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119 現状把握

 寮の食堂での夕食を終えてゲームに再度ログインすると、やはりハルカはまだログインしていない。


 ハルカは実家暮らしだけど、両親が共働きであまり早くは帰ってこないのもあり、食事の準備と片付けは自分でやっているはずなので、俺よりも時間がかかるのは当然だった。


 ちなみに俺の寮の方は一階の食堂で注文すると即座に食事が出てきて、食べ終わったら返却口にトレーを置くだけというお手軽さなので、あまり食事には時間がかからない。


 あとは、野球をやっていた頃よりも食べる量が明確に減ったというのが、食事に時間がかからない理由だろうか。


 というのも野球部の頃は栄養士が野球部専用メニューを毎日用意していて、その量がとにかく多かったからだ。強くて大きな体を作るためには、食事もトレーニングの一環として重要な役割を持つので、選手には一日の摂取カロリーの下限が定められていた。


 俺はそこまで苦労しなかったけど、部員には小食な人間もそれなりにいて、彼らは毎日苦戦していたのをよく覚えている。


 まあそんなこんなで俺はハルカよりも夕食の時間が短い。俺より食事が短いのは仲間の中だとシャルさんくらいだろう。もちろんシャルさんは今日もすでにログインしていた。


「しかし、ハルカがログインしてくるまで暇だな……」


 とはいえ待っててと言われている以上は、この場を離れるわけにもいかない。


 ということで、俺はせっかくなので自分の現状とこれからの方針を一旦整理してみることにした。


——————


チトセ/Lv.17/槍術士

スキル/【投擲Lv.2】【強振Lv.1】

【跳躍Lv.1】【大声Lv.1】【逆境Lv.2】


——————


 ステータス画面を開いてみる。キャラクターレベルはもう少し頑張れば18まで上がりそうなところまで来ていた。


 スキルの方は【投擲】と【逆境】だけがレベルアップしているが、他はまだ最初のままだった。


 【投擲】は石をいっぱい投げていたらレベルアップしたのと、【逆境】は残り体力が少ないまま戦闘を長時間続けていたらレベルアップしたことを考えると、スキルはそれぞれ効果を発揮させると成長しやすくなるようだ。


 ただそれだとずっと槍を振っているのに【強振】がレベルアップしていないのが気になる。武器は普通に戦っていたら常に振るものだから、もしかしたらレベルアップまでに必要な回数などが他より多めに設定されているのかも知れない。


 【大声】はまあ、俺はタンク役ではないのであまり【ウォークライ】を使っていないし、最近はスタン効果を持つアビリティの【石突き】が使えるようになったことで、使用頻度が減っていることも影響しているのだろう。もしかしたら【ウォークライ】じゃなくても普通に叫んだりすればいいのかも知れないけど、突然そんなことをし出したら間違いなくハルカにはからかわれる。


 【跳躍】はいざという時には役に立っているけど、そんなに常日頃からぴょんぴょんと飛び跳ねているわけでもないので、レベルアップさせたければ普段からもう少し意図的にジャンプをしたりする必要がありそうだった。


 続いて装備を確認する。


——————


武器:デモンズスピア


盾:なし

上半身:マジックレザーベスト

下半身:マジックレザーボトム

靴:マジックレザーブーツ


頭:テクタイトイヤリング

首:風のネックレス

腕:ボーンリング


——————


 武器のデモンズスピアは文句なしで現状最強装備の一つだと思う。本来同ランクの装備であれば、槍術士の俺は魔法使いのマコトに一撃のダメージ量では勝てないらしいが、マコトが頑張って装備を更新した今でさえ、まだ俺の方がダメージ量では圧倒していた。


 最初にハルカにデモンズスピアを見せたときにも言われたけど、当分は武器の更新について考えなくても良さそうだ。ウエポンスキルとして付加されている【奇襲Lv.5】も使い勝手がよくて、個人的には気に入っている。


 盾はタンク役ではないので俺は装備していない。ちなみに装備すると防御力が上がって盾装備時限定のアビリティが使用可能になるが、代わりに攻撃力が落ちてしまうなどのデメリットがある。俺はアタッカーなので、もちろん攻撃力を落としてはいけない。


 防具のマジックレザー装備は、正直なところそろそろ更新する頃合いかも知れない。ギョクに作ってもらったときにもLV.15くらいまでという風に言われていたが、俺はすでにLv.17だ。まだ適正レベルの装備ではあるのだろうけど、このゲームの防具は攻撃力や素早さなどにも影響するので、可能であるなら早めに更新した方が戦闘も楽になる。


 みんなで素材を集めてギョクに作ってもらったマジックレザー装備には愛着や思い入れはあるけれど、このゲームはどんどんと装備を更新して強くなっていくゲームなので、いつかは必ず卒業しなければならないのだ。まあ思い出の装備として倉庫で大事に保管しておいたりするのは自由なので、俺はそうするつもりだった。


 とはいえ次にどの装備を目指して、何の素材を集めるのかはまだ決まっていないのだけど。


 アクセサリーの方は、ついさっきまで何もつけていなかったくらいなのでまだ適当だった。シャルさんから貰ったボーンリングは性能的にも明確に劣っているので、早めに更新する必要があるかも知れない。これもプレゼントしてもらったもので思い入れがあるので、更新しても大事に保管しておくつもりだ。


 風のネックレスはヒヨリにオススメされて市場で買ったものだ。素早さしか能力が上がらない代わりに、素早さに関してはかなりの上昇量を誇っている。これを装備しただけで明確に動きと動きの繋ぎが軽快になったので、俺の戦闘スタイルにはよく合っていた。


 ヒヨリたちは他の装備やアクセサリーも素早さが重点的に上がるもので統一する、いわゆる素早さビルドと呼ばれる装備の構成を俺に薦めてくれたし、俺もそれが合っていると実感できたので、今後はその方針で装備を選んでいくのが良いだろう。


 残りのテクタイトイヤリングは間に合わせで買ったアクセサリーで、バランス良く能力が上がるが特別強いわけでもなくあまり特徴がない。これも手に入るのであれば風のイヤリングなどの素早さが上がるものに更新したいところだ。


 俺の現状に関しては大体そんな感じだった。


 現状をまとめると、防具はそろそろ更新した方が良さそうで、アクセサリーに関しても風のネックレス以外の部位も早めに素早さ重視のものに更新した方が良いだろう。


 とりあえずステータスへの影響は防具の方が大きいので、素材を集めるにしてもまずは防具を優先した方が良さそうだ。


 なんてことを考えていると、夕食を終えたハルカが俺のすぐ目の前に姿を現した。


「わっ、目の前にいるからびっくりしたー」


 そんなことを言いながらにっこりと笑ったハルカが続ける。


「それじゃあ約束通り、デートしよっか」

「いや、そんな約束はしてねーよ」


 明らかにそうと分かるハルカの冗談に、俺も軽く返した。ハルカのこういうところは俺としても自然に対応できるので気が楽だ。


 そうしてとりあえずハルカとは合流出来たので、さっそくハルカの案内に従ってフェリックの街中を移動することにした。


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