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Cracked Dreamer
ウィリーは夢を見ていることに気づいた。一見筋の通った物語だったが、自分が主人公で、登場人物が知人となると、どうも違和感がある。例えば友人からの呼ばれ方、ちょっとした仕草や癖の違い。自分は正しく把握しているつもりだっが、案外、映像で確認するといい加減だ。記憶の粗さを嘆きながら、自由になった体を動かす。
ポケットに手を突っ込みスマートフォンを取り出して、知人から届いたメールを確認すると、「おまえ、どこかおかしいぞ」という短文。まったく、夢の登場人物のくせに何を言うか。ウェイクフィールドは鼻を鳴らして、視界の先に広がる混沌に向かって足を踏み出す。ここからは、自分で物語を作る必要があるらしい。では、ありきたりな勧善懲悪ものにしようか――
(ウィリー、おい。駄目だ。没頭している。ウィリ―っ)
メールの差出人の声。そうだ、俺はあるサイトに没入して――
そこで、彼の意識は混沌に呑まれる。
自身の軽薄を悔やみつつ。