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火星国家の佐々木くん  作者: 山本重国
第2章 第二次火星移住計画
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4 ギド・アレクサンダー

約1ヶ月ぶりの更新で申し訳ありません。

春休みという事で、後日も更新していこうと思いますのでよろしくお願いします!!


一方困惑状態だったの3人組ははっと気づくとようやく状況整理をすると、後遺的に感情が湧き上がり狼狽した。


「どーしよ。政宗が連れ去られたよ」


「フフフ安心したまえシャルル、こんな事もあろうかと秘密兵器を我は常備しているのさ」


鈴は軍服のジッパーを少し下ろし懐から旧式のトランシーバを取り出す。その様子は水色のネコ型ロボットと重なるものがある。


「鈴ちゃん、手に持っているさの長方形の箱はなんですの?」


近寄ってきた詩苑がトランシーバに付いている画面を覗き込みながら尋ねる。鈴はもっともらしい顔をしながら手に持つトランシーバを掲げると


「何を隠そう、これは我が軍が誇る旧式万物探知機である。旧式にする事により最新鋭の電波ジャックといった妨害無線の干渉が少ない優れもの。これで政宗を探す」


例え関係者の者だとしても軍所有の物を勝手に持ち出すことは、極刑に値する。だが鈴は軍育ちであるためある程度の身勝手は大目に見られる。


「今となっては、学生に身を落とす我が身しかし依然として軍事魂は燃え続けている」


見ての通り軍兵の頃の感覚が抜けきっておらず、顎を少し上げ右手は片目を覆い厨二病紛いな発言をする始末である。


「それで政宗くんを見つけるのね!」


勢いよく連れ去られ行方の分からなくなった政宗を探す手段が見つかった事で、詩苑の表情がパッと明るくなったが


「甘いぞ詩苑二等兵これはあくまで物質の探査機。故に有機物は探知できない⋯⋯フフフだが案ずるなこれで見つけるのは政宗の下着だっ!」


「に、二等?鈴ちゃんの変なスイッチが入っちゃったよぉ── 待って下着って、つまりまーくんのぱ、パンツを探すの?」


突飛な発想にしどろもどろする詩苑。


「あぁそうだ、流石にあの政宗でも街中で全裸で駆け回る事は無いという前提条件を立て、下着はを脱ぎ捨てないという事を考慮した上で下着を探す」


「まーくんが全裸で駆け回る?はぁっ」


今までになく活き活きしている鈴の軍ペースな上に空前絶後の提案から勝手に卑猥な妄想を膨らませ、顔を赤らめて膝から崩れ落ちる眼鏡っ娘


「我の奇想天外な妙案に着いてこれない様だな。ならば代わりに答えよシャルル少佐、今我らが取るべき最善の行動とは」


「イエスッサー中将殿。政宗氏を連れ去った女性即ち2等兵の姉殿を見つけ出すことかと」


意外にもシャルルはノリに乗ってそれっぽく叫んでみる。

鈴は元准将。中将は更に2つ上の階級で、政宗の兄武蔵の階級でもある。振りとは言え自らの師と同じ階級に扱われたことで気が緩む鈴


「ちゅ、中将なんてそ、そんな師匠とおなじ──あっあぁそっそうだ早速行動開始だ」


街中で軍事演習が始まったかのように盛り上がる『軍兵ごっこ』。もっとも鈴に関しては元軍人なので再現度の高さが伺える。これより3人は政宗探しに奔走するのであった。


「まずは政宗の下着を探すぞ!」


「御意」


すっかり『軍兵ごっこ』で天狗になった鈴も次の瞬間


「よし、探知機を起動させる⋯⋯アンテナをたてて⋯⋯あれ?」


疑問符が頭の中に現れた時既に先程まで長方形の付属品だった棒状の金属は別離していた


「「ああっ!!壊れたぁぁ!!」」


冀求してた道筋が突如途絶え先程の状態に蜻蛉返りした


「トランシーバー壊れちゃったよぉ」


「大丈夫古来よりこの様な物は単純な構造しているから無理矢理くっつけたら治る⋯⋯筈」


「I have an antenna I have a transceiver An」


と何処かで聞き覚えのある歌を口ずさみながらトランシーバーを治そうとした鈴を危機として止めようと動くシャルル


「ちょっと待って鈴ちゃん壊れるイメージしか湧かない⋯⋯って既に串刺しになってるし」


鈴の手の中には見るも無残なアンテナに胴体を貫かれたトランシーバーの残骸があった


「あぁぁもう修復不可能だ」


再び狼狽する3人組を見て腹を抱えて笑うひとりの中年男性がいた


「アッハッハッハッ。愉快なお嬢さん達やな、儂も一気に喜から哀に変わる茶番を見せて貰ったわ。あー愉快やな」


その男性は下品に声を上げ笑い的確なコメントをする。だが、鈴やシャルルなりに真面目にやっていた事を茶番として遇らわれた事に2人の発言に苛立ちが混ざる。


「なんやねんおっさんこっちは人を探しで忙しいんや邪魔せんといてや」


男性は彫りの深い顔を顰めて目元が少し陰るが表情は依然として明るく顎の無精ひげを撫でるなり


「おっさんとは辛辣だな。これでもまだ43だぜまだお兄さんっていう年齢だろ」


自分の外見年齢を理解できない痛い中年男性と判断して哀れみの目を向けた


「43ってもういいおっさんだよ、それとも何か心は永遠の20歳(はたち)とか言いたいんじゃないんでしょうね、お兄さん」


最後の一言だけは明瞭に聞こえ、皮肉たっぷりの返信をしたが、次の瞬間思い込みが誤判だったと気づく


「全く初対面から失礼なお嬢さんだねぇ

儂が渋くて気のいいおっさんだから許してやるけどねぇ人によっちゃ刺されても文句言えねぇぜ」


呆れてはいるのだが目だけは温かい眼差しのままで芯から冷めではいない様だ。その形相は男が一般人ではなく異質な存在と察するには十分すぎた


「おっさん。あんた何もんだ名乗りなさい」


会って大した時間も経過していないにも関わらず冷たい声で問い詰める鈴を心配して、倒れる詩苑を横目に仲裁に入るシャルル


「落ち着いて鈴ちゃん、流石にそれは初対面の人に失礼だよ」


しかし相変わらず男を警戒している鈴

仲裁の様子を見てふっと微笑むと


「そうだぞぉと言っても、警戒心は消えないか⋯⋯ならば自己紹介といきますか。儂はギドって言うもんやこの名前に聞き覚えないんか?」


ギドと名乗る男は何か2人を試す様な物言いで問いた。

真っ先に名前に合致する人物が思い浮かんだのはシャルルだった


「ギドってまさか⋯⋯火星国家(ここ)の発案者の」


「そうそう、そこまで思い出したなら知ってるならば合格だ」


やはり2人を試していたその男は一息つくと


「──儂は人類火星移住計画発案者であり現火星国家の大統領補佐ギド・アレクサンダーや。公の場で人前には出んから知らん奴も多いからなぁ見覚えがないのも仕方ないか」


深く息を吐き嘆息すると目を瞑りやれやれと言わんばかりに首軽く左右に振る


「大統領補佐??」


声を揃えて裏声になりながら叫ぶ。卒爾(そつじ)な事に立ち尽くしす2人、そしてようやく気がついて起き上がる詩苑。


「ふぁっ?呆けた面してどうしたの2人とも。このおじさんだぁれ?」


「あっようやく起きたねお嬢ちゃん。儂はギド・アレクサンダーやお話し聞いて貰──」


「え?あの計画の発案者さん?」


驚きでギドが喋っているのを邪魔して相変わらずの天然ぶりを発揮する。

大学進学目指している詩苑からしたら英雄にも等しい人物が身の前にいた。再び気を失う


「まぁちょいと話があるんだ。ここじゃなんだし、場所を変えようか」


中々話について行けず、ギドのペースに持ち込まれかけた時そうはさせんと言うタイミングで鈴が割り込んできた。


「だから、私達は今人探しの最中だっていってるじゃん」


「ならば、儂の話を聞いてくれたらお嬢ちゃん達に協力しようか」


え?暇なん?という疑問が鈴の脳内に過ぎったが口には出さなかった。


「それはどんな話なんですが?」


由緒正しきお嬢でもあるシャルルはギドに失礼のないように質問した


「そうだな⋯⋯佐々木政宗達が追っているLB集団についての話といえば聞いてもらえるかな?」


政宗から話は少し聞いていたLB教団の事を聞けるというのは2人を説得するには事足りる内容だった。


「分かりましたお聞きしましょう。ですかお話しの後はあなたにも政宗くん探しを手伝って貰いますよ」


「いいだろう。じゃっ早速移動しよう」


鈴は倒れている詩苑を見て嘆息するなり軽々と担ぎ上げて背負い移動する2人を小走りで追いかけた。


作中にドラえもんを連想させる表現があった事はここでお詫び申し上げます。

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