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第4章 おだやかな世界〈19〉

挿絵(By みてみん)


     10



 天空城塞都市(ラピュータ)パセムの地下訓練場における2日目の特訓は昨日とうってかわって、瞑想(めいそう)と純然たる剣技の訓練にほとんどの時間を費やした。


 オリベはなにもない空間へ特殊攻撃をはなつとそのまま瞑想(めいそう)へ移行した。その場に座すと、微動だにせず深呼吸して意識を自分の体内へと集中させていく。


 MPを用いた時の感覚、MPが回復していく感覚をつかまえる訓練だ。


 40分の瞑想(めいそう)をおえると、シーグルスが対巨大ドラゴン用の剣技をオリベに伝授していく。


 これまでは直感と反射神経だけでグリソードをふるっていたオリベだが、剣のふり方だけでなく、足さばきや体さばきまで意識すると云うのは初めての経験だった。


 剣技の訓練を1時間ほどこなすと、ふたたび瞑想(めいそう)の訓練に入る。このローテーションを日が暮れるまで(と云っても、地下訓練場からでは外のようすをうかがうことはできない)つづけた。


 一方、ミクリアは家にのこって、ヴホシャから治癒回復魔法と防御魔法についてあらためてレクチャーをうけていた。


 一般的な魔導師は徐々にレベルを上げながらさまざまな魔法を習得していく。レベルアップして新たな魔法を習得するまでつかえる魔法をひたすら反復するしかないので、状況に応じてつかいわける方法は自然と身についている。


 しかし、最初から魔導師レベルが高く、実戦経験のないミクリアは、治癒回復魔法と防御魔法をつかえるだけのレベルと知識はあっても練度が圧倒的に不足していた。


 つけ焼き刃ではあるが、いくつかの魔法にしぼって反復練習した。


 夕食時、オリベはヴホシャに城塞都市アギハベラミドのようすを聞いてみたが、とくに問題はなかったと告げられた。


 2日目の特訓をおえても、いまだ魔導剣鬼として開眼するきっかけすらつかんでいないオリベは歯がゆさと(あせ)りを感じていた。



     11



 特訓3日目。この日はふたたびミクリアも地下訓練場へ姿を見せた。


 オリベはシーグルス相手に特殊攻撃をはなちながらMPを強く意識する訓練であり、ミクリアは特殊攻撃をはなってMPを一時的にうしなったオリベに対するシーグルスの攻撃を防御魔法で防ぐ訓練である。


 シーグルスは初日の特訓でオリベの特殊攻撃をうち消す時だけしか、自身の特殊攻撃をつかわなかったが、今回はドラゴンの反撃を想定した特殊攻撃〈氷結破斬(ロックバニッシャー)〉をくりだしてきた。


 オリベの回避能力とミクリアの防御魔法との連携が問われる訓練でもある。


「オリベどの、まっすぐ下がるな! (わし)の剣の動きはドラゴンの首の動きと思え! ドラゴンの首の動きは急角度で変わらぬ! ドラゴンの首の動きを予測して攻撃を避けよ!」


「はい!」


「ミクリア、そなたもじゃ! ドラゴンの首の動きを予測して、攻撃の余波を喰らわぬ位置へ移動しながら防御魔法を展開せよ! かかしになっておると死ぬぞ!」


「はい!」


「オリベどの、攻撃できない時はドラゴンの死角へまわりこめ! あまりひきすぎるな! 常に自分の攻撃範囲を意識しながら逃げねば、ドラゴンの隙をつくことはできんぞ!」


「はい!」


「ミクリア、そなたは逆じゃ! バックアップの魔導師はパーティーにとって最後の砦ぞ! 常にドラゴンの攻撃範囲外すれすれを意識しながら動くのじゃ!」


「はい!」


「ふたりとも(わし)にばかり気をとられるな! 常にパーティーの動きも意識しておかねば、よい連携はできぬぞ!」


「「はいっ!」」

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