表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/155

101 ブレビア森林

 ブレビア森林は葉っぱが紫色の木々が生い茂り、うっすらと怪しげに靄がかかっている。


「いかにも毒がありますって感じの植物ばかりだな」

「ここは敵も罠も毒だらけっすからね」


 ブレビア森林ではまずヒヨリが【罠察知】でフィールド上の罠を発見し、それを弓矢で破壊してから進むという一番安全なやり方を取った。


 別に場所だけ教えてもらって避けながら進んでも良かったのだけど、突然敵に襲われた場合に罠を警戒しながら戦うのは難しいという判断らしい。


 というのもここのモンスターの平均レベルは26で、結構な格上だったりする。パーティーが六人いるからといって楽な相手でもないので、無用なリスクは避けるべきという話だった。


 ちなみに罠はしばらくすると元に戻るので、あまりゆっくりはしていられない。


「あ、木の上から敵が二体っす」

「了解! 前は私が担当するから、チトセは後衛を守れる位置でお願い」

「わかった」


 木の上にいたのはマッドハーピーという、毒々しい色の羽を持つモンスターだった。マッドハーピーは風を起こして攻撃する他、毒の羽を飛ばしてきたり麻痺の爪で引っ掻いてきたりと、こちらを妨害する能力に長けている。


 幸いそれほど高い位置を飛んでいるわけではないので、俺やキリカでも地上から攻撃が届く。


 マッドハーピーの一体はキリカに狙いを定めたようで、それに向かってマコトとヒヨリが遠距離攻撃を集中させる。


 攻撃を受けたキリカは状態異常になるが、ハルカがすぐにそれを回復させた。


「もう一体がこっち来てるよ」

「おっけー、俺が引き付ける」


 もう一体のマッドハーピーはキリカに回復を行ったハルカに狙いを定めたようで、空中からまっすぐにハルカの方へと向かって行く。


 まずは間に割り込んで注意をこちらに引き付けようと思ったが、その前にマッドハーピーは翼で風を起こして遠距離からハルカを攻撃しようとしていたので、俺は一気に近づいてアビリティを発動させることにした。


「【石突き】!」


 スタン効果を持つ俺の攻撃を受けたマッドハーピーは、攻撃モーションの途中で地面に打ち落とされる。


 俺はそのまま後ろに回り込んで【奇襲】が発動した【パワースラスト】を叩き込み、一気にマッドハーピーを瀕死に追い込んだ。


「【シャイン】!」


 そこにハルカが攻撃魔法でトドメを刺す。一見すると完璧な連携だったけど、ハルカの魔法の詠唱時間を考えると、俺が【石突き】を発動させる前から詠唱していないとこのタイミングには間に合わないはずだった。


「お兄ちゃん、ナイス!」

「いやナイスって、今の最初から俺がスタンさせるのをあてにしてただろ?」

「あ、今ので分かるんだ?」

「そりゃハルカの魔法はもう何回も見てるから、さすがにな」

「ふふ、お兄ちゃんもだんだん染まってきたねー」


 ハルカは少し嬉しそうにそんなことを言う。


 ちなみにキリカの方のマッドハーピーもほぼ同時に倒されていた。


「さすがに二体リンクならマッドハーピーも余裕っすね」

「あとやっぱり足場が良いとチトセの【奇襲】が生きるわね」


 とりあえず戦闘の方は問題なく進められそうな手ごたえを得た俺たちは、ヒヨリに罠を破壊してもらいながら、一直線にエリアボスが待つ場所を目指す。


 道中で様々な毒々しいモンスターに出会うが、どれもレベルの割には耐久力が低い。確かにこれなら効率の良い狩りが出来るというのも納得できる気がした。


 そうしてようやく、俺たちはエリアボスの待つ場所に到着する。


「あれがここのエリアボスだよ。例によってまだ誰も倒したことがない強敵だね」


・未開拓エリアの情報収集 2/3


 ハルカが指さしたエリアボスを見るとクエストボードに通知が出た。


 エリアボスの名前はフレッシュイーターというらしい。見た目は全長五メートルほどのゾンビ化したオオアリクイみたいな感じで、禍々しいオーラを身に纏っている。


「見るからにヤバそうな雰囲気のボスだな」

「何か祟られそうっすよね」


 ちなみにゲームの設定的には森の罠にかかって死んだ動物やモンスターの屍肉を食べて生きているからフレッシュイーターという名前なだけで、あのボスの詳しい正体は分かっていないらしい。


「でもさっきのスノードラゴンよりは弱そうじゃないか?」

「……お兄ちゃん、それ大きさで判断してない?」

「まあチトセの気持ちは分からなくもないけどね」

「というかキリカちゃん、ベータテストのときにチトセさんと同じこと言ってたよね?」

「ちょっとマコト、今それバラさないでよ!」


 そんなキリカとマコトのやりとりを見てパーティーのみんなで笑う。


 そうして俺たちはボス戦前の打ち合わせを行い、戦闘の準備を整えた。


「それじゃあお兄ちゃん、準備はいい?」

「ああ、いつでも大丈夫だ」


 何にせよ、このフレッシュイーターというボスが強いのかどうかは、戦ってみれば分かる話だ。


 俺はフレッシュイーターをまっすぐに見据えながら槍を構えて、先陣を切るキリカの合図を待つことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ