今日は厄日
新キャラ視点です。
一ヶ月の遅れ、大変お待たせしました。
あけおめです。ことよろです。
狛犬の男の子です。
やあみなさんこんにちは!
僕は狛犬の春彦!
僕の自慢は白くてふさふさな毛並みなんだ!
普段は修行を兼ねて人化していて残念だけど。
つい最近まで修行をしてたんだけど、さっき全部終わって幻想郷に帰って来たんだ。
でもなんでかわからないけど飛んでたら氷つぶてが飛んできてびっくりして落ちちゃった。
怪我したから病院に行こうとしたら、竹林に変な穴があって竹で塞がれていて、その側に小さな人が一人潜れるくらいの穴が空いてて、そこから女の子が二人出てきた。
声かけてみる?
でも少し怖いなぁ。
まあいっか!
怖い子達だったら逃げればいいし。
「あの~、こんにちは?」
「………こんにちは。」
「……………」
反応が薄い。
「ここで何してるの?」
「捜索中の親友に落とし穴に落とされたんです。髪がこれぐらいの……袴を着た女の子を見てませんか?多分男の子も一緒にいると思います。」
なるほど、仲間割れかな。
「ボソッ(このスペルならゆうかにも勝てる………!)」
?
今なんかもう一人の子が言ったような?
それより、この子達人間だよね。
妖怪が寄ってきそうなのによく生きてるなぁ。
「今まで妖怪には見つからなかったの?」
「いえ、もかのスペカの実験に使いました。」
わーお、意外と強いようだ。
回りには死体とかも無い。
怯えさせたのか跡形もなく消したのか……
考えないでおこう。
ん?
それ僕もピンチなんじゃ?
「でももう脱出するための穴も堀終わったし、ゆうかに早く追いつかないといけないのでさようなら。」
二人の女の子はすごい早さでどこかに走っていった。
あの方向は永遠亭だったと思う。
「僕も早く永遠亭に行って手当てしてもらおう。」
「こんにちは~。怪我をしたので手当てして欲しいのですけど~。」
永遠亭の前で待つこと10分。
忙しいのかと考えていたらようやく開いた。
「すみません!遅くなりました。こちらへどうぞ。」
うさみみの子が迎えてくれる。
うどんげさんだ。
永遠亭は相変わらず兎が多い。
てゐさんもまだいたずらをしているのか聞いてみよう。
「それが……最近来た外来人にいたずらを教えたんです。しかもその子もノリノリで落とし穴を掘って……昨日その子は帰ってくるなりもかとももがーって慌てて荷物をもってどこかへ行ってしまって。」
うどんげさんはため息をついた。
落とし穴、もか、どこかで聞いたような。
「って、あれ?あなたはていの知り合いなんですか?」
「え?いや、あなたとも…えっ?」
ええ?忘れられてる?
僕のことそんなにどうでもいいの……?
「うどんげさんとも知り合いですよ…昔あんなに可愛がってもらったのに。」
「え?………犬の獣人の知り合いは一人しか思い当たりませんが、その人は女の人なので違うでしょうし……」
あ。
うどんげさんたちと会ったとき姿は犬だった!
ただ、人の言葉がわかるだけの犬だった。
犬になればわかるよね。
「うどんげさん、犬の姿ならわかりますよね?」
「ああ!春彦ですか。もう修行も終わったんですね。」
思い出してくれてよかった。
うどんげさんはなでなでしてくれる。
「はい、手当は終わりました。」
「ありがとうございました。お元気で。」
さて、帰ってきたはいいけれど、行くとこが無い。
どうしよう。
人里に行けばどうにかなるだろ。
「なんでしょうこの生き物!解剖したくなります!」
「やめろ!王子を見つけるのが先だろ!」
妖怪の姿でいると警戒されると思って犬で入ったら絡まれた。
誰?何?ちょっ!高い高い!落ちる!
「やめてやれって。そんなものに構ってないで王子探すぞ。」
「いや、この生き物の研究を!解剖を徹底的にする!」
ちょ!解剖はだめ!
離せ!
「ワン!ッワン!」
言葉を話したら妖怪だってばれるからもどかしいがわんだけで対応する。
「わん?鳴き声も独特ですね。ますます興味が……」
バコッ
「何するんですか!」
「何するんですか!、じゃねーよ!さっさといくぞ!そいつ捨てとけ!」
助かったー!
危なかった。
怖いなー人間。
「うぇっ!?」
「!?」
「ゆうか!まてー!」
ずってーん。
いった~!
横っ腹おもいっきり蹴られたー!
わざとじゃないんだろうけど。
「ご、ごめん!あ、今は早く逃げなきゃ、隠れなきゃ!」
ぶつかった少女はポリバケツの中に入った。
「ゆうか!今日こそは……あれ?いない?」
「もか、落ち着いて!見失っちゃったなら確実に仕留めるための準備をしてから探そう!」
「そうだね。香霧堂に私の弓取りに行こう。」
おお、奇遇だなぁ。
落とし穴に落ちていた子じゃないか。
最初に飛び込んできたのがもかって子だよね。なんかこわいけど。
今ポリバケツに入ってるのがゆうかって子らしいな。
たしか落とし穴を掘った犯人……うどんげさんが言ってた外来人ってこの子?
いや、三人とも外来人なんだろうな。
とりあえずここを離れるか。
「王子!お帰りください!」
「嫌だ!まだ帰らない!」
「帰れっつってんだろ王子サマ!あんたのせいでいろいろとこっちが大変なんだよ!」
「食事処という所でお金が払えず皿洗いをしようとしたら割ってしまい迷惑をかけたり!」
「わんとか鳴く生き物をこいつが解剖したいとか言い出して止めるのが大変だったりしてんだよぉ!」
うわあ、さっきのこわい人間だ。
今日はにぎやかだなぁ。
「たっちゃん!」
ゆうかという少女が王子と言われている少年に駆け寄っていく。
「ゆうか!ご無事で何より~。」
「ポリバケツのおかげだね!それよりもかとももが確実に仕留めるための準備とか弓をとかいろいろ言ってるの聞いちゃったよどうしよう!」
すごくおろおろしてる。
確かにすごく怖いし言ってることも物騒な……少女の気持ちはわかる。
「落ち着いてゆうか。まずぼくたちの約束について覚えてるよね?」
「?」
覚えてない反応。
「お互い助け会うって話。」
「ああ!今がその時?」
少女は目を輝かせた。
「そう。僕はこれからこの人たちから逃げなきゃいけない。だから協力してくれるよね?」
なんだか黒い……
「もちろんだよ~!大船に乗ったつもりで安心して!」
少女はとても明るい笑顔で言った。
黒さに気づいていない!?
この子の将来が心配になるほど王子とかいう人分かりやすい黒さだったのに?
あとさっきまで震えてたのにそのかわりようは何!?
頼られるのが楽しみだったのか?
「王子!その者は本当に信用できる者ですか?もしかしたら王子を狙う暗殺者かもしれません!」
「大丈夫だから一緒にいるの!ゆうか、逃げるよ!」
「はーいはーい!」
二人は家の間を走って二人の男を撒いたようだ。
本当に今日は厄日?いや、ぼくには厄は降りかかってないからあの人たちにとっては厄日なんだな。
神社の犬である狛犬の僕が助けてあげようかな?
助けるなら誰にしようかな。
さっき逃げた二人組の男女か、それを追っていた男たちか、落とし穴に落ちてた女の子たちか。
男たちは却下。
うーん、どっちにしようかなー?
よし、決めた!
裏話 (もかともも)
もも「そういえば、一瞬ゆうかにあり得ないものがついていたのが見えた気がする。」
もか「え?耳としっぽのことでしょ?」
もも「え!?やっぱり気のせいじゃなかったの?」
もか「あれ偽物でしょ?」
もも「動いてたよ。」
もか「機械じゃない?」
もも「一回しっぽ掴めたけど本物のような暖かさと感触だったよ?」
もか「…………まさか。」
もも「ないない!ゆうかが妖怪になるとか、ありえないって!気のせい気のせい!」
もか「だといいなぁ」
もも「大丈夫だよ。ゆうかも望んで人間捨てたりするわけないし。(ボソッ)騙されたり間違えて薬を飲んだりしてしまうことはありそうだけど。」
もか「じゃあ香霧堂さんのところに行こう!」
もも「もか、そっちじゃなくてこっちだよ?」
もか「あ、えへへ、ごめんごめん。」




