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 あの日の光景 1

 真っ白い世界。


 暖かく、静かな世界。


 勇者は包まれている。


 春のうららかな午後のような

 初夏の爽やかな風が吹く庭園のような


 母の腕の中のような。


 美しく、柔らかな、幸せな場所に。


 

(ああ……)



 うっとりとしたまま

 目を閉じたまま

 輝く世界を見つめたまま


 

(素敵だ)


 

 ずっとこのままでいたい。


 天使に抱かれているようなあたたかさの中で

 永遠にまどろんでいられたらいいのに。



(これは、一体なんだろう?)



 美しいだけの白。


 一面に広がるそこで。


 

(ああ、そうだ。ここは)


 ふいに、空から降り始めた雪。


 白の中に、灰色の影が混じり始める。



 汚れ始めた世界に、胸が締め付けられて、



 そして勇者は――。

 

 


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