だ」
本多正信の提案に具房は乗る。六角義治、大原義定は弓術の教官に。六角承禎は馬術の教官に任命することとした。彼らは早速、兵士たちに訓練をしていく。具房は鉄砲などの火力を重視しているが、弓矢の方がコストが安い。その練度が上がれば、北畠軍はより戦力が上がるだろう。
かくして評定における議題はすべて消化された。それから具房は普通に政務を行う。完璧に日常に戻った。そんなある日、官吏のひとりが政部奉行である佐之助のところにある書類を持ち込んだ。
「佐之助様。伊賀からの書類です」
「ありがとう」
具房の理想は市役所のように、地域の役所ですべてが処理されることだ。しかし、学校教育が始まったものの、まだまだ文字を扱える人は少ない。領国もまだ小さいため、津にその機能を集約している。
とはいえ、佐之助は仮面政部奉行である。持ち込まれた書類は葵の許に転送された。彼女は具房の秘書でもあり、その横で決裁する。つまり、政部奉行の業務はすべて筒抜けなのだ。
「あれ?」
「どうした?」
いつものように淡々と書類を決裁していくなかで、葵が声を上げた。具房が異常でもあったのかと訊ねる。すると彼女は答えの代わりに持っていた書類を手渡した。
「婚姻の許可願?」
それは伊賀に行った北畠家臣が出した婚姻の許可願であった。今は戦乱の世であるため、家臣(公務員)が結婚する場合、許可をもらう必要がある。そのための書類であった。普通は何も言わずに半蔵(内偵担当)に回すのが普通なのだが、葵が目を留めたのは身近な人間の名前が載っていたからだ。
「徳次郎が?」
その先頭にあったのは徳次郎の名前だった。具房は婚姻の斡旋などは基本的にしない。仲人を頼まれたら務めるが、自分から動くことはなかった。そんなわけで、徳次郎にも結婚を斡旋したことはない。そんな彼が結婚するというのだ。俄然、興味が湧く。相手は誰なのかと。そして書類を詳しく見て驚いた。
「陸奥守の娘と?」
その相手は信虎の娘(養女)であった。菊亭晴季に嫁いだ娘を最後に、彼に娘はいない。そこで菊亭家と同門(西園寺流)である室町家(四辻家)の娘を養女とし、徳次郎に嫁がせたのだ。また、これは後で書類に埋もれていたものを発掘したのだが、信虎から書状で徳次郎に武田の名跡を与えたいとの申し出があった。曰く、その料理人としての腕に惚れ込んだらしい。
(まあ、料理が好きだもんな……)
具房がもたらした未来の料理にすっかり夢中になった信虎。時代の最先端を行く徳次郎を、色々な飴(嫁や家名)を与えてでも手許に置いておきたいらしい。甲斐を統一した猛将がそれでいいのか? と思わなくもなかったが、反対する理由はない。関係者が納得しているなら問題はない、と返事をした。後日、問題ないとの答えが返ってきたので、婚姻を許可している。
これにより、徳次郎は入婿という形で甲斐武田家の一員となった。かくして伊勢武田家が創設され、徳次郎は武田信隆と称するようになる。
「そろそろ猪三たちも嫁取りをしないといけないわね」
これを聞いたお市は、家臣が未婚なのはよくないと、具房に婚姻を斡旋するように言った。しかし、具房は気が進まない。主人に言われると、それはどんな形であれ命令になってしまうからだ。
「なんとかならないか……」
そうして頭を捻っていると、ふと思いついたことがあった。婚活パーティーだ。これなら自然な形でカップルが生まれる。丁度、今は年末に向かう時期だ。新年の行事に合わせてパーティーを行うこととした。
「ーーどうだろう?」
「いいですね」
「面白そうじゃない。やってみましょうよ」
葵やお市に話したが、二人とも賛成してくれた。時間もそれほどないことから、準備を急ぐ。参加者は急なので、比較的行き来が容易な織田家と松永家、徳川家から募集した。もちろん、伊勢国内からも募集している。
「なあ。どうしてもダメか?」
「当たり前だ」
具房は婚活パーティーの準備をしている猪三に対して少し強めに言った。パーティーは彼のために開いているのだ。それが参加しないなら、やる意味がなくなってしまう。
「が、頑張ろう」
不満顔の猪三の横では、同じく参加させられた佐之助が諦念を滲ませていた。
「楽しもうじゃないか」
権兵衛は楽しもう、と明るく言う。これまで一向宗との最前線である長島城を守り、何があろうと長島城から動かなかった権兵衛。だが、今回は特別に津に来ている。なお、長島城には城代として具藤と正信が入っていた。
「嫌なら早く決めなさい」
そうすれば早く帰れるわよ、と葵。彼女には逆らえない幼なじみ衆。
「仕方ねえな……」
猪三は気乗りしない様子だが、渋々と受け入れた。
「諸君! 今日はささやかながら宴の席を用意した。若人同士よく語らい、今後の親睦を深めてほしい。それでは、乾杯っ!」
「「「乾杯っ!」」」
具房が乾杯の音頭をとり、婚活パーティーが始まった。始まってみると猪三たちは大人気である。彼らの周囲には人垣が絶えない。無理もないことで、彼らは今をときめく伊勢国司北畠家当主・具房の寵臣。しかも独身。なおかつ身分も低く、妻となれる女性の身分も広がり、必然、その数も増えるのだ。
「これは面白い試みですな」
そう話しかけてきたのは織田家からやってきた織田信興である。彼の話によると信長もこの婚活パーティーに興味を持っているらしい。
『婚姻を結ぶにしても、夫婦が不仲であればいろいろとぎくしゃくしてしまう。それよりは顔を合わせ、相手を見知った上で婚姻した方がいいだろう』
そんなことを言っていた、と信興。具房の狙いも似たようなものなので、さすがは弾正殿(信長)だ、と応じる。ちなみにこの話は今後、発展して北畠家と織田家の持ち回りで婚活パーティーを主催することとなるのだが、これはまた別の話だ。
「手前もよろしくお願いします」
具房が信興と話していると、そこにするりと割り込んできたのが今井宗久。わざわざ堺からやってきたのだ。彼は自分の娘を連れてきて、ちゃっかりパーティーに参加させている。娘には何か指示をしているのか、佐之助にべったり付いていた。
「あ〜、これは宗久殿の作戦勝ちかな?」
「そのようですね」
具房とパートナーの葵(お市は来ていない)が佐之助の妻が宗久の娘(薫)となりそうだと結論づける。薫は真っ先に佐之助に貼りつき、接近する女性陣を仕切っていた。気の強い性格らしく、気弱な佐之助は尻に敷かれている。
(これはあれだ。奥さんには一生、頭が上がらないパターンだ)
院の先輩にもそんな人がいたな、と昔を懐かしむ。酒には付き合おう、と具房は同情する。
佐之助が薫に支配される一方で、逆に女性陣を支配しているのが権兵衛であった。彼はその甘いマスクで武家、商人、農民の娘に囲まれている。それはさながらアイドルであった。
「あれは誰になるんだ……?」
「わかりませんね……」
権兵衛には隙がない。平等に接しているように見せて誰かを注視しているーーなんてこともなかった。具房たちは誰が本命だ? と首を捻る。
「まあ、それを待つのも楽しみというものですよ」
結局、宗久のこの言葉で答え合わせは後になった。
「さて、猪三はどうなんだ?」
最初は身分の高い(あるいは将来有望な)男が色々な女性に囲まれていた。しかし時間が経つと脈のありなしがわかってきて、少しずつ集団はばらけている。猪三はどうなっているのか、と具房たちはその姿を探した。この時代の日本人としては破格の巨体はすぐ見つかる。
「おや?」
「あれ?」
開始早々、女性陣に揉みくちゃにされていた猪三。しかし今は彼の横にひとりがいるだけだ。具房は武芸に秀で、引く手数多な猪三が早い時間に相手が決まってしまったことに驚く。一方、葵は猪三の側にいる女性に驚いた。
「海ちゃん?」
「誰だそれ?」
葵の口から漏れた聞き慣れない名前に、具房は疑問を口にする。葵は猪三に惚れていた少女だと説明した。
「猪三は村で特に人気が高かったので」
村ではモテモテだったという衝撃の事実が判明する。そんなバカな、と具房。とても失礼である。しかし、葵も具房に共感した。
「子どもって単純ですね。足が速いとか喧嘩が強いとか、そんな理由で好きになるんですから」
でも、わたしには太郎様がいます、と葵。嬉しいことを言ってくれる、と具房。二人の桃色空間が瞬時に形成された。
「ほう。お熱いですな」
「あ、姉上(お市)もこんな感じなのでしょうか……?」
二人の熱愛ぶりに宗久はニヤニヤと笑い、信興は葵をお市に置き換えて、こんなことをしているのかと少し困惑する。姉(お市)は美人だが、同時に北条政子もかくやという豪傑でもあった。信興からすれば怖い姉、という印象しかない。そんな彼女が、このように甘える姿はとても想像できなかった。
そんな外野の声で、二人は我に返る。ゲフンゲフン、とわざとらしく咳払い。具房はああだこうだと言い訳をし、葵は顔を赤くして俯いた。
二人のバカップルぶりが明らかになりつつ、この日の婚活パーティーは終了。数多くのカップルが誕生した。猪三たち具房の側近が報告にやってくる。
「海です。猪三様を精一杯、支えます」
海は具房(大名、名門伊勢国司北畠家当主、参議)というまさしく雲の上の人を前にしてガチガチに緊張していた。そんな彼女の緊張を解すため、具房はなるべく柔らかく話しかける。
「うむ。猪三は余の大事な家臣だ。しっかりと支えてやってくれ」
「ひゃいっ!」
噛んじゃった、と海。だが、彼女の苦難は終わらない。具房の正室、そして側室のお市と葵との話もある。
「よろしく頼むわよ」
「何でも相談してください」
「は、はいぃ……」
すっかり恐縮した様子の海。ちなみにまだ結婚するわけではなく、婚約の段階だ。半蔵たち花部隊による内偵を経て結婚となる。具房は積もる話もあるだろう、と同郷の葵を含めて下がらせた。彼女には海のメンタルケアも担当してもらうつもりだ。
次に現れたのは佐之助と薫のカップル。さすがは堺の豪商・今井宗久の娘だけあって薫は所作が美しい。
「御所様(具房)、お方様(お市)、よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしく頼むぞ。佐之助は頼りのないところがあるからな」
「しっかり支えてあげて」
「承知しております。ね、お前様?」
「う、うん……」
佐之助が完全に尻に敷かれ、ロボット状態になっていた。宗久の娘ということで、薫の内偵は誰よりも早く済むだろう。ただ、あまり派手に食い込まれないよう、注意する必要はあるが。
最後は、具房たちが一番気になっている権兵衛だ。パーティーでは終わりまで数多の女性を侍らせており、誰を選ぶことになったのか興味津々である。そしていざご対面。
「嶋です。よろしくおねがいたします!」
「「………………………………………………………………ん?」」
具房とお市は目を丸くした。権兵衛に連れられてやってきたのは、見た目百三十ほどの幼女だったのだ。お市は純粋にその身長の低さに驚いている。一方、具房は別の意味で驚いていた。
(権兵衛……ロリコンなのか?)
この時代の女性の平均身長は百四十五センチ程度。しかし、嶋はそれ以上に低い。また声も高く、少女ではなく幼女にカテゴライズされるような容姿だ。
(おかしいな。満十五歳以下は参加できないようにしていたはずだが……?)
具房の領国では戸籍が作成されており、婚姻にあたっては届出が必要である。そのとき、法で定める年齢(男女ともに十五歳、例外あり)に達していなければ却下されるようになっていた。嶋はどう見てもアウトである。他国から紛れたのかな? とも思ったが、もちろん年齢制限は伝えてあり、面子を重んじる時代なので厳格に守るはずだ。むしろ、北畠領国内の方が緩くなってしまう恐れさえあった。
「あ〜、嶋殿。おいくつかな?」
念のために訊ねる具房。しかし、返ってきたのは予想外の答えだった。
「十六になります」
(合法っ!?)
びっくりである。その横では権兵衛が笑っていた。具房の反応が予想通り、といった様子である。
具房はムッとした。しかし我慢して、事情を聞く。嶋は何者なのかと。権兵衛は答えて曰く、
「伊藤氏のご息女です」
「長島の?」
「はい」
権兵衛曰く、長島城主として地域を円滑に治めるため、この地方に勢力を持つ北勢四十八家に声をかけたのだという。その際、婚姻話が持ち上がった。この時代で結束を確認する常套手段である。正室は伊藤氏から。側室に千種氏(千種忠顕の末裔。先祖の同僚は北畠顕家や新田義貞)、赤堀氏(藤原秀郷の末裔)などの息女を迎える。その上、豪族から養女をとり、各氏族に嫁がせるという大婚姻同盟が構想されていたのだという。
「初耳だぞ」
「報告していませんから」
具房の不満の声も、権兵衛はさらりと受け流す。報連相の重要性について小一時間ほど説教したくなる具房だったが、ここは我慢した。
「ということはあれか。今日、お前の周りに女が集まっていたのはーー」
「顔合わせですね」
ということらしい。義娘たちの婿を探して回っていたそうだ。なお、その肝心の婿は側室探しに夢中であまり捌けなかったという。
「……まあ、なんだ。頑張れ」
「ありがとうございます」
具房の言葉をもらうと、権兵衛たちは退室していった。
「はあ……」
とため息を吐く具房。そんなことになっているとはまったく知らなかった。権兵衛は優秀だが、相談してくれればいいのに……と少し不満だ。そんな風にやさぐれる彼を見て、お市はクスクスと笑った。
「……どうした?」
「親離れした子どもを見守る親みたいだな、って」
「悪いか?」
「悪くはないけど……寂しそうね」
「そう思うなら慰めてくれ」
旦那が傷心だぞ、と具房。彼からすればちょっとした軽口だったのだが、お市は真正面から受けとった。
「いいわよ」
と了承し、ジリジリと近寄ってくるお市。具房も『子離れできていない』と言われたことに時間が経つにつれて苛立ってきた。ゆえに、迎撃する。
「きゃっ!?」
具房は組討ちの要領でお市を倒す。思わず悲鳴を上げた。その上に覆い被さる具房。その顔は、意地の悪い笑みを浮かべていた。
「ちょっと……怖いんだけど……」
「安心しろ。極楽へ連れて行ってやる」
その夜。お市は具房の言葉通りに極楽へと連れて行かれた。翌日、午前中は立ち上がれなかったほどである。具房は葵にやりすぎだと注意され、反省した。
【解説】戦国時代の身長について
よく知られた話ですが、昔は日本人の身長は低かったのです。戦国時代では、
男性 156センチ
女性 145センチ
となっています(無論、資料によって若干の誤差はあります)。参考までに他の時代を挙げると、
《古墳時代》
男性 163センチ
女性 152センチ
《江戸時代》
男性 156センチ
女性 145センチ
《大正時代》
男性 162センチ
女性 151センチ
《現代》 ※2010年
男性 171センチ
女性 160センチ
となります。意外と古墳時代の人は背が高かったのですね。そんなわけで、嶋の具房から見たロリ体型は、戦国時代では「ロリ」ではなく、「小柄」にカテゴライズされるわけです。
なお、作中に描写はありませんが、具房の身長は168、お市の身長は155、葵の身長は150くらいとしています。この時代としては大柄ですね。なので、嶋が余計に小さく見えてしまうのです。