簒奪王
「うーん。うーん」
じろじろと遥の周囲を巡るミオ。
踏みつけられた草が青い香りを放つ。
俺とレイは適当に食えそうな草を取り、地面に埋めて蒸し焼き中。
「条件付。合格かな」どんだけ面食いなんだよ。この女。変態の癖に生意気だ。
「レイほどの美形ってそうそういないもんねぇ。我慢しないと」
むしろ女より綺麗だ。この変態女じゃないが変な趣味に目覚めかねない程度はある。
「それに」ミオは楽しそうに呟く。
「3Pって最高に萌えるよね」「……」「……」「……」
「美しいレイを獣の情欲任せに襲いかかる二人のケダモノ」「おい」「こら」
バラ色の妄想に埋没している変態女を見ながら遥はぼやいた。
「この変態。なんとかしろ」俺が言いたいです。
「で。どうする。やっぱり送り返すか」「それしかないだろ」
「やだああああ。真実の愛も大切だけど、あんな女にレイをやる気はない~! コイツは私の玩具だし~! 」
「あんなこと言ってますぜ。変態女が」「だから変態女と言わないでくれと」他になんといえと。
そういうとレイは苦笑い。「変態中の変態女かなぁ」「ひど~! 」地味に不満がたまってるんだな。お前。
「となると」「だな」
三人は俺に視線を集めて呟いた。
「やっぱ。国王って、外交も重要な仕事だと思うんだ」
後日。俺の国から送り届けられた『貢物』をあけた女。女王は目を開いた。
「歓迎しますわ。隣の国の簒奪王」「ど。どうも」
王自らのくんずほぐれつのバトルをする羽目になり、なんとか戦争は回避された。らしい。
遥。お前は俺が帰ってきたら死刑だ。




