死季
満月だ。とても丸くて、とても大きな満月。
白銀色した満月で白銀色した無限とも思える雪原をザンザンと照らしている。
逆光が生み出す黒が、ボワーンっと強いコントラストを生み出し黒い木々をこの明るい夜に誕生させている。
私はその衝撃で耳の鼓膜が破れてしまったのかもしれない。
満月の生み出す光景は見事に音を奪い去り、私の命も奪うのだろう。
ザンザンと輝く強い、本当に眩しいほどに強い光の下で、暖かく柔らかい雪に包まれ、私は瞼を閉じる。
瞼の裏側に広がる真っ暗な世界にもボワーンと残月が弱く儚く私を最後まで照らしていたのだろか。