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妖精に聞く!彼女の作り方  作者: こむらさき
8/8

エピローグ

 美穂さんと連絡先を交換して数か月は頻繁にメールをしたり、月に一度はどこかに出かけたりなんかもした。

 けれど、やっぱり高校生には電車の距離の恋愛ってのは早すぎたのか、【お友達から】先へは進めないまま、受験の雰囲気も強まってきて、いつの間にか俺たちは疎遠になっていた。


 美穂さんは今年は受験のためこっちには来れないという連絡をしてくれた。

 ついつい息抜きのゲームに夢中になって返信をし損ねたままでいたら、それが最後のやりとりになってしまった。


 あの百合の花を必死に探した夏から6年。

 大学生になって彼女が出来たり振られたりを何回か経験した。

 社会人になって、都会で一人暮らしをしはじめた最初の夏だ。

 毎日仕事で忙殺され、なんとなく「そういや高校生の時馬鹿なことしたなーあの時の女の子は元気かなー」なんて甘酸っぱい思い出に浸っていた。

 今日はノー残業デー。

 珍しく日が沈む前に帰路についた俺の目に、花屋の店先に飾られた一輪の百合の花が目に入った。

 ちょうど店じまいするらしく、女性の店員さんが百合の花を店の中にしまおうとしている。


 何かの縁だ。せっかくだし、気分転換に花でも買って帰ろうかな。

 そう思って店員さんに声をかけた。


「あの、すみません。その百合の花ください」


「あ、はい。少々お待ちくださいね」


 閉店間際の客というのに、女性店員はとてもにこやかに応じてくれた。

 メガネの似合う清楚なその店員さんは百合の花をバケツから取り出し、かわいらしい紙で包んでくれた。


「そういえば、百合の花って妖精を呼べるんですって。昔そんな話をしてくれた男の子がいたんですよ」


「そうなんですか。奇遇だなー。俺、それ試したことあるんですよ。失敗しちゃったけど」


 店員さんの世間話に、奇遇なこともあるもんだと思わず笑ってしまう。

 俺のほかにもそんなあほなことをしたやつがいたんだな。

 お金を払って百合の花を受け取ろうとするが、店員さんは俺の顔を訝しげに見つめてくる。

 あれ?俺、変なこと言ったかな。


「もしかして…良一君?」


 唐突に呼ばれた名前にびっくりして言葉を失う。

 目の前にいたのは、さっきまで甘酸っぱい思い出の中だけの懐かしい存在だった、あの女の子だった。

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