第三の男
「隣の国が攻めてきたと」「ええ」
カゲロウの酷薄な笑みを受け流しながら俺は情報を整理している。
だんだんコイツの扱いに俺も慣れてきた。これはこれで可愛いところがある。
「で、其の国は『男』がいると」「其の通り。『レイ』という男を持つらしいがコレが厄介でな」はぁ。
「恐ろしく強い。雷を放ち、影に隠れ、強靭な行動力を持つ」「ほとんど暗殺者といっていいな」
厄介だな。でも。雷を放つってなんだ?
「知らん。轟音と共に見えない雷を放ち、狙われた者は死ぬ。それ以上のことは解らん」
「解らないのか。カゲロウでも解らないのか」「くっ」
顔を赤くして歯を食いしばるカゲロウだが。「次までには調べてくるッ 」本当に可愛いところも。ある。理解したくない可愛さだが。
「ユウガオ。どう思う」
正直、牢から出したくないヤツだが。
「『男』は厄介な魔物だ」ユウガオは苦笑い。
「『レイ』は特定の『人』を守るために戦うらしい」ふむ?
「意味が解らんのだが」「レイは常に『ミオ』という人と共に行動する」ふむ。
「『ミオ』はこの国に興味があるらしい」「ふむ」「もっと言うとお前たちだ」「はぁ」
バカみたいだろ。これでも王と王族の会話なんだぜ。
ユウガオたちが言うにはバカに合わせているらしい。泣けてくるだろ。
「結論」「ミオとレイを確保。かの国に送り返せば戦乱は起きないであろう」はあ。
「ミオはレイをつれてこの国にやってきたのだ」うん。
「レイを奪回するべく、奴らは攻めてきた次第」大迷惑だ。
「そのバカどもをつれてこい」
折角奴隷制度を無くそうと努力しているのに、他国と戦争なんてやってられない。速攻送り返す。