永遠(とわ)に美しく
『神殿』に突撃した俺、俺たちは女性たちの横をすり抜け、司祭たちを生け捕ろうとする。
ミオこと美緒が操るジープの車輪が脆い煉瓦の床と階段を砕き、
レイこと水鏡曰く最新型と言う「89式」を天に放って威嚇する。
「『儀式』は禁止令を出したはずだっ 」
『令状』を手に宰相である遥が叫び、その『新たな正妻』に昇格したスバルが同意する。
「し、しかし、これは慣例であり、現に各地より儀式を求めてッ 」うっせぇ。
ぱんぱん。情けない音だが十六発も弾が入るピストルをミオが撃つ。
易々とその弾は空を引き裂き、司祭のすぐ近くの壁を砕いた。
「次は。本当に当てるわよ」
轟音と共に人を殺す『雷降』の『魔術』に震え上がる司祭。
「もう、歳を取っていいんだッ 」
俺の叫びに他ならぬ彼女たちが同意しない。
「生まれ変わるのです。私たちはこの肉体の枷を脱ぎすて」「美しく。永久に美しく」
やめろっていってるだろ。ばかやろうども。
「どうして醜いまま生きられましょうか」「王よ。あなたは世を知らない」
やめろって言ってるだろう。
「醜くなるように神が創ったのならッ 神はその醜さすら美しいと言っているってことだっ 」解ってくれ。
「おまえたちは。お前たちは。美しい」涙を流す俺に彼女たちは告げた。
「でも、あなたの愛を得るには至りませんから」「私は王の語る愛すら理解できませんでした」
「さぁ旅立ちましょう。新たなる世界に」「新たなる未来に」
俺の哀願を聞かず、彼女らはコンベア状の『祭壇』に身を預けていく。その頬を染めるのは歓喜の色。
『祭壇』は無上の幸福感をその上に身を捧げる人々に与える。らしい。
お願いします。
俺は頭を下げて彼女らに哀願した。
「今を。生きてください」