表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Regria―レガリア―  作者: parasan03
【Regria 】フェーズ1
11/11

第拾壱フェーズ  慢心

お久しぶりです

最後に投稿したのが6月10日かな?

で、今日が6月の16日ですね。

約二週間お待たせしました。


今回はご待望の【Regria】陣営と人狼サイドの戦いになります。

それではどうぞ( ゜д゜)ノ




―同年同日 第二宮古島 森中 16:02頃―


 稲妻の如く黒い光になるまで走り、水が流れるように華麗に木々を避ける。少しずつ視界が開けてくる。向こう岸が見えないほどのとても大きな池と白い地面が見えてきた。

 ――ズサァ――足が地面に埋まり砂がまとわりつく感覚がやってくる。


〔左に走れ!❳


 ――バラバラバラバラバラ――上空に古人(いにしえのひと)と空を飛ぶ鋼鉄の悪魔が二体飛来した。




―同年同日 第三小隊 アルファ機―


 サーモグラフィカメラで赤く光る5体の人影をヘリコプターで追う。やがて赤光(あかいひかり)が砂浜にたどり着く。砂浜も温められていて赤い光がサーモグラフィカメラ上の砂の色と同化するが既に光学機器を使わずとも肉眼で確認できるぐらいのは近づいた。


「ベータは作戦に従い人狼の進行方向に先回りし足止めをしろ。」

(りょう)!」


 ベータ機が機首を左に向けてアルファ機から距離を取る。こちらも行動を開始しないといけないとそう思い機内に繋がれている一つのロープを見た。今回地上に降下する過程でどうしても避けきれない問題がある。ヘリコプターによって発生する下降気流(ダウンウォッシュ)が砂ぼこりを巻き上げ視界を奪い方向、姿勢、高度、識別不能となる。更には視界が断たれるので射撃も困難となる。


「『ファストロープ』で最速で降りる。手袋は大丈夫か?」


 岡山が提案した降下方法『ファストロープ』とは短時間で突入したい場合に用いられる一本のロープを手足で挟み滑り降りるのだがその際、激しい摩擦が発生する。そのため革製の分厚い手袋が必要になるがそれでもロープを滑り降りる速度を調整するのは手足だけで落下の危険性が高い。


「ベータ機より『我、作戦開始位置』とのこと」


 突然アルファ機の操縦士から報告が入った。

 どうやらベータ機が人狼を足止めするための位置にたどり着いたようだ。遠くの地面を見るとベータ機の真下かそれより手前に5体の黒い人型のシルエットが存在していた。


「あれが人狼か…人か狼かどっちなんだあれは?」

「隊長、あれが敵ですね。ならば殲滅するまでそれが我々に下された命令です。」

「あぁ、そうだな…」


 岡山は人狼の正体について一抹の疑問を抱きかけたがそれは川上の一言で遠く昔のことのように過ぎ去った。


「岡山三尉、到着しました」


 同じ操縦士から今度はアルファ機がベータ機との位置関係から適切な場所の直上に到着したことが告げられる。


「降下用意!立てぇ~!」

「おう!」


 岡山の合図と共に第三小隊のアルファ機に乗っていた二名が頼りがいのあるレスポンスをあげて立ち上がる。

 ただの偵察部隊だったのがこうして武力を手にし攻撃をしようとしている。何がその考えに至ったらせたのか未だにはっきりしないが漠然ばくぜんとしたイメージではあるが"ここで叩かなければ取り返しのつかないことになる"…その程度の予感が岡山にはあった。。


「降下開始!降下!」

「降下!」

「降下!」


 ――シュルルルルル――ロープと革製の手袋がこすれ合う。

 地面まであと5m、4m、3m…徐々に近づいてくる。2m、1m地面に降り立ってからどうするか次の動作のビジョンは確固たる形をつくり脳内の中に存在している。


「よし!ヘリコプターの下降気流(ダウンウォッシュ)が過ぎ去ったら射撃開始!」

「ですが隊長ベータ機のブラウンアウトで視界が不明瞭ふめいりょうです」

「構わんやつらのシルエットが見えれば十分だ・・・風が収まった全員発砲許可!撃て撃て撃て!」


 ─パンッ─MP7消音器付きの発射音は89式小銃と比べればかわいい音で尚且つ(なおかつ)撃鉄の金属音も小さくを鳴らし拡張弾倉に装填された4.6×30mm弾が人狼の体を目指し飛翔する。

 有効射程は約200メートル、彼我(ひが)の距離50メートル。何の問題もなく命中する…はずだった。


「くそッ!全然当たらん動きが速すぎる!」

「砂の上であれほど高速に・・・残像まで見えてきたっ!」


 第三小隊アルファ側のメンバーと人狼5体との間に今も依然として立ちはだかる砂ぼこり、スクリーンとなり黒い影が左右に動き回る。地球上の生物には不可能なほどの機敏きびんさで。




―同時刻 人狼サイド―


躱す(かわす)躱す(かわす)ひたすら!)


 俺らのチームで最も策士に向いているハルク(いわく)、『避けまくって隙ができたら殺す』と…だから横に足の動く限界のスピードで右に、左に、時には止まったりフェイントを入れたり、師匠に教わった技術をフル稼働した。


『くそッ!全然当たらん動きが速すぎる!』

『砂の上で───ほど高速に・・・────えてきたっ!』


 闇の騎士が使う謎の武器から発せられる轟音によってはっきりと聞き取れなかったがどうやら作戦は上手くいっているようだ。


「兄貴いつ攻めるんだ!?」

「まだ・・・何か隙ができるはずだ・・・」




―同時刻 【Regria】陣営 第三小隊アルファ側―


 交戦が始まってからまもなく1分がたつ、単射で正確に狙ったとはいえ40発が全て撃ちだされるには満足な時間だ。

 ─カチッ─残弾がゼロになり引き金をいくら引いても同じ音が繰り返されるだけで弾は発射されない。


「安全装置よーし!弾込めよーし!単射よーし!」


 三人が一斉に弾倉を交換する。撃ち始めたのが同じなら必然と弾が切れるのも同じタイミングになる、さすればいかに訓練された自衛隊であろうとも僅かな攻撃が止む時間がやってくる。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「次こそ絶対に命中させる・・・ッ!」


 岡山三尉の内なる決意は虚しく、ある事象の結果に儚く(はかなく)散っていった。

 立ち込める砂埃(すなぼこり)が一瞬対面の光を通し人狼達を見せた。しかし狼とも人とも判別がつかないあいつらは殺意を剥き出しにしながら真っ直ぐこちらに向かってきた。


(なん・・・だと・・・!?)


 岡山が知覚できた思考はこれだけ、まともな考えは浮かばずに意識は遠く遠く暗い底に沈んでいった。


 ──シュッ──風切り音が川上陸曹長の腹部で小さく鳴る。付近で銃声がしていたら絶対に聞こえないぐらいの、でも現在は隊員全員が弾倉を交換しているせいで全く聞こえない。そして風切り音がした腹部が熱い…何かとおもい、おもむろに手を腹部に当てた。


(ッ!?)


 ヌメッとした熱い液体が大量に付着した。血だ。よく見ると目の前に人狼がいるではないか…さらに横を見ると同様に岡山三尉も人狼の爪に腹を()ぐられている。


(あぁ、そういうことか負けたんだな俺たち)


 川上の意識も暗闇に沈んでいった。




―同時刻 【Regria】陣営 ベータ側―


「隊長達がやられた!」

「もっと機を寄せて!」


 ベータ側の自衛官男女二人が操縦士に要求する。 それに応えベータ機は隊長が倒れ込む現場に急行した。


「あいつらだわ!」

「隊長の仇だッ!」


 まだ岡山の死亡は確定してない──というか死んでないのだが突然の事態に気が動転しているようだ。

 現場に到着した。誰かが合図したわけでもなく全員が一斉射した。下にいる人狼を狙い、ありったけの憎悪を込めてこの弾丸を彼らにプレゼントする。

 ──バババババーー──幾重にも響き渡る発射音─消音器を外し威嚇するように撃つ──それでもやはり弾倉内の弾は切れる。弾倉を最近開発された強壮弾に切り替えようとしたとき…


次の瞬間()()()()()()()()()()()()


 ─ガンッ─ヘリの側面に銃弾が当たった。


「え・・・?」

(銃弾!?だ、誰が撃ったの!?)


 まさか、あり得ないあの人狼が隊長達のMP7を拾って発砲したって言うの?だが起きたことは全くもってその道り(とうり)だった。事実を我が(まなこ)で確かめようとする。


「人だわ!キャッ!・・・ぜ、ぜ、全裸の男です…男がおそらく隊長のMP7を所持しています!」


 女の子らしくというかまぁ女性自衛官だが、驚いた。

 彼女は『新田 美郷(にいた みさと)』第三小隊に配属され今日【Regria】フェーズ1が開始して『出動命令がないなら楽なもんだー』と楽観していたら突然出動命令が下された。言われるがままヘリコプターに乗り込み、岡山さんが足止めすると言うから従い・・・彼が撃たれ復讐の業火に包まれたように体が怒りに燃えているのがわかった。そして今は全裸の男を上から見下ろしている。誰も体験したことのない事だろう




―同時刻 人狼サイド 30秒前―


(あいつらはこれで遠距離から攻撃してたのか)


 闇の騎士が使っていた武器を手に取りまずその重さに驚いた。

そして使い方について考えた。あいつらはどう扱っていた?記憶を辿りついに方法を明かした。理屈は謎だが使えれば問題ない。

─〔制御の極意❳をレベル1に変更─

 そう念じ徐々に身体に変化が訪れたのを体感した。ここの世界に通じる扉を通る前の姿に戻る。正確には衣服は人狼になるとき破けてしまい今は何も着ていない。


「もう一体来たか…こいつらと同じ運命に合わせてやる…」


 小さく呟きヨルクは騎士の武器を使った。予期せぬ衝撃に驚き武器が手から落ちる。でもどうやら鋼鉄の悪魔に攻撃出来たようだ。先の反省を生かし両手でガッチリと掴み指を引いた。

 ─カンッ─さっきとは違い僅かに甲高い金属音がした。すると()()()()()()()()()()()()()()




―同時刻 【Regria】陣営 ベータ機─


「メインローターに被弾!制御不能墜落します!」


 操縦士から一瞬理解したくない内容の報告が飛んできた。


(つい…らく?嘘よね?)


 ガタンと衝撃が襲う


(堕ちるッ!)


 ヘリコプターが無規則に回転しまた自分の平衡感覚もぐらつく


「うわああぁぁぁぁぁ!」

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 第三小隊ベータ側の三人と操縦士のトータル四人の悲鳴で機内が満たされる。


 そして第三小隊は全員行動不能となった…

その場に残るのは5体の人狼と無惨にバラバラとなったヘリコプター一機と重症を負った8人の自衛官、無傷のもう一台のヘリコプターだった。

今回もお読みいただき誠にありがとうございます。

戦闘シーンについてもう少し凝れなかったのが心残りですがこれ以上空けるとまずいので投稿することになりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ