9 暴露
改稿と諸事情により更新が遅くなってしまい誠に申し訳ございませんでした。
ですが次回投稿も少し遅くなってしまうと予想されますのでご了承ください。
「私ね、わからなくなってきちゃった」
涙を右手の甲で拭いながら呟くシャルル
「な、なにが⋯⋯」
政宗は咄嗟のあまりシャルルの一言に一歩後退りをして唾を飲み込んだ
「うまく言えないんだけど⋯⋯違和感があるの」
「違和感?」
「そう⋯⋯」
(これは最悪の事態になり兼ねないな)
「違うの⋯⋯君が」
と言葉を続けるシャルル
「ぼ、僕が違うって⋯僕は僕佐々木政宗だよ」
あからさまに動揺しているがなんとしてでも場をとり持たせようとする政宗
(本当にまずいな⋯⋯なんで裏は黙ってるんだ⋯⋯高みの見物を決め込みやがって)
「あはははそうだよね、君は紛れもなく政宗くんだよね⋯⋯でも今の君は私の知っている政宗くんじゃないんだ」
シャルル乾いた笑いからは悲壮感や孤独感すら感じる。そして含みのある物言いで結論を見出すことを焦らそうとしてる
「⋯⋯」
何かいいたげな様子だが言葉に詰まり止むを得ず自分のつま先を見つめる
(情けない。そんなことにも気づかないなんて)
悔しさのあまり唇を噛むと、右がの犬歯から血が滴り落ちる
「私ねわからなくなっちゃったの」
同じ言葉を続ける
「⋯⋯」
(悩む。本当のことを暴露するか否か)
「あ、ごめんね変な話しちゃってそんなことよりテスト勉強しなきゃだよね」
沈黙を貫く政宗の居心地の悪そうな様子を見かねたシャルルは話の話題を変えてしまった
「潮時なのか⋯⋯早すぎないか」
ボソっとくぐもった声で独り言のように呟く
「どうしたの?政宗く⋯⋯」
最後まで言い切る前に政宗がシャルルの肩を掴んで垂れていた頭をゆっくりと上げシャルルの目を見つめる。唇が近い
「ちょっとまって政宗くんそういうのは順序っていうものが⋯⋯」
急な政宗の積極的な行動に動揺を隠しきれず緊張した雰囲気となった。だがそれを断ち切るように
「⋯⋯なぁシャルル」
「は、はい!心の準備なら出来ています」
そう言い目尻にシワが寄るほどに強く目を瞑り少し唇を尖らせる
「え、いや⋯⋯シャルルさん、何をなさっているのですか?僕は大事な事だから目をみて話をしようとしたのだけど」
思わせぶりな行動からのこの切り返し。それを聞いた途端
「そ、そうよね大事な事ね⋯うん目をみなくちゃね」
(シャルルになら話してもいいよな)
政宗は一度目を閉じながら大きな深呼吸をして、覚悟を決めたように再び目を開くと
「僕は、佐々木政宗はね多重⋯⋯」
真実を告白しかけた瞬間、黒光りしたシルク生地に大きな赤い十字架が描かれた荘重な修道服を見に纏った一人の男性がシャルルの背後から話しかけてきた
「あれあれれれぇお前はぁもしかしてぇぇ佐々木政宗くんじゃないかなぁぁ?」
その男の喋り方には歪な抑揚があり怪しさが一層強くなった。
「ヒッヒッヒッヒィこんなに早くお目にかかれるとは思ってなかったぜ」
口元が異様に釣り上げ奇妙な笑い声を出しながら、悦びを体で表現するように肩を抱きながら躍動している
「誰だお前!」
「あぁあ俺としたことが自己紹介がまだだったなあいけんなぁ」
動きを止めて右手を腰に当ててもう一方を後頭部を摩るようにしている。異様な笑顔は微動だにしないのでピエロの面を被っていなか疑うような光景を目の当たりにする2人。
「俺はぁお前らの今いるこのぉ第1教区担当司教山田芥っていいまぁす」
「第1区担当司教?」
聞き覚えのない言葉に首を傾げる二人
「そうだよぉ⋯⋯お前ら超能力者だろ?」
「あぁそうだ。というよりもここに居る殆どがそうだろうが」
火星国家の人々はあの事件以降に適正検査を行い約9割の人間が何かしら能力を持つ超能力者となった。
「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い」
どす黒い憎悪の象徴ともいえる様な悲痛の叫びを繰り替えす目の前の男は、白目になりながらも同じ言葉を連呼する。その嘗て無い光景に呆気をとられる政宗
「も、もしかしてあなた」
ずっと何かを考えていたシャルルが何かを思い出した様に唐突にその男に尋ねた
「その黒い特徴的な修道服⋯⋯都市伝説で有名なLB教団のかしら?」
都市伝説とは近代あるいは現代に広がったとみられる口承の一種である。
しかし彼等を都市伝説程度と思っている政宗たちはその存在の脅威を知る由もなかった。
(何で女の子ってどんだけオカルト好きなんだよ!)
状況判断の無さはシャルルが一枚上手だった
今回は様々な人からのご指摘とアドバイスを元に三人称視点を重視して書き綴ってみました。
不明瞭な部分がまだまだたくさんあるのでまたご教授願いたいです。
感想や意見をお待ちしております。