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徒然(つれづれ)なるままに
ヒグラシの鳴くなんとやらはエロゲだかなんだか知らないが私には縁の無い。
それはともかく。『俺』と遥は無事に最初の脅威を退けた。
「うえええええええええええええ」
頭をカチ割られて死んでいるサルだか人だかわからないバケモノと、血のついた木刀。
そして生き物を殺してしまったことで吐く物も吐ききってゼイゼイと喘ぐ俺に遥は布を出してくれた。
「水もあるぜ。呑むか」「頼む。というか」
やっぱ無理。吐く。
「うえええええええ」「もう吐く物も無いだろ」
憎たらしい遥の言葉に俺はやっと喋る気力を取り戻した。
「なんでお前がここにいるんだよ」「助けてもらってその態度かよ」
遥。こいつは去年フラリと姿を消してそれっきりだったはずだ。
「ちょっと北海道に熊をナンパしに行って来る」と言い残して。奔放にも程がある。
「なんだよ。このバケモノども」
清涼な空気を持つ森に似つかわしくないバケモノども。
「バケモノ? バケモノは俺たちのことらしいぞ」「はぁ?! 」
次の更新は来週になります。