第九フェーズ 無謀
昨日投稿しましたが休日はいいですね。また書けました。
それではどうぞ( ゜д゜)ノ
―同年同日 第一司令所 15:27頃―
「武藤、【監視者】の用意は?」
「待ってくださいメインAIとオプションプログラムは同期しました。今、100機のドローンと接続中です」
5月26日の幹部ミーティングで決定した司令所組と実動部隊組への配属先。司令所組は手先の器用さも求められる職務だった。武藤はとりわけプログラム関係には以前の仕事で精通しており今の操作もお手のものだ。
「接続完了、F5,7 G8地点より計100機よりスタンバイ完了の信号を受信。命令あればいつでも」
ここ数日の訓練どうりに準備が完了したことを報告する。
「メインAI【支配者】を【監視者】モードで運用開始まで秒読み…3 2 1 システム起動!」
司令所管理官の宮本が秒読みで【Regaria】のメインAIを起動した。まるで天に幸運を祈るように。
オプションプログラム【監視者】はドローンを同一の動きではなく地形、重複、敵位置などを判断して個々の適切な飛行を可能にした画期的なシステムだ。それはドローンにとどまらず専用デバイスを取り付けたものなら【監視者】の支配下に置かれる。
「早期発見を願うぞ」
武藤もこのドローンたちが成果を挙げることを祈っている。
―同年同日 第三小隊OH-6D機内― 15:45頃
「見当たりませんね」
辺りを見渡していた川上が呟く。この広大な土地を捜索してから既に1時間が経過していた。
「推定行動範囲をもう見尽くしましたよ、広げますか?」
「いや、見落としがあると思う例えば・・・森の中に逃げ込んだかもしれん」
こうも手応えがないとどうしても士気が下がる。そのなかでも惰性にならず、目的に向かってひた走る隊長は尊敬できる。
「ッ!?サーモグラフィカメラに感あり!人の形が5つあります。」
「急行しろ!あと第一に発見報告!」
川上ともう一人の搭乗員がついに人狼のしっぽを捉えた。セオリーに従い第一小隊には報告したが岡山にはある考えがあった。
第二宮古島を舞台に捜索するにあたりヘリコプターを使うのは妥当だと司令所の判断には賛成できるが、それではローター音で感づかれてしまうのでないかと危惧していた。ならばこちらで殲滅とはいかないがせめて足止めをしなければいけないはず…たとえ命令に背くことになろうとも作戦完遂を優先すべき!
「第三小隊よく聞け、いいかこれより敵発見位置に向かう。そこで我々は第一小隊が駆け付けるまでやつらを足止めする。」
「ですが隊長!こちらはMP7のみ明らかに火力不足です。」
川上が異を唱える。
第三小隊に使用許可が下りたのはMP7という短機関銃だけだった。第一小隊と第二小隊の89式小銃と比較すると明白な火力の差がある。
「無いよりはマシだ!・・・俺が乗るOH-6Dをアルファ、もう一機をベータと呼称する。まずベータが人狼の進行方向に先回り、牽制射撃するその間アルファが地上に降下し精密射撃で無力化を狙う。」
川上の問いの答えになっていなかった。さらに畳み掛けるように今後の戦術を披露した。
(いくらなんでも無謀なんじゃ?)
第三小隊のほとんどが似たようなことを考えていた。即興の作戦が成功するとは考えられない。
「すまない、だがここでやつらを止めないと取り返しのつかないことになる気がする。考えすぎかもしれんが」
「「・・・・・」」
「了解」
「こちらベータ、了解」
何度目かの沈黙の後に心強い返答が隣にいる川上から、わざわざ無線で連絡してきたベータ機の隊員から返ってきた。すると事態を動かす報告がとんできた。
「人狼と思わしき影に動きあり。やつら浜辺に向かっています!」
「そこだ!第一小隊に追加報告。座標送れ!」
―同年同日 73式装甲車 16:00頃―
車を乗り換えて軽く点検をしていると本郷の手に収まっていた小型無線機が音を立てた。
〔我、人狼ヲ発見ス❳と
「点検中断!第三より報告が入った行くぞ!」
「大丈夫です今終わりました」
点検を自ら申し出た羽田野がこの短時間で終わらせたらしい。
それから2分後もう一度第三小隊から連絡があった。
〔浜辺ニテ人狼ヲ拘束スル❳
あまりにも無茶な通信が…
申し訳なく思っています。
えぇー今回も読んでいただき恐縮です。
戦闘シーンあると"昨日"予告したにも関わらず用意できず、すみません。
次回は本当にあります!