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38 時間

 俺と彩夜が勇者の所に着く時には、決着が着いていた。


 勇者以外は全滅。

 特に目立つ傷が無いから多分、一撃で終わったのだろう。

 今も勇者は善戦しているが、いつまで持つか怪しい。

 と言うか、勇者はサクラ十家を覆っている防御壁らしきものを壊している最中だ。要は一方的に攻撃されてる。

 勇者の名が泣いてるって言ってあげたいな。言わないけど。


 さて、こっちも加勢しに行かないとな。

 このまま見学していてもいいが、勇者が多分じゃなくて絶対負けるからな。


「《無属性の短剣(虚空のショートソード)》」


 これは、スキル《無属性魔法》で新しくできるようになった魔法だ。

 他にも色々と出来るが、あまり使わない。


 生成した短剣を、サクラ十家に向けて投げる。

 投げる速さは申し分ないんだけど、攻撃力が弱いんだよな。


 ーーガキン


 大きな音を立てて、短剣は砕け散った。


 同時にサクラ十家も俺の存在に気づいた。存在感俺、無いのかなー。


「彩夜、攻撃出来るか?と言うか、武器あるか?」

「兵士と遊んでたからあるよ。攻撃ね。分かった」


 彩夜も突っ込んでいく。

 俺は防御壁の突破方法を考える。


 未だに突破できない防御壁。

 サクラ十家には俺達をさっさと倒すことが出来るはずだ。なのに攻撃はしてこない。

 十人が居ないと、魔法が発動できないとかか?普通に使えるよな。

 発動時間でもあるのか?それなら納得出来るな。

 考えれば考えるほど考えられる要素は出てくるが、どれも決定的な者にはならない。


 久しぶりに現実拡張を使って調べる。これ使うと、考えた意味が無意味になったな。


 効果時間 あと二分


 魔法名こそ出ないが、あと二分で防御壁は消えるのか。二分······多分、何が起こる。何も起こさないのなら、防御壁を解いて攻撃をしてこればいい話だ。


 勇者が善戦していると言ったが、今は疲労が滲み出ている。

 勇者が手に持ってるの、聖剣だな。折れたりはしないのかな?いや、こんだけファンタジーな世界だから折れるわけないか。


 考えるのを程々にして俺も防御壁破壊に参加する。


「《無属性の剣(虚空のロングソード)》、《無属性の盾(虚無のシールド)》」


 盾は勇者と俺に二枚、彩夜に一枚に配分する。

 何故か勇者が睨んでくるが、知ったこっちゃない。でも変なことしたっけ?あ、《鉄壁》があるから要らないことか?

 思考を振り払って、防御壁に攻撃をする。


 ーーガキン


 あ、《無属性の短剣(虚空のショートソード)》と同じ様に《無属性の剣(虚空のロングソード)》は消滅した。

 攻撃を食らう可能性がある為、一旦距離を置く。


 黒剣は無い。魔法は初級が限界。EX(エクストラ)スキルは今は使えない。

 ······最も役に立たねーな。


 ん?サクラ十家全員が何かブツブツ言ってるな。

 ブツブツ=詠唱······魔神を召喚する気か?狂信者の粋飛び出してね?

 今はいい。だが、防御壁を破壊できなければ、詠唱は終わって魔神は召喚。世界は滅亡、バッドエンド直行じゃないですか!


 考えろ!魔法だって万能じゃない。絶対どこかに弱点があるはずだ。


 残り一分。


 サクラ十家の足下には魔法陣が形成され、いよいよ詠唱終了を示している。

 もう一回、《無属性の剣(虚空のロングソード)》を生成する。今回は全属性を付ける。

 これで破壊できなかったら、諦めるしか選択肢が無い。


 もう一度、突っ込んでいく。


「壊れろぉぉおおおおおおお!」


 ーーピキっ!


 ヒビが入った!

 このままいけば壊せる。

 サクラ十家の官房も嫌な予感がしたのか、防御壁はさっきよりも一層、固くなったような気がする。


 ーーミシッ


 クソ!《無属性の剣(虚空のロングソード)》も限界かよ!

 頼む、耐えてくれ!


 ーーパリーンっ!


 よっしゃ、壊せた!

 《無属性の剣(虚空のロングソード)》は壊れる寸前だが、一撃程度なら入れれる。


 あれ?動けない。

 恐る恐る足下を見ると、魔法陣がある。

 更にサクラ十家を見ると、全員が歪んだ笑みを浮かべている。


 思い返せばそうだよな。防御壁の効果時間=詠唱終了の時間なんて、誰も言ってないじゃないか。


 周りを見ると、サクラ十家、俺、彩夜、勇者の聖剣に魔法陣が出ている。

 そして魔法陣は下から上に、上がってくる。

 足の感覚が消えて、次に手の感覚が消えていく。最後は何も見えなくなり、完全な闇が視界の中に広がる。


 あの魔法陣、多分《転送》だな。

 魔法文字や線の引き方といい、全く同じだ。

 そんなことはどうでもいいんだ。

 何故勇者の聖剣だけが、《転送》されているかだ。あの勇者、まさか偽物か?


 闇の中に光が差し込み、光のある方へ行く。


 ふぅーん。ここで決着を着けるのか。

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