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125 三人娘会談その6

「――でも何というか、お兄ちゃんがマコトをお姫様抱っこしだしたときはビックリしたよね。マコトは嬉しそうだったけど」


「べ、別に嬉しそうになんかしてないよ!」


「さすがにあれが成立するとは思わないわよね。確かに味方に抱えられた側は移動していない扱いで、魔法が使えるというのは前から判明してたけど」


「移動しながら魔法が使えるようになるといっても、一人の手が塞がるんじゃ効率悪いし普通は誰もやらないよね。人を抱えながら戦闘とか普通は無理だし」


「でもあれってチトセさん、どこまで計算してたんだろう。ペネトレイトが再使用可能になるまでの間だけ私を抱えてかばうつもりだったのかな?」


「いやー、さすがにお兄ちゃんはそこまで考えてないと思うよ。【逆境】が発動したのも含めて、全部アドリブじゃないかな」


「実際あの場面は全滅も覚悟してたから、本当に助かったのだけど」


「というか正直なところ、ここまで順調に攻略が進むなんて最初は思ってなかったよね」


「マコトの言う通りね。やっぱり偶然とはいえ、チトセが今話題のデモンズスピアを最速で取っていたのが大きいと思うわ」


「確かにお兄ちゃんのここまでの活躍は予想以上だったけど、でも実際のところお兄ちゃんがちゃんとパーティーで活躍出来ているのは、キリカのおかげな部分も大きいと思うよ」


「あら、どうしたの? 突然私のことを褒めたりなんかして」


「んー、だってキリカ、お兄ちゃんがパーティーにいるときは普段と動きを変えてるよね?」


「え、そうなの?」


「変えてるというか、攻撃力が高いチトセには自由に動き回ってもらった方がいいと思うから、敵のターゲットがチトセに向かないようにちょっと工夫してるだけよ」


「普通はあれだけ目立つように動き回って大ダメージを出してたら、敵から集中的に狙われてもおかしくないんだよね。でもキリカはそうならないように、お兄ちゃんの攻撃する瞬間が敵の視界外になるように向きを調節したりとか、お兄ちゃんが敵から脅威に思われないように色々工夫してるんだよ」


「え、何それキリカちゃん凄い」


「でも最近はチトセも敵が誰を脅威と思うかってところまで考えて動いてくれるから、そんなに大変でもないわよ。まあ成長の早さには本当に驚かされるけどね。まだゲームを始めて一週間も経ってないのに……さすがはハルカのお兄さんってところかしら?」


「お兄ちゃんが凄いのは元からだけどねー。……でもそういえば、そういう言われ方って初めてかも。昔から私が『さすがはチトセ君の妹』って言われる立場だったし」


「地元ではチトセさんが凄いのは当たり前って感じだったもんね」


「確かにゲームのプレイを見てるだけでも、明らかに只者ではない雰囲気なのは分かるわ」


「あはは。とまあそんな感じで少し話は逸れちゃったけど、キリカがタンクをやってくれたのは本当に助かってるんだよ。そもそもキリカって、正式サービスからはアタッカーやるつもりだったでしょ?」


「そういえばそんな話もしてたよね、キリカちゃん」


「あれは別にそういうわけじゃないわよ。ただ最初から攻撃力の低いタンクにしちゃうとソロ狩りは効率悪くなるから、アタッカーである程度お金を稼いでからタンク装備を買い揃える方が良いのかも、って言ってただけで」


「それでもお兄ちゃんに合わせてキリカのゲームプランを崩しちゃったのは事実だからさ、やっぱりキリカにはお礼を言いたいんだよね。だから――ありがとう、キリカ」


「何よ改まっちゃって……」


「別に深い意味はないよ。ただ良い機会だったし、言っておこうと思っただけ。それに実際、上手いタンクってかなり貴重だからね」


「というかそもそもタンクって、圧倒的にプレイ人口少ないよね?」


「そうだね。基本的な仕事が味方の代わりに敵の攻撃を受けることだし、アタッカーみたいに派手にダメージを出して活躍とかは出来ないから、やっぱりやりたがる人は少ない感じかな」


「まあ一言で言えば地味よね」


「そういえばキリカちゃんって前のゲームでもタンクやってたけど、選んだ理由とかあるの?」


「ん、前に言わなかったっけ? 必要な役割だけどやりたがる人が少ないから、それなら私がやってみようかなって思っただけよ」


「キリカの性格の良さが眩しい!」


「あー……そういえばハルカがヒーラーやってる理由って、『パーティーの生殺与奪を握れるから』だもんね」


「そこだけ抜き出すと完全に危ない人よね、ハルカって」


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