第2章 ウラエイモス樹海調査団〈3〉
魔装槍将アフマルドを筆頭に、元祖『深紫の百足団』を各パーティーのリーダーに四つのパーティーが編成された。
魔装槍将アフマルド(レベル58)パーティー。23名。
魔装剣将スラエタオナ(レベル56)パーティー。24名。
魔装銃将シェナンパ(レベル57)パーティー。23名。
法印魔導師エスメラルダ(レベル50)パーティー。30名。
各パーティーに多少人数のバラつきがあるのは、攻撃力や防御力を考慮してのことだ。レベル50以上の戦鬼がいない法印魔導師エスメラルダのパーティーは攻撃力を補う必要があるため、戦鬼の数が多くなる。
オリベたちのパーティーは法印魔導師エスメラルダのパーティーへ配属された。おなじパーティーにはジギゾコネラ火山で出会った『紅蓮の傭兵団』もいた。魔導師ぬきの剣鬼・槍鬼12名で構成される戦闘力と組織力を買われてのことだ。
「おいおい大丈夫かよ? おれたちのパーティー、唯一レベル50以上の戦鬼がいないんだぜ?」
魔装槍将アフマルドのパーティーに配属されたかったシンキが不満げにつぶやいた。
「逆に考えてみろよ。ほかのパーティーの魔導師は最高でもレベル42だ。エスメラルダさんのバックアップがあれば、おれたち戦鬼は全力でドラゴンを狩ることができる」
「しかし、拙者らがどれだけ武勲を立てても、EPは全員へ均等に配分されるが?」
「しょっぱいこと云わないの、ゲオルギウス。EPは平等だけど、竜玉とか竜眼とかウロコとか牙とか肉とかは、そのパーティーだけの猟果でしょ?」
「なるほど。そうであったか」
オフィーリアの言葉にゲオルギウスがうなづいた。
「たしかに、おれもレベル50以上の鬼将たちの戦いぶりは見てみたいけど、戦闘経験はポイント以上に今後のレベルアップの役に立つんじゃないかな?」
「猪突猛進が心情のオリベとは思えないセリフなのら」
「いや、おれはおれで考えてるんだって」
ヨッシーのツッコミにオリベが照れた。
「ぼくもエスメラルダさまを舐めまわすように見つめて、魔導師の技術とハートを盗まなくちゃ」
「……エスメラルダさんには変態魔導師がまぎれこんでますって釘刺しておかなきゃ」
あいかわらずのムードラにオフィーリアがヤレヤレと嘆息した。
「では、各パーティーごとにギザグソクムシへ搭乗! 調査の詳細はギザグソクムシでの道中で説明する!」
魔装剣将スラエタオナがキビキビと号令した。魔装槍将アフマルドのパーティーから30人乗りの巨大な魔装蟲輿へ乗りこむと、ウラエイモス樹海調査団は城塞都市オルムテサミドを出立した。
3
法印魔導師エスメラルダのパーティーはウラエイモス樹海を東西に4等分した西から2番目の地区を担当することとなった。6角形で区切られたマップのマス目を南から北へジグザクに移動しながら、マス目の中心点へ〈マーカー〉を打っていく。
ちなみに〈マーカー〉とは、レベル10以上の竜眼と短い竜の牙からつくられたものだ。ゴルフボールとティーが一体化したようなカタチで〈セーブポイント〉に似ている。
4つのパーティーの最終合流地点はウラエイモス樹海の深奥に位置するトルナクロイブ神殿である。
法印魔導師エスメラルダのパーティーは3日目に魔装槍将アフマルドのパーティーと合流し、翌最終日にトルナクロイブ神殿ですべてのパーティーと合流する予定だ。
法印魔導師エスメラルダのパーティーは4名の魔導師を中心に、前衛が槍鬼4名、銃鬼2名。
左右に槍鬼1名と銃鬼を2名ずつ。前衛・左右のアシストに剣鬼が1名ずつ。
魔導師の護衛に剣鬼が4名。そして後衛を剣鬼2名、銃鬼2名、槍鬼3名と云う隊列を組んでいた。
魔装剣鬼オリベは前衛アシスト。魔装槍鬼のシンキとゲオルギウスは左右にわかれた。魔装銃妃オフィーリアはシンキとおなじ右翼。魔装剣妃ヨッシーは魔導師エスメラルダの護衛である。




