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満開
ようやく、塔ノ岳山頂。
疲れたなあ。
「おそいぞ。」
声をかけてきたのは彼女。
「写真撮ってもらおうよ。」
「写真とって。」
彼女と一緒にきた人に声をかける。
塔ノ岳の看板。
富士。
青い空。
「撮るよ。はい、チーズ。」
「ありがとう。」
「ごめん。もう一枚とって。」
「貸して、スマホ。」
彼女は、僕のスマホを取り上げ、手渡す。
「はい、チーズ。」
「ありがとう。」
「ありがとうございました。」
「いかなきゃ。」
「あのう、名前は?」
「さくら。」
「えっ。」
「嘘っ!なお、ネヌ・エー・オーでNAO。じゃあ、また来年。」
「じゃあ。」
2人が写った写真を眺めた。
塔ノ岳の看板、富士、青い空。
そこには、笑顔の2人。
サクラは写っていないけど。
僕の顔が紅潮している。
サクラ色に。




